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停戦
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ニルスとサトラリアの休戦協定会議はエリールの今は主人のいない領主館で行われることとなった。
サトラリアからは王太子、ニルスからは第二王子アリストリアがそれぞれ非武装で邸内に入る事に決まった。
「休戦協定とはいえ戦争中なのに、非武装とは。にわかには信じがたい…。」
暗に大丈夫なのか?との思いを込めて、案内人に尋ねる。
案内人であるエリール領主代行夫人ローラは澄まして
「モーリの意向なので大丈夫かと。」
と請け負った。
「サトラリアは人質の意向を随分聞くんだな。」
「ええ、アリストリア殿下のお陰で職人のリーンがザイモックに逃れているので、サトラリア王はご機嫌なんです。」
「…嫌味か?それは。」
「いえ、事実ですよ。」
迎えに出たローラを見て驚いたアリストリアからつい出てしまった言葉は
「随分フットワークの軽い領地代行夫人だな。」
だった。
ローラとクリスはエリール侵攻のタイミングで王子宮から抜け出していた為、サトラリアにもニルスにも捕虜となる事なく逃れる事ができた。
ローラ達はリーンをレインに託してすぐにエリールへと駆け戻り、領主代行と共に領地と屋敷を守っていた。
「一緒にザイモックに赴いたのかと思っていた。」
「まさか。レインがいない時に領地を守るのが我が一族の使命ですから。
それより殿下、リーンを泣かせたんですからね。殿下には気張ってもらわないと困りますよ。」
リーン、と聞いて胸がギュッっと掴まれる。
今すぐザイモックへリーンを追い掛けて行きたい。
その思いをグッと堪えて、今ニルス王族として最後になるであろう仕事に向き合っている。
「リーンを泣かせた理由のひとつはローラの策略だと王妃は言っていたが?」
眉尻を少しのきつめにあげてもうひとつ嫌味の爆弾を落とした。
ローラが日にちをずらしてリーンに伝えていたからこそ、俺たちはきちんと別れを伝え合う事が出来ていない。
「策略だなんて、大袈裟ですよ。あのまま放っておくと何もかも殿下に曝け出してしまいかねなかったんですもの。」
ローラには俺の嫌味は通じないらしく、飄々と流されてしまう。
(敵わないな。)
アリストリアは苦笑するしかない。
大体男爵夫人という身分を隠して城に侍女として乗り込んだだけの肝を持った人だ。一筋縄ではいかない人だということがそれだけでもよくわかる。
「お見えになりました。」
軽いノックと共にローラが告げると、
「入れ。」
と返事が来た。
(…?聞いたことある気がする声だが?)
開かれた扉の向こうには、ニンマリとこちらを見て笑うモーリウスの姿があった。
サトラリアからは王太子、ニルスからは第二王子アリストリアがそれぞれ非武装で邸内に入る事に決まった。
「休戦協定とはいえ戦争中なのに、非武装とは。にわかには信じがたい…。」
暗に大丈夫なのか?との思いを込めて、案内人に尋ねる。
案内人であるエリール領主代行夫人ローラは澄まして
「モーリの意向なので大丈夫かと。」
と請け負った。
「サトラリアは人質の意向を随分聞くんだな。」
「ええ、アリストリア殿下のお陰で職人のリーンがザイモックに逃れているので、サトラリア王はご機嫌なんです。」
「…嫌味か?それは。」
「いえ、事実ですよ。」
迎えに出たローラを見て驚いたアリストリアからつい出てしまった言葉は
「随分フットワークの軽い領地代行夫人だな。」
だった。
ローラとクリスはエリール侵攻のタイミングで王子宮から抜け出していた為、サトラリアにもニルスにも捕虜となる事なく逃れる事ができた。
ローラ達はリーンをレインに託してすぐにエリールへと駆け戻り、領主代行と共に領地と屋敷を守っていた。
「一緒にザイモックに赴いたのかと思っていた。」
「まさか。レインがいない時に領地を守るのが我が一族の使命ですから。
それより殿下、リーンを泣かせたんですからね。殿下には気張ってもらわないと困りますよ。」
リーン、と聞いて胸がギュッっと掴まれる。
今すぐザイモックへリーンを追い掛けて行きたい。
その思いをグッと堪えて、今ニルス王族として最後になるであろう仕事に向き合っている。
「リーンを泣かせた理由のひとつはローラの策略だと王妃は言っていたが?」
眉尻を少しのきつめにあげてもうひとつ嫌味の爆弾を落とした。
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「策略だなんて、大袈裟ですよ。あのまま放っておくと何もかも殿下に曝け出してしまいかねなかったんですもの。」
ローラには俺の嫌味は通じないらしく、飄々と流されてしまう。
(敵わないな。)
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