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第七話「初めての学校生活と護衛対象について」
通学路での約束
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あの後、廊下で会ったジャックと共に、メアリとアイヴィーがいる部屋の扉をノック。しかし反応がない、どうしたのかと思い、ジャックが持っていた合鍵を使って中に入った。
すると、そこには着替え途中、つまり下着姿のメアリとアイヴィーが居た。仰天する男二人の前に、スレンダーながらも完璧な均等の取れた四肢だったり、長身に合った豊満な乳と尻が一枚の布になどといったことがあったのだが、ここでは割愛させていただく。
真に強いのは、そのような事があっても悲鳴もあげず、あれから十分経った通学路上でも、
「それにしてもアイヴィー、貴方、日比野さんにバッチリ見られちゃいましたね。これは責任を取ってもらわないと」
「いやぁ、それなら自衛隊からうちの会社に移ってもらって、専属のテストパイロットになってもらおうかなぁ」
などと、冗談のタネにしてくすくす笑っているメアリとアイヴィーだろうか。
なお、比乃は特に慌てず「失礼しました」と普通に部屋を出て、紳士的な対応だとジャックに無駄に褒められたりした。本当に興味がなかっただけなので、本人に褒められる謂れは無かったのだが。
そんなハプニングがあったことを知った心視は、制服に包まれていてもわかる赤毛の肢体の破壊力を前に、自分の胸元をペタペタ触っていた。そして、この世の全てに絶望したような顔になり、通学中ずっと俯いて黙り込んでいる。
その内心では、アイヴィーの身体に比乃が特に興味を示して居なかった事に対する安心感と、自分はずっと小さいままなのではないかと言う不安が入り混じり、複雑に渦巻いていた。
「まぁアイヴィーが日比野さんにハニトラを仕掛けたのは置いておいて」
「してないよ!」
「あれは天然系ハニトラだったのでは? それはさておき、ジャックの作る食事はどうにかならないものでしょうか……折角日本に来たのに、英国にいた時と殆ど変わりありません」
「しょうがないよ、毒味も兼ねてるっていうんだから……あ、そういえば比乃は料理作るの上手だったよね。私達の分も作って貰う?」
「それはいい考えですけど、頑固者のジャックが良いって言うでしょうか」
「でも言わせるんでしょ?」
などと、本人の前で勝手に仕事量を増やそうとしている護衛対象らの会話内容に比乃はため息をついて、横を歩く志度と心視に、
「……お願いだから、ご飯くらいは炊けるようになってね」
と、お願いするのであった。
この通学路……本来なら、この周辺にいる学生が通る道ではないので、正しくは通学路ではないのだが、朝ということも相まって人通りが少なかった。それ故に、不意の奇襲などを察知し易い道になっている。それがこの道を選んだ理由だった(また、周辺に展開している英国兵の護衛やジャックが監視し易いのもある)。
人を隠すなら人ごみの中とも言うが、下手に人通りが多いルートを通って、人混みの紛れて刺客が――となるよりは安全なのである。
ただし、こうして至近距離に護衛を配置している限るため、登下校には必ず比乃らの内一人が登下校に同行するという取り決めになっていた。
そんな護衛任務の最中、アイヴィーと談笑していたメアリが突然、比乃たちに声をかけた。
「護衛の件ですけど、日比野さんに聞いてほしい事と、お願いがあるんです」
一際人気がない、長い路地に入ったらところだった。先ほどまでアイヴィーと談笑していた時のような十七歳の少女ではなく、王女の口調で話しているように感じられる。振り返らず、歩きながら、王女は話し出す。
「今回、日本に来るというだけで、私は四人も忠臣を失いました。ジョン・アルドリッジ、クリフ・マッカラン、モーガン・マッキニー、ニコラス・ライル……誰もが、とても勇敢で良い人でした」
彼らは、船内でニコラハムに殺された義勇兵と、コンカラーⅡに乗っていた者達だった。一人一人名前を言う度に、王女は辛そうに目を伏せる。
「皆、死んでほしくなかった」
――目を覚まして彼らの戦死を聞いた時は、枕を濡らした。それ程までに、今回の付いて来てくれた近衛兵と義勇兵は、王女にとって大切な者達だった。英国で何も出来ずに、日本に送られた役立たずを、それでも守ってくれた、大事な忠臣だった。
船内で殺されてしまったジョンも、その死は無駄ではなかった。ニコラハムに死体の始末を命じられたのが、元ジョンの同僚だったのだ。その男は、ジョンが護衛として付いていることを知らなかったし、下っ端であったので、王女を英国に連れ帰るとまでしか聞いていなかった。王女を裏切ってはいた物の、どうしても友人の死と、ニコラハムの過激なやり方が許せなかったその男こそが、王女に裏切りを告発したのだ。
彼(ジョン)の死がなければ、王女は易々と敵に捕らえられていただろう。
「だから私は、皆がくれた今を精一杯謳歌しようと思うんです。喪に伏すだなんて、彼らに失礼ですから……ね、アイヴィーもそう思うでしょう?」
問われ、メアリと同じく守られ、そして一時とはいえ彼らと共に戦ったアイヴィーも「そうだね」と同意する。
「ここまでが、あの日、彼らと一緒に私を守ってくれた日比野さんに話したかったこと。そして、これから私達を守ってくれる貴方達にお願いしたい事……どうか、死なないで下さい、必ず生きて私達を守ってください」
そして王女は振り返る。その瞳は若干揺れていた。もう、気に入った相手を失いたくないのだと、その目が語っている。それに対して三人は、それぞれ、笑みを浮かべていた。そんな心配はいらないと言わんばかりの表情だった。
「僕らは泣く子も慄く第三師団の機士、僕なんて、一度乗機のコクピットを潰されたけど、こうして生きてますし、大丈夫ですよ」
「しぶとさには自信あり……特に志度は……ダンプカーで轢くくらいしないと……」
「そんなこと言って、心視だって似た様なもんだろ」
と冗談ぽく言ってのけた。それを聞いたメアリとアイヴィーは、少しきょとんとしてから、思わず笑った。
「では、湿っぽい話はおしまいです。すっかり話し込んでしまいました。急ぎましょう」
「そうそう、早くしないと遅刻しちゃう、ダッシュだよダッシュ!」
走り出した二人を、慌てて追いかける三人に、メアリが付け加えるように言う。
「それから、私たちに敬語を使うのはやめてください。これからは、クラスメイトなんですから!」
すると、そこには着替え途中、つまり下着姿のメアリとアイヴィーが居た。仰天する男二人の前に、スレンダーながらも完璧な均等の取れた四肢だったり、長身に合った豊満な乳と尻が一枚の布になどといったことがあったのだが、ここでは割愛させていただく。
真に強いのは、そのような事があっても悲鳴もあげず、あれから十分経った通学路上でも、
「それにしてもアイヴィー、貴方、日比野さんにバッチリ見られちゃいましたね。これは責任を取ってもらわないと」
「いやぁ、それなら自衛隊からうちの会社に移ってもらって、専属のテストパイロットになってもらおうかなぁ」
などと、冗談のタネにしてくすくす笑っているメアリとアイヴィーだろうか。
なお、比乃は特に慌てず「失礼しました」と普通に部屋を出て、紳士的な対応だとジャックに無駄に褒められたりした。本当に興味がなかっただけなので、本人に褒められる謂れは無かったのだが。
そんなハプニングがあったことを知った心視は、制服に包まれていてもわかる赤毛の肢体の破壊力を前に、自分の胸元をペタペタ触っていた。そして、この世の全てに絶望したような顔になり、通学中ずっと俯いて黙り込んでいる。
その内心では、アイヴィーの身体に比乃が特に興味を示して居なかった事に対する安心感と、自分はずっと小さいままなのではないかと言う不安が入り混じり、複雑に渦巻いていた。
「まぁアイヴィーが日比野さんにハニトラを仕掛けたのは置いておいて」
「してないよ!」
「あれは天然系ハニトラだったのでは? それはさておき、ジャックの作る食事はどうにかならないものでしょうか……折角日本に来たのに、英国にいた時と殆ど変わりありません」
「しょうがないよ、毒味も兼ねてるっていうんだから……あ、そういえば比乃は料理作るの上手だったよね。私達の分も作って貰う?」
「それはいい考えですけど、頑固者のジャックが良いって言うでしょうか」
「でも言わせるんでしょ?」
などと、本人の前で勝手に仕事量を増やそうとしている護衛対象らの会話内容に比乃はため息をついて、横を歩く志度と心視に、
「……お願いだから、ご飯くらいは炊けるようになってね」
と、お願いするのであった。
この通学路……本来なら、この周辺にいる学生が通る道ではないので、正しくは通学路ではないのだが、朝ということも相まって人通りが少なかった。それ故に、不意の奇襲などを察知し易い道になっている。それがこの道を選んだ理由だった(また、周辺に展開している英国兵の護衛やジャックが監視し易いのもある)。
人を隠すなら人ごみの中とも言うが、下手に人通りが多いルートを通って、人混みの紛れて刺客が――となるよりは安全なのである。
ただし、こうして至近距離に護衛を配置している限るため、登下校には必ず比乃らの内一人が登下校に同行するという取り決めになっていた。
そんな護衛任務の最中、アイヴィーと談笑していたメアリが突然、比乃たちに声をかけた。
「護衛の件ですけど、日比野さんに聞いてほしい事と、お願いがあるんです」
一際人気がない、長い路地に入ったらところだった。先ほどまでアイヴィーと談笑していた時のような十七歳の少女ではなく、王女の口調で話しているように感じられる。振り返らず、歩きながら、王女は話し出す。
「今回、日本に来るというだけで、私は四人も忠臣を失いました。ジョン・アルドリッジ、クリフ・マッカラン、モーガン・マッキニー、ニコラス・ライル……誰もが、とても勇敢で良い人でした」
彼らは、船内でニコラハムに殺された義勇兵と、コンカラーⅡに乗っていた者達だった。一人一人名前を言う度に、王女は辛そうに目を伏せる。
「皆、死んでほしくなかった」
――目を覚まして彼らの戦死を聞いた時は、枕を濡らした。それ程までに、今回の付いて来てくれた近衛兵と義勇兵は、王女にとって大切な者達だった。英国で何も出来ずに、日本に送られた役立たずを、それでも守ってくれた、大事な忠臣だった。
船内で殺されてしまったジョンも、その死は無駄ではなかった。ニコラハムに死体の始末を命じられたのが、元ジョンの同僚だったのだ。その男は、ジョンが護衛として付いていることを知らなかったし、下っ端であったので、王女を英国に連れ帰るとまでしか聞いていなかった。王女を裏切ってはいた物の、どうしても友人の死と、ニコラハムの過激なやり方が許せなかったその男こそが、王女に裏切りを告発したのだ。
彼(ジョン)の死がなければ、王女は易々と敵に捕らえられていただろう。
「だから私は、皆がくれた今を精一杯謳歌しようと思うんです。喪に伏すだなんて、彼らに失礼ですから……ね、アイヴィーもそう思うでしょう?」
問われ、メアリと同じく守られ、そして一時とはいえ彼らと共に戦ったアイヴィーも「そうだね」と同意する。
「ここまでが、あの日、彼らと一緒に私を守ってくれた日比野さんに話したかったこと。そして、これから私達を守ってくれる貴方達にお願いしたい事……どうか、死なないで下さい、必ず生きて私達を守ってください」
そして王女は振り返る。その瞳は若干揺れていた。もう、気に入った相手を失いたくないのだと、その目が語っている。それに対して三人は、それぞれ、笑みを浮かべていた。そんな心配はいらないと言わんばかりの表情だった。
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「しぶとさには自信あり……特に志度は……ダンプカーで轢くくらいしないと……」
「そんなこと言って、心視だって似た様なもんだろ」
と冗談ぽく言ってのけた。それを聞いたメアリとアイヴィーは、少しきょとんとしてから、思わず笑った。
「では、湿っぽい話はおしまいです。すっかり話し込んでしまいました。急ぎましょう」
「そうそう、早くしないと遅刻しちゃう、ダッシュだよダッシュ!」
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