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鳳の羽を纏う龍
ジンシの選択
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ジャンとして男服に身を包み、皆が集まる部屋に入った。
父、ジンシ、フーシン、リュウ、シーフォン。ああ良かった、皆無事だった、込み上げてきた安堵はジンシの無事を確認できた時と変わりがない。
皆が大切な人だ。
そして見たことのない男が3人。
みんな緊張した面持ちで、輪になって座っている。
「身体は大事ないか?」
「はい、大丈夫です。」
父に問われて答えると、僅かに父の目元が綻ぶのに気付いた。
父とジンシの間に座るように促されて、そのままそこへと触る。
「紹介する、白虎の長のヤジュ、正殿の副長官のコング、影の長シュイだ。」
名を呼ばれた者は軽く会釈し、リーエンはそれぞれに答えた。
「まず、あの後何があったかを話さねばならない。
扉が閉まるとすぐに影が総員で皆の縛りを解き始めた。」
アナン様が放った火は油の助けを借りて、瞬く間に大きく広がった。
その時、ティバルは決めた。全てを燃やし尽くし、全てを隠滅してしまうことを決めた。
「そのまま全員退却!火はそのまま消すな!」
自由になった者からまだ縛られている者を解き放っていった。
「ソニア様やお側女様は?」
ティバルは周りの者の縄を解きながら、周りの者に尋ねた。
「ソニア様とチェン様は急ぎ宮へ戻られております。スーチー様のお姿は行方知れずです。おそらくシャンと逃げたかと。」
「…スーチー様はともかく、太夫は逃すな!」
「はっ!」
父の怒号を聞いて、シーフォンが駆け出していく。
その時リュウはジンシとリーエンが消えた扉へと向かっていた。
火の手が迫る扉の前には屈強な朱雀の男達が身構えていた。
「退けよ!」
リュウが剣を向けても、朱雀の者達は動こうとはしなかった。
「この先、通す訳には参りません。アナン様の命懸けの本懐の邪魔立てはさせません!」
それより、と朱雀の兵士たちは2人の女をリュウへと引き渡した。
セイと見た事がない少女。
「リーエン様の小姓と影だ。」
朱雀の男がそう伝えてきた。
「それとも女2人、見殺しにするか?」
といやらしく嘲笑う。
「リーエン様の伝言です。私は大丈夫だから、いう通りにしろ、命を守ることを優先しなさい!と。」
セイの言葉を聞いてもリュウは迷っていた。
「どちらにせよ、今は先には行けない。
アナン様は死の鳥籠を動かした。」
「死の鳥籠」の噂は聞いた事がある。
高貴なる人が緊急時に使う避難路には毒霧が仕込まれている、と。
狭い一本道の通路で、追っ手を阻むために毒を撒く。
当然、高貴なる人は逃げ果せるか、安全な場所に籠っている。
「今すぐは行けない。毒気が抜けるまでは誰人も入れない。四半刻ほどは待て。」
くそっ!
とりあえずセイと影の女を連れて、外へ出るしかないか。
「ここの火は消されない。お前たちも…」
逃げろ、と言いかけて無駄な事だと思った。
この兵士たちは死を覚悟した目をしていた。
…見た事は幾度もある。あの戦禍のサルザックで嫌というほど見た。
「アナン様に誰も通さない、とお約束した。
どのみち朱雀の者は許されない。帝に手を掛けた朱雀の者は許されてはならない。」
瞬間的に敵も味方もなく、ただひとりの主人に仕えた一兵卒として、通じるものを感じてしまう。
兵士達の背後で、一番初めに燃えた柱が大きく崩れて、リュウと兵士たちの間に倒れ込んだ。
くそっ!
火の粉と煙が立ち上がり、セイが大きく咳をして喘いだのを見て、リュウは諦めざるを得なかった。
「セイ、動けるか?」
「…ゴホっ、はい…大丈夫、ゴホゴホっ、です。」
「そなたは?」
「…大丈夫です。」
手が自由になった少女はいつのまにか覆面で口元を覆っている。
どうやら本当にきちんと鍛錬を積んだ影のようだ。
「セイを任せられるか?私はまだやらなければならない事がある。」
ティバル様より先に逃げ出す訳にはいかない。
「はい、お任せください。」
と少女とセイは立ち登る煙と炎の中に消えていった。
リュウの話を聞きながら、リーエンは大切な事を思い出した。
あー!そうよ!
「セイは?セイはどこ?」
「…セイは無事だよ。今はバイセンシャンの山荘に行ってもらっている。」
と父が教えてくれた。
「…山荘に?」
「無事なのね。」
「ああ、セイもリンも無事だった。」
「至急決めねばならない事がある、セイにはそのために山荘に行ってもらった。」
「決めなければならない事?」
「ああ、フェイの処遇だ。」
父、ジンシ、フーシン、リュウ、シーフォン。ああ良かった、皆無事だった、込み上げてきた安堵はジンシの無事を確認できた時と変わりがない。
皆が大切な人だ。
そして見たことのない男が3人。
みんな緊張した面持ちで、輪になって座っている。
「身体は大事ないか?」
「はい、大丈夫です。」
父に問われて答えると、僅かに父の目元が綻ぶのに気付いた。
父とジンシの間に座るように促されて、そのままそこへと触る。
「紹介する、白虎の長のヤジュ、正殿の副長官のコング、影の長シュイだ。」
名を呼ばれた者は軽く会釈し、リーエンはそれぞれに答えた。
「まず、あの後何があったかを話さねばならない。
扉が閉まるとすぐに影が総員で皆の縛りを解き始めた。」
アナン様が放った火は油の助けを借りて、瞬く間に大きく広がった。
その時、ティバルは決めた。全てを燃やし尽くし、全てを隠滅してしまうことを決めた。
「そのまま全員退却!火はそのまま消すな!」
自由になった者からまだ縛られている者を解き放っていった。
「ソニア様やお側女様は?」
ティバルは周りの者の縄を解きながら、周りの者に尋ねた。
「ソニア様とチェン様は急ぎ宮へ戻られております。スーチー様のお姿は行方知れずです。おそらくシャンと逃げたかと。」
「…スーチー様はともかく、太夫は逃すな!」
「はっ!」
父の怒号を聞いて、シーフォンが駆け出していく。
その時リュウはジンシとリーエンが消えた扉へと向かっていた。
火の手が迫る扉の前には屈強な朱雀の男達が身構えていた。
「退けよ!」
リュウが剣を向けても、朱雀の者達は動こうとはしなかった。
「この先、通す訳には参りません。アナン様の命懸けの本懐の邪魔立てはさせません!」
それより、と朱雀の兵士たちは2人の女をリュウへと引き渡した。
セイと見た事がない少女。
「リーエン様の小姓と影だ。」
朱雀の男がそう伝えてきた。
「それとも女2人、見殺しにするか?」
といやらしく嘲笑う。
「リーエン様の伝言です。私は大丈夫だから、いう通りにしろ、命を守ることを優先しなさい!と。」
セイの言葉を聞いてもリュウは迷っていた。
「どちらにせよ、今は先には行けない。
アナン様は死の鳥籠を動かした。」
「死の鳥籠」の噂は聞いた事がある。
高貴なる人が緊急時に使う避難路には毒霧が仕込まれている、と。
狭い一本道の通路で、追っ手を阻むために毒を撒く。
当然、高貴なる人は逃げ果せるか、安全な場所に籠っている。
「今すぐは行けない。毒気が抜けるまでは誰人も入れない。四半刻ほどは待て。」
くそっ!
とりあえずセイと影の女を連れて、外へ出るしかないか。
「ここの火は消されない。お前たちも…」
逃げろ、と言いかけて無駄な事だと思った。
この兵士たちは死を覚悟した目をしていた。
…見た事は幾度もある。あの戦禍のサルザックで嫌というほど見た。
「アナン様に誰も通さない、とお約束した。
どのみち朱雀の者は許されない。帝に手を掛けた朱雀の者は許されてはならない。」
瞬間的に敵も味方もなく、ただひとりの主人に仕えた一兵卒として、通じるものを感じてしまう。
兵士達の背後で、一番初めに燃えた柱が大きく崩れて、リュウと兵士たちの間に倒れ込んだ。
くそっ!
火の粉と煙が立ち上がり、セイが大きく咳をして喘いだのを見て、リュウは諦めざるを得なかった。
「セイ、動けるか?」
「…ゴホっ、はい…大丈夫、ゴホゴホっ、です。」
「そなたは?」
「…大丈夫です。」
手が自由になった少女はいつのまにか覆面で口元を覆っている。
どうやら本当にきちんと鍛錬を積んだ影のようだ。
「セイを任せられるか?私はまだやらなければならない事がある。」
ティバル様より先に逃げ出す訳にはいかない。
「はい、お任せください。」
と少女とセイは立ち登る煙と炎の中に消えていった。
リュウの話を聞きながら、リーエンは大切な事を思い出した。
あー!そうよ!
「セイは?セイはどこ?」
「…セイは無事だよ。今はバイセンシャンの山荘に行ってもらっている。」
と父が教えてくれた。
「…山荘に?」
「無事なのね。」
「ああ、セイもリンも無事だった。」
「至急決めねばならない事がある、セイにはそのために山荘に行ってもらった。」
「決めなければならない事?」
「ああ、フェイの処遇だ。」
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