かわいいは正義(チート)でした!

孤子

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第2章

今更ですが・・・

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 途中で戦闘を挟み、予定とは違う進路で進んでいることもあり、今日中にショープに着くことができないと判断したディランは、少し早めに野営の準備をする方針にした。

 いつも通りみんなが準備をする中、私とルーナは文字の勉強をしていた。

 「これが『の』です。」

 そう言ってルーナが書く文字は途中まで見知らぬ形だったものの、完成した瞬間に日本語の『の』の形に変わった。

 (何というか・・・便利なのは便利なんだけど、結構紛らわしいね。)

 (確かに。自分で書いてて思うけど、書き終わった後に別の形に変わられるとちゃんと書けてるか判断付きにくいし。)

 (まあでも逆に考えると、私たちが読める言葉に変換されたということはちゃんと書けてるってことだと思うし。)

 内心二人は戸惑いつつもどんどん文字を覚えていき、50音すべてを覚えるのもあと少しまで来ていた。

 この世界に漢字にあたるものがあったとすればまだまだかもしれないが、けれど意思の疎通はこれでできるようになるだろう。

 あとは知らない記号とかを覚えられれば魔法書も読み解ける。そうなれば私たちの時代が来るって寸法だ。

 目指せ!アンブルドア!

 「ご飯できたよー。」

 レナのご飯コールが聞こえてきたところで勉強は一時中断し、ルーナと一緒にかがり火のほうに向かう。

 「今日はウーノートのかば焼きです!」

 「うおー、うまそうだな!」

 レナが皿に盛ったそれは香ばしい匂いを漂わせるようなきつね色に焼けた薄切り肉だった。

 肉の表面にはタレが塗られていて、それがきつね色の照りの正体だった。これはポートでなくてもよだれがダダ漏れる。

 しかし悲しきかな。私たちは未だ味覚の再現が叶っていない。

 そう。私たちがディラン達に内緒で行っていたことは、何も技の開発だけではないのだ。

 私たちはこの恐ろしくも素晴らしき世界を満喫するために、五感の再現を試みているのだ。

 と、言っても再現しようとしているのはそのうちの味覚と嗅覚だけなのだが。そもそも視覚と聴覚はあるしね。

 触覚はあったほうがいいだろうけど、それが巡り巡って痛覚の再現になってしまうと嫌なので再現しようと思ってはいない。

 なので実質4感の再現ということなのだが。

 それに加えて発声の練習もしている。

 まあつまり何をしているのかといえば、人間社会である程度不自由に生活できる状態を目指しているということなのだ。

 一応人間形態になれるよう特訓したりもしているが、やっぱりかなり高度な技術力と精神力を要求されるようで、部分的に形態変化させてもほとんど維持できず、前進ともなればもはや一瞬たりとも形態変化させることができない。

 だから今はせめて味覚だけでも再現できればと思ってカバンの中にいるときや深夜など時間があるときに試してはいるものの、まだその再現に至ってはいないのだった。

 (あ~。早くレナさんの料理を味わってみたい。というか味のついた食べ物が食べたい。)

 (これだけ食に飢えたこともなかったね。)

 前世では考えられないほどの食への欲求。

 考えてみれば、いや考えるまでもなく、前世は贅沢な世界だったのかもしれない。

 人があふれ、物があふれ、様々な食べ物が作られていた前世。貧困にあえぐ地域もあり、皆が皆満たされていたわけではなかったが、それでも食べ物の味を、温かさを知らなかったものはいなかった。

 とりわけ食に関して裕福であった日本では、毎日大量の食べ物が生産され、しかしすべてが口にされることはなく、廃棄されてしまう。高校の授業でそんなことを習った覚えがある。

 そんな日本では味にうるさいものも多く、日本の食文化は世界でも誇れるほどに発達していた。

 そんな日本で住んでいた私たちは今、味覚を失い、嗅覚を失い、目の前に出されるものを、ただただ吸収してエネルギーとするだけとなっていた。

 そんなこと耐えられるわけがない。

 せめてほんの少しでも、その味がわかるならば。そう願わずにはいられないほどに、私たちは食に、味に飢えていたのだ。

 レナの料理を次々と平らげながら、ふつふつの熱いものがこみ上げてくる。

 (これはいよいよ、街に着く前に完成させないといけないね。)

 (うん。私もこのままじゃ嫌。のーちゃん!頑張ろう!)

 (あたぼうよ!)

 私たちはもりもりと料理を食べる心のうちで、ほろりと涙を流しながら、固く握手をするのだった。

 この世界に来てから本当に、泣かされてばっかりだ。

 次の日の朝。私たちはいつもよりもゆったりと準備し、ショープに向かっていた。

 地図からするともうすぐショープの外壁が見えてくる街道にでるらしく、それほど急ぐ必要もないのでゆっくりまったり行こうという流れになったのだ。

 それでも昼前には着くらしく、私たちは結構楽しみにその時を待っていた。

 「もうすぐショープか~。早くお風呂入りたいよね!」

 「確かに。魔法で多少清潔感を保っているとはいえ、こればかりは気分の問題ですからね。」

 レナとルーナは実に女子らしい会話を繰り広げている。

 というかこの世界のお風呂って割と気軽にはいれるんだね。異世界って結構風呂事情に厳しい感じだと思ってたけど。

 (上下水道とかどうなってるんだろう。ちゃんとしてるのかな?)

 (でもお風呂に気軽に入れるってことはそういうのも完備してるもんじゃないの?)

 (わからないよ。ディラン達は実はすっごいお金持ちとか。)

 なるほど。そういう考え方もできるのか。

 確かにポート以外はどことなく気品のある立ち居振る舞いに見えるし。レナもかなりフランクに接しているように見えるけど、黙って立ってたらかなり見栄えがいいのは事実。

 というかこれはポートも含めてだけど、4人とも顔面偏差値が異様なほど高い。ルーナとかローブの代わりにドレス着たら本当に貴族のご令嬢って感じになるだろうし、ディランに至っては実直で誠実そうなところが装備と相まってマジ王子様。

 (やっぱりディランさんに惚れちゃってるのかな~?)

 (だから違うって!)

 美景の茶化しは置いといて。やっぱり美男美女ぞろいっていうのは間違いようがない。ポートもなんだかんだチャラいけど、でも居住まいを正せば結構いけてる。

 ・・・・。

 ポートは髪が金髪でオールバックのワイルド系男子。
服装はその意外と細身な体に合った黒のインナーの上に、身軽さを重視しつつある程度の防御も意識した軽鎧。

 ボトムも上の印象に合わせて割合地味な色合いで統一されていて、靴は革製のブーツ。

 顔と言動の印象からは考えられないほど派手さのない装備だ。6点。

 レナはその明るい性格がそうさせるのか、全体的な色合いは赤。ポニーテールにした髪の色が赤なのはもとより、白のインナーの上に着ている革鎧は縁が赤色に染められているし、弓も所々赤が目立つ。女の子らしい少し短めのスカートも、当然赤色だ。

 スカートの下はスパッツを履いていて、色は黒。わかってらっしゃる。

 靴は動きやすい作りの革靴で、結構使い込まれているのがわかる。ちなみに白のニーハイです。8点!

 ルーナは黒髪で紫色の瞳。表情は割と動かないものの、そういうところがまた深窓の令嬢っぽさを際立たせる眉目秀麗な顔立ち。

 体のラインがほぼうかがえないような紫色のローブを身にまとっているが、それでも隠し切れない胸。
 
 ・・・そしてローブの下は結構上等な生地を使っているような感じのする白のYシャツのようなもの。結構フリルついてる。貴族が割と好んでつけている感じのあれ。

 そして膝下まである黒のスカート。靴はまさかのパンプス。動きにくくはないのだろうか。というかよく走れたな。

 全体的にはパッとしないザ・魔法使い!みたいな服装だけど脱いだら凄い的な意味で9点!

 ディランは結構さわやかな印象。髪も短く整えられているし、青を基調とした装備が余計にそう見せるんだと思う。

 髪の色はプラチナブロンドで、瞳は青色。鍛えられた肉体はインナー越しでもわかるほどだけど、なんというか細マッチョ的な感じ。ゴツゴツした感じは受けない。

 肌は乙女もうらやみそうな白色で、それとは対照的に鎧は黒を基調としたシックな感じ。縁が金色で、手の甲や膝、肩とかに宝石のようなものが埋め込まれている。

 全身鎧じゃないから鎧の下に着ている服が見えているけど、それも黒だから鎧と一体になっているように見える。もう全身黒ずくめ。

 あれかな。暗黒騎士的な。8点!

 以上!突然のコーディネートチェックでした!

 (いきなりどうしたの?)

 (いやあ。よく考えてみたらみんなの服装とか全く触れてなかったから読者の皆様に伝えられてなかったな~と思って。)
 
 (何言ってるの?)

 美景があきれた視線ならぬあきれた思念を飛ばしてきていらっしゃる。

 何はともあれ、美男美女を要したディランパーティーはようやくショープが見える整備された街道に出てきたのであった。

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