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プロローグ
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そろそろ梅雨も開けるかと思われた7月。
稜は後輩を応援するために市民球場を訪れた。
茹だるような暑さのなか、稜の目を引いたのは1人の女子高生だった。
…なんでこっちに?
まあ、プロ野球程の厳密さではないけれど、ホームベース延長上の、一応コッチ側の応援席に、敵チームのキャップを被りユニホームを着て、しかし制服のスカート姿の女子高生。時折、「拓郎ー!」と声を張り上げる様子、間違う事なくマネージャー。
膝の上にスコアブックを広げて、敵チーム側のスタンドにたったひとりで…。
大丈夫かな?と心配になったのはなんでだろう。プロの試合の観戦なら、飲み過ぎたディープなファンに絡まれる事はあるかもしれないけれど、熱闘爽やか甲子園の、地方予選ならそんな心配なんか要らないっていうのに。
「稜?」
立ち止まってしまった俺を気遣う連れの仲間の呼びかけに、
「俺、球筋みたいからコッチにいる。後で行くわ。」
と答えたのは…気まぐれか運命か。
「おう、後でな。」
と手を振る仲間を見送って、俺はその子の隣、数個の椅子をあけて座り込んだ。
稜は後輩を応援するために市民球場を訪れた。
茹だるような暑さのなか、稜の目を引いたのは1人の女子高生だった。
…なんでこっちに?
まあ、プロ野球程の厳密さではないけれど、ホームベース延長上の、一応コッチ側の応援席に、敵チームのキャップを被りユニホームを着て、しかし制服のスカート姿の女子高生。時折、「拓郎ー!」と声を張り上げる様子、間違う事なくマネージャー。
膝の上にスコアブックを広げて、敵チーム側のスタンドにたったひとりで…。
大丈夫かな?と心配になったのはなんでだろう。プロの試合の観戦なら、飲み過ぎたディープなファンに絡まれる事はあるかもしれないけれど、熱闘爽やか甲子園の、地方予選ならそんな心配なんか要らないっていうのに。
「稜?」
立ち止まってしまった俺を気遣う連れの仲間の呼びかけに、
「俺、球筋みたいからコッチにいる。後で行くわ。」
と答えたのは…気まぐれか運命か。
「おう、後でな。」
と手を振る仲間を見送って、俺はその子の隣、数個の椅子をあけて座り込んだ。
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