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第三話「基地を襲撃された際の迎撃方法について」
未知との激突 その三
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比乃が繰るTk-9がは、両腕に搭載された六十口径滑腔砲を連射しながら、眼前の白い西洋鎧との距離を詰めて行く。
対する西洋鎧は、薄い角膜のような物でその大口径を弾く。それでも、被弾の衝撃から仰け反って姿勢を崩す。
防御膜で完全に防ぎ切れない攻撃の危険性を察した白い鎧は、続いた次弾を横滑りするように避けた。そのまま回避運動を始めるが、その移動先へと予知されているかのように徹甲弾が飛ぶ。数発の衝撃を受けてバランスを崩した西洋鎧が転倒、横転する。
それでも反撃しようと、倒れた姿勢のまま構えた銃剣の穂先が数度瞬き、光弾が飛ぶ。
通常のAMWの装甲程度であれば、何の抵抗もなく貫くであろうそれは、しかしTk-9の装甲に当たったかと思うと、毬のように跳ね飛んでいった。
相転移装甲――圧倒的な電力供給によって金属分子を相転移させることで実用を成した、兵器工学が産み出した最高峰の装甲。
ただでさえMBT並の重装甲を持つ上に施された最強の盾は、未知の事象で並大抵の装甲を容易く砕く破壊力を生じさせる攻撃を、若干の陥没のみで防いで見せた。
≪胸部装甲 肩部装甲被弾 損傷度C≫
「装甲の上に当たっただけだ!」
突っ込む、とAIの損害報告を意にも介さず、倒れた敵機に止めを刺さんと更に突進させる。
射撃しながら立ち上ろうとした西洋鎧との距離が詰まる。直後、相撲のぶちかましのように激突した。
金属と金属がぶつかる甲高い音を上げて、二機が組み合う形になる。急所である胴体を防御しようと構えた西洋鎧の腕をTk-9が片腕の銃身で強引に跳ね上げた。そのまま、がら空きになった胴体に逆の銃口を、下から叩き付ける。
「この距離ならっ」
妙な防御は使えまい、射撃――分厚い鉄板を巨大な金槌で思い切り叩いたような音と共に、雪のように白い装甲に弾痕が穿たれる。だが、残弾全てを叩き込んだ接射でも貫徹に至らなかった。比乃は相手の頑強さに舌を巻いた。
仕留められなかったことに悪態を付くのももどかしく、銃剣を振り上げた西洋鎧を砲身で横殴りに打撃して距離を取り直す。
(六十口径百五十ミリが効かない……化け物め)
AMWどころか戦車すら破壊可能な砲撃を耐えてみせた常識外れの化け物を前に、比乃は決心を固めた。
自分は志度や心視とは違う、こんな化け物相手に出し惜しみをする余裕なんてないのだ――迷うことなく、自機に施されている枷を外すことをAIに指示する。
「フォトンドライブ制限解除、参照動作は五番」
≪PD出力規定値まで上昇 警告≫
「しなくていい」
≪了解≫
AIが返答した次の瞬間、Tk-9の動きが、それまでの機械染みたものから変貌する。
制御系が過剰に思考をフィードバックし、非人型の体系のTk-9が、まるで生き物の呼吸を再現するかのように上体を上下させた。
これまでほぼ予備動力で動いていたと言える状態から、主電源に切り替わったのだ。
しかし、やむを得ないとはいえ、比乃はこの状態になったTk-9の操作が苦手だった。いや、そもそも、Tkー9自体が、自分の得意分野とミスマッチなのだ。
重鈍な機体構造は、得意の三次元機動が封じられる。接近戦も得意とは言えない。単純に四肢関節部やホバー推進の出力が上昇したパワーアップも、比乃からすれば操作性の劣化を生んでいるとしか言えない。
その証拠に、少し動かすだけでも、大きすぎる機体出力と敏感すぎる制御系のせいで、自分が思った通りの位置にぴたりとこないのだ。
今この時も、向き直った西洋鎧に対してベストの攻撃位置に付くための機動を取ったが、勢い余って攻撃ポジションから通り過ぎそうになる。
(なにより、極め付けなのは)
比乃が一番嫌なのは、脳内に響く騒音がひと際大きくなることだった。
誰だって、耳元どころか頭の中で「がりがりがり」と負荷起動しているハードディスクの音が反響したら不快だろう。その酷い雑音が、比乃の判断力と思考力を奪って行く。
まるで、自分の中の得体のしれない装置が、自分と機械を融合させようとしてくるようだ。比乃は、目に見えないケーブルが、機械から伸びて自分の脳味噌に突き刺さる、嫌な想像を浮かべてしまった。それを振り切るように頭を振り、集中。
横へと移動したこちらに対して、西洋鎧が振り向きざまに光弾を放つ。それを過剰に動く機体で大袈裟に避けると、左右に機体を揺さぶりながらもう一度突撃する。
先ほどまでとは比べ物にならない加速が掛かるが、それでもなお直進。息がつまる。
「っ、クロー展開」
≪警告 本武装の使用はPDの安定性を著しく――≫
何度目かの警告を挙げるAIを無視して比乃が念じる。
すると、Tk-9の両腕。肘から先の巨大な砲身が、縦に分割するように開いて瞬く間に可変した。見る見るうちに、砲身は五指を持つ巨大なクローアームへと変貌した。そして、更なる急加速で一気に距離を詰め切る。
その速度か腕の変貌か、もしくは両方に驚愕して、西洋鎧が一瞬、動きを止める。呆けているその白い左腕を、右のクローアームががっちりと掴み、通常のAMWであればそのまま握り刻まれるほどの圧力で握り締めた。
「こいつならどうだぁ!」
その爪が、西洋鎧が具現化させた武器と同じ、鮮緑に輝く。
フォトン粒子を装甲表面に纏わせて高速で周回させることで、対象を分子レベルで削ぎ落とすそれが、これまで罅一つ入らなかったその装甲に五本の切れ込みを入れた。そのまま、ギチギチと爪先をめり込ませて行く。
慌てた敵が銃剣をこちらに向けようとする。が、比乃は反撃の隙を与えない。ホバーの出力と重量差に物を言わせて、西洋鎧を投げ飛ばした。
地面を転がり、態勢を完全に崩した敵に、光に包まれたクローを振りかぶり、
「うおりゃああ!」
比乃が普段出さないような叫び声をあげた。するとTkー9の右肘から先が切り離され、内蔵されたロケットモータの初期燃焼を受けながら、爪が飛んだ。
本体と合金ワイヤーで繋がれ、有線誘導によって正確に獲物目掛けて鉤爪が飛ぶ。それがやっと起き上がった西洋鎧に激突すると、その胴体をがっちりと咥え込んだ。
そして胴体を握り潰すかと思われた、その寸前、西洋鎧は足掻いてみせた。
白い鎧は拘束を逃れた腕の銃剣を振るって、制御系と動力源に繋がっているワイヤーを切断してみせたのだ。この一瞬で、初見の兵器に対してよくも機転が効いたものだ。と、比乃は少し関心してしまった。
纏わり付いていたクローを振り払った白い鎧は、猛烈な連続攻撃を受けて、胴体や腕には浅くはない傷が刻み込まれていた。それでもなお、敵は銃剣を両手で構える。
右腕一本使ってでも仕留めきれない難敵に向けて、比乃は忌々しく叫ぶ。
「…………さっさとくたばれ、化け物め!」
声に呼応するようにTk-9が残った左腕を振って構え直す。搭乗者の殺意を表すように爪の光が一段と増した。
対する西洋鎧は、薄い角膜のような物でその大口径を弾く。それでも、被弾の衝撃から仰け反って姿勢を崩す。
防御膜で完全に防ぎ切れない攻撃の危険性を察した白い鎧は、続いた次弾を横滑りするように避けた。そのまま回避運動を始めるが、その移動先へと予知されているかのように徹甲弾が飛ぶ。数発の衝撃を受けてバランスを崩した西洋鎧が転倒、横転する。
それでも反撃しようと、倒れた姿勢のまま構えた銃剣の穂先が数度瞬き、光弾が飛ぶ。
通常のAMWの装甲程度であれば、何の抵抗もなく貫くであろうそれは、しかしTk-9の装甲に当たったかと思うと、毬のように跳ね飛んでいった。
相転移装甲――圧倒的な電力供給によって金属分子を相転移させることで実用を成した、兵器工学が産み出した最高峰の装甲。
ただでさえMBT並の重装甲を持つ上に施された最強の盾は、未知の事象で並大抵の装甲を容易く砕く破壊力を生じさせる攻撃を、若干の陥没のみで防いで見せた。
≪胸部装甲 肩部装甲被弾 損傷度C≫
「装甲の上に当たっただけだ!」
突っ込む、とAIの損害報告を意にも介さず、倒れた敵機に止めを刺さんと更に突進させる。
射撃しながら立ち上ろうとした西洋鎧との距離が詰まる。直後、相撲のぶちかましのように激突した。
金属と金属がぶつかる甲高い音を上げて、二機が組み合う形になる。急所である胴体を防御しようと構えた西洋鎧の腕をTk-9が片腕の銃身で強引に跳ね上げた。そのまま、がら空きになった胴体に逆の銃口を、下から叩き付ける。
「この距離ならっ」
妙な防御は使えまい、射撃――分厚い鉄板を巨大な金槌で思い切り叩いたような音と共に、雪のように白い装甲に弾痕が穿たれる。だが、残弾全てを叩き込んだ接射でも貫徹に至らなかった。比乃は相手の頑強さに舌を巻いた。
仕留められなかったことに悪態を付くのももどかしく、銃剣を振り上げた西洋鎧を砲身で横殴りに打撃して距離を取り直す。
(六十口径百五十ミリが効かない……化け物め)
AMWどころか戦車すら破壊可能な砲撃を耐えてみせた常識外れの化け物を前に、比乃は決心を固めた。
自分は志度や心視とは違う、こんな化け物相手に出し惜しみをする余裕なんてないのだ――迷うことなく、自機に施されている枷を外すことをAIに指示する。
「フォトンドライブ制限解除、参照動作は五番」
≪PD出力規定値まで上昇 警告≫
「しなくていい」
≪了解≫
AIが返答した次の瞬間、Tk-9の動きが、それまでの機械染みたものから変貌する。
制御系が過剰に思考をフィードバックし、非人型の体系のTk-9が、まるで生き物の呼吸を再現するかのように上体を上下させた。
これまでほぼ予備動力で動いていたと言える状態から、主電源に切り替わったのだ。
しかし、やむを得ないとはいえ、比乃はこの状態になったTk-9の操作が苦手だった。いや、そもそも、Tkー9自体が、自分の得意分野とミスマッチなのだ。
重鈍な機体構造は、得意の三次元機動が封じられる。接近戦も得意とは言えない。単純に四肢関節部やホバー推進の出力が上昇したパワーアップも、比乃からすれば操作性の劣化を生んでいるとしか言えない。
その証拠に、少し動かすだけでも、大きすぎる機体出力と敏感すぎる制御系のせいで、自分が思った通りの位置にぴたりとこないのだ。
今この時も、向き直った西洋鎧に対してベストの攻撃位置に付くための機動を取ったが、勢い余って攻撃ポジションから通り過ぎそうになる。
(なにより、極め付けなのは)
比乃が一番嫌なのは、脳内に響く騒音がひと際大きくなることだった。
誰だって、耳元どころか頭の中で「がりがりがり」と負荷起動しているハードディスクの音が反響したら不快だろう。その酷い雑音が、比乃の判断力と思考力を奪って行く。
まるで、自分の中の得体のしれない装置が、自分と機械を融合させようとしてくるようだ。比乃は、目に見えないケーブルが、機械から伸びて自分の脳味噌に突き刺さる、嫌な想像を浮かべてしまった。それを振り切るように頭を振り、集中。
横へと移動したこちらに対して、西洋鎧が振り向きざまに光弾を放つ。それを過剰に動く機体で大袈裟に避けると、左右に機体を揺さぶりながらもう一度突撃する。
先ほどまでとは比べ物にならない加速が掛かるが、それでもなお直進。息がつまる。
「っ、クロー展開」
≪警告 本武装の使用はPDの安定性を著しく――≫
何度目かの警告を挙げるAIを無視して比乃が念じる。
すると、Tk-9の両腕。肘から先の巨大な砲身が、縦に分割するように開いて瞬く間に可変した。見る見るうちに、砲身は五指を持つ巨大なクローアームへと変貌した。そして、更なる急加速で一気に距離を詰め切る。
その速度か腕の変貌か、もしくは両方に驚愕して、西洋鎧が一瞬、動きを止める。呆けているその白い左腕を、右のクローアームががっちりと掴み、通常のAMWであればそのまま握り刻まれるほどの圧力で握り締めた。
「こいつならどうだぁ!」
その爪が、西洋鎧が具現化させた武器と同じ、鮮緑に輝く。
フォトン粒子を装甲表面に纏わせて高速で周回させることで、対象を分子レベルで削ぎ落とすそれが、これまで罅一つ入らなかったその装甲に五本の切れ込みを入れた。そのまま、ギチギチと爪先をめり込ませて行く。
慌てた敵が銃剣をこちらに向けようとする。が、比乃は反撃の隙を与えない。ホバーの出力と重量差に物を言わせて、西洋鎧を投げ飛ばした。
地面を転がり、態勢を完全に崩した敵に、光に包まれたクローを振りかぶり、
「うおりゃああ!」
比乃が普段出さないような叫び声をあげた。するとTkー9の右肘から先が切り離され、内蔵されたロケットモータの初期燃焼を受けながら、爪が飛んだ。
本体と合金ワイヤーで繋がれ、有線誘導によって正確に獲物目掛けて鉤爪が飛ぶ。それがやっと起き上がった西洋鎧に激突すると、その胴体をがっちりと咥え込んだ。
そして胴体を握り潰すかと思われた、その寸前、西洋鎧は足掻いてみせた。
白い鎧は拘束を逃れた腕の銃剣を振るって、制御系と動力源に繋がっているワイヤーを切断してみせたのだ。この一瞬で、初見の兵器に対してよくも機転が効いたものだ。と、比乃は少し関心してしまった。
纏わり付いていたクローを振り払った白い鎧は、猛烈な連続攻撃を受けて、胴体や腕には浅くはない傷が刻み込まれていた。それでもなお、敵は銃剣を両手で構える。
右腕一本使ってでも仕留めきれない難敵に向けて、比乃は忌々しく叫ぶ。
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しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
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