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第14話 ランチ
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ヨナちゃんの家を出たのはまだお昼前だった。
「マレック様、この後どうしますか?」
「そうだな、少し早いけどランチを食べながら考えよう」
ミキの希望も聞きながら、ちょっと高目の小綺麗レストランに入る。
ボクは日替わりAランチをミキはBランチを頼む。
さほど待たずに出てきたランチを食べながら、午後からの予定を話し合う。
「Eランクの坑道に行ってみてはどうでしょう」
「それも考えたんだけど、やっぱりもう一日Fランクで様子をみてからにするよ」
F3坑道に二日入ったが、アングラウサギは危なげなく狩ることができた。もうランクを上げてEランクの坑道でもいいと思うが、Fランクには一人週に六トウの制限がある。折角ならそこまではFランクで様子を見てみたい。
それに明日はヨナちゃんとF3坑道で約束をしている。無理にEランク坑道に挑戦して怪我でもして、行けなくなったら大変だ。
できれば安全に訓練できる所が有ればいいのだが。
食事をしながら話し合っているうちに店内が混み合ってきた。
「すみません、相席いいですか?」
「構いませんよ」
「ありがとうございます」
店員に聞かれたので、ボクは気楽にそう答えてしまった。
「こちらの席でお願いします」
「わかったわ。相席で失礼しま……」
どこかで聞いた声だと思ったら、店員に案内されてやってきたのはアリサだった。
「なんであなたがここにいるの?」
「そう言われても、ただランチを食べてるだけだが?」
後から来て文句を言われても困る。気に入らなければ他の店に行けばいいのだ。
「朝、坑道に入ったわよね。なんでもうここにいるのよ! ああ、途中で諦めて出てきたのね」
「いや、ちゃんと制限一杯まで狩ってきたけど?」
「制限一杯って、幼女のポーターを雇ってなかった?」
「雇ったね。だから六トウ狩ってきたけど?」
「なんでそれで、私たちより早いのよ!」
仮に「マナを感じることでアングラウサギを見つけられるから」と言っても信じてもらえないだろうな。
面倒くさいな。
「サクサク狩ってきたからかな?」
「ああ、わかった、運がよかっただけなのね」
「うん、まあ、そうだね」
「ちょっと、真面目に答える気がないの!」
ありませんが、とは答えられないよな。
「仮に本当のことを話したら、アリサはボクのことを信じてくれるのかい?」
「あなたのことなんて信じられるわけないでしょ」
「それなら聞くだけ無駄じゃないか」
「それは……」
「ボクたちはこれで失礼するよ。どうぞごゆっくり」
食事はまだ少し残っていたが、アリサと一緒に食事をする気にはなれなかった。
さっさと会計を済ませてレストランを出る。
「午後からの予定が決められませんでしたね」
「明日に備えて、ホテルの部屋でゴロゴロするよ」
「では、私は少し買い物に、遅くなるかもしれませんので、その場合夕食はルームサービスで済ませて先にお休みください」
「わかった」
ミキも女性だから、ボクが一緒だと買い難い物もあるだろう。まして、ほとんど荷物を持たずに出てきてしまったのだ。買い揃えなければならない物も多いだろう。
ボクはホテルに、ミキは買い物に向かった。
ボクはホテルで瞑想しながら、マナを感知し、操作する鍛錬に時間を費やした。少しでも早く、ヨナちゃんのお母さんを元気にできればと考えながら。
気が付いたら薄暗くなっていたので、言われたとおりルームサービスを頼んで夕食を食べた。その後、暫く待っていたがミキは戻ってこなかった。
ミキが戻ってきたのは、ボクが寝て、夜半過ぎになってからだった。
いったい、こんな夜遅くまで何をしていたのだろう。買い物というには無理がある。
だが、ミキも羽根を伸ばしたいこともあるだろうから、そこはあえて聞かずにおいた。
翌朝はここ数日にはないほどスッキリと目覚めることができた。
テキパキと準備をしてF3坑道に向かう。
坑道の入り口前には、約束どおりヨナちゃんが待っていた。
「ヨナちゃん、おはよう」
「おはようございます。お兄ちゃん」
「今日もポーターを頼んで大丈夫かな?」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「それじゃあ、今日もサクサク行こうか」
「はい」
今日はトラブルもなく順調に坑道に入ることができた。
何故だか、アリサもククリもいなかったなお陰だ。
ククリは制限一杯だと言っていたし、アリサは他の坑道に行ったのかもしれない。
狩もあっという間に済ませて坑道を出ると、いつもの係員から話しかけられた。
「連日トップか。しかも六トウ。どうやってるんだ?」
「どうやってるかと聞かれても、運が良かっただけですよ」
「二日続けて、そんな訳ないだろう。でもまあ、手の内を晒すわけにはいかないか」
「まあ、そうですね」
「今日で週の制限一杯だが、明日からはどうすんだ」
「明日からは、Eランクの坑道に行ってみようと思います」
「えー。お兄ちゃん、Eランクに行っちゃうの」
「ヨナちゃんごめんね。もう、週の制限一杯なんだ」
「そうなんだ……」
「まあ、たまにはこっちも来てくれよ。楽しみにしている子もいるみたいだから」
「お兄ちゃん、また来てよね」
「ヨナちゃんが待ってるならまた来ないとだな」
まあ、ヨナちゃんと一緒なら、一日おきでもいいかもしれない。
手続きが終わったので、今日もヨナちゃんの家にお見舞いに行こうと、三人で歩き出したら後ろから声をかけられた。
「ちょっと待て!」
ボクが振り返ると声をかけてきたのは、大剣を肩から背負った知らない男だった。
「チッ。男かよ」
なんだろう、ナンパか何かだろうか?
「メイドを連れているから声をかけてみたが、幼女も連れた変態か」
なぜ、ボクは見ず知らずの男に罵倒されなければならないのだろう?
「あの、用がないなら行っていいか?」
「ああ、お前なんかに用はない。さっさと行け」
なんだったのだろう。それにしても態度が横柄な奴だ。
「マレック様、この後どうしますか?」
「そうだな、少し早いけどランチを食べながら考えよう」
ミキの希望も聞きながら、ちょっと高目の小綺麗レストランに入る。
ボクは日替わりAランチをミキはBランチを頼む。
さほど待たずに出てきたランチを食べながら、午後からの予定を話し合う。
「Eランクの坑道に行ってみてはどうでしょう」
「それも考えたんだけど、やっぱりもう一日Fランクで様子をみてからにするよ」
F3坑道に二日入ったが、アングラウサギは危なげなく狩ることができた。もうランクを上げてEランクの坑道でもいいと思うが、Fランクには一人週に六トウの制限がある。折角ならそこまではFランクで様子を見てみたい。
それに明日はヨナちゃんとF3坑道で約束をしている。無理にEランク坑道に挑戦して怪我でもして、行けなくなったら大変だ。
できれば安全に訓練できる所が有ればいいのだが。
食事をしながら話し合っているうちに店内が混み合ってきた。
「すみません、相席いいですか?」
「構いませんよ」
「ありがとうございます」
店員に聞かれたので、ボクは気楽にそう答えてしまった。
「こちらの席でお願いします」
「わかったわ。相席で失礼しま……」
どこかで聞いた声だと思ったら、店員に案内されてやってきたのはアリサだった。
「なんであなたがここにいるの?」
「そう言われても、ただランチを食べてるだけだが?」
後から来て文句を言われても困る。気に入らなければ他の店に行けばいいのだ。
「朝、坑道に入ったわよね。なんでもうここにいるのよ! ああ、途中で諦めて出てきたのね」
「いや、ちゃんと制限一杯まで狩ってきたけど?」
「制限一杯って、幼女のポーターを雇ってなかった?」
「雇ったね。だから六トウ狩ってきたけど?」
「なんでそれで、私たちより早いのよ!」
仮に「マナを感じることでアングラウサギを見つけられるから」と言っても信じてもらえないだろうな。
面倒くさいな。
「サクサク狩ってきたからかな?」
「ああ、わかった、運がよかっただけなのね」
「うん、まあ、そうだね」
「ちょっと、真面目に答える気がないの!」
ありませんが、とは答えられないよな。
「仮に本当のことを話したら、アリサはボクのことを信じてくれるのかい?」
「あなたのことなんて信じられるわけないでしょ」
「それなら聞くだけ無駄じゃないか」
「それは……」
「ボクたちはこれで失礼するよ。どうぞごゆっくり」
食事はまだ少し残っていたが、アリサと一緒に食事をする気にはなれなかった。
さっさと会計を済ませてレストランを出る。
「午後からの予定が決められませんでしたね」
「明日に備えて、ホテルの部屋でゴロゴロするよ」
「では、私は少し買い物に、遅くなるかもしれませんので、その場合夕食はルームサービスで済ませて先にお休みください」
「わかった」
ミキも女性だから、ボクが一緒だと買い難い物もあるだろう。まして、ほとんど荷物を持たずに出てきてしまったのだ。買い揃えなければならない物も多いだろう。
ボクはホテルに、ミキは買い物に向かった。
ボクはホテルで瞑想しながら、マナを感知し、操作する鍛錬に時間を費やした。少しでも早く、ヨナちゃんのお母さんを元気にできればと考えながら。
気が付いたら薄暗くなっていたので、言われたとおりルームサービスを頼んで夕食を食べた。その後、暫く待っていたがミキは戻ってこなかった。
ミキが戻ってきたのは、ボクが寝て、夜半過ぎになってからだった。
いったい、こんな夜遅くまで何をしていたのだろう。買い物というには無理がある。
だが、ミキも羽根を伸ばしたいこともあるだろうから、そこはあえて聞かずにおいた。
翌朝はここ数日にはないほどスッキリと目覚めることができた。
テキパキと準備をしてF3坑道に向かう。
坑道の入り口前には、約束どおりヨナちゃんが待っていた。
「ヨナちゃん、おはよう」
「おはようございます。お兄ちゃん」
「今日もポーターを頼んで大丈夫かな?」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「それじゃあ、今日もサクサク行こうか」
「はい」
今日はトラブルもなく順調に坑道に入ることができた。
何故だか、アリサもククリもいなかったなお陰だ。
ククリは制限一杯だと言っていたし、アリサは他の坑道に行ったのかもしれない。
狩もあっという間に済ませて坑道を出ると、いつもの係員から話しかけられた。
「連日トップか。しかも六トウ。どうやってるんだ?」
「どうやってるかと聞かれても、運が良かっただけですよ」
「二日続けて、そんな訳ないだろう。でもまあ、手の内を晒すわけにはいかないか」
「まあ、そうですね」
「今日で週の制限一杯だが、明日からはどうすんだ」
「明日からは、Eランクの坑道に行ってみようと思います」
「えー。お兄ちゃん、Eランクに行っちゃうの」
「ヨナちゃんごめんね。もう、週の制限一杯なんだ」
「そうなんだ……」
「まあ、たまにはこっちも来てくれよ。楽しみにしている子もいるみたいだから」
「お兄ちゃん、また来てよね」
「ヨナちゃんが待ってるならまた来ないとだな」
まあ、ヨナちゃんと一緒なら、一日おきでもいいかもしれない。
手続きが終わったので、今日もヨナちゃんの家にお見舞いに行こうと、三人で歩き出したら後ろから声をかけられた。
「ちょっと待て!」
ボクが振り返ると声をかけてきたのは、大剣を肩から背負った知らない男だった。
「チッ。男かよ」
なんだろう、ナンパか何かだろうか?
「メイドを連れているから声をかけてみたが、幼女も連れた変態か」
なぜ、ボクは見ず知らずの男に罵倒されなければならないのだろう?
「あの、用がないなら行っていいか?」
「ああ、お前なんかに用はない。さっさと行け」
なんだったのだろう。それにしても態度が横柄な奴だ。
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