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第5章
親父との会談
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「それで、謁見の方はうまくいったのか?」
ディランが王宮に住んでいた頃そのままに残されていた部屋に呼び集められて、お互いの情報を交換しようという事になったわけだが、全員が集まって一番に俺はディランに向けてそう問うた。
エラルダと俺が別の客と会っていた間の事はまだ聞いていなかったから、自身の知りえた情報と照らし合わせて今の状況をより正確に知りたくてつい早口になってしまう。なかなかこの性分は治らないらしい。
ディランは少しばかり重めのため息をついて指を組んだ。こういう時は大抵うまくいかなかったか、そうでもなければ面倒が増えたと考えた方がいいだろう。
「まあ、オーランド男爵の考え通りに話が運んだ形だろうな。あまりにもスムーズに事が運び過ぎだ。恐らくある程度の根回しは事前に済ませていたのだろう。今日だけで話がまとまるとは思わなかったからな。」
なるほど。面倒が増えたというよりは、これから面倒が増えるだろうという事か。オーランド男爵に振り回される未来が見えると。
実際、オーランド男爵はこうなることを想定して動いていた。わざわざディランのために謁見用の原稿を用意してくるくらいだ。随分前から動いていたのだろう。
「結局どんな要求をしたんだ?それによっては今後の動きも決まってくるだろ。あんまり大きな話じゃないと嬉しいんだが。」
そういった瞬間、ディラン以外の謁見に出た全員が微妙な表情になった。表情が読み取りにくいはずのライムでさえ、ルーナの肩の上で気まずそうに座っているように見える。
「奴隷制度の撤廃を要求した。」
これはまた面倒なことになりそうだと思っていると、ディランが口を開き、その答えを聞いて俺は思わず表情がひきつった。
「おい。今なって言った?」
「奴隷の解放を願い、また奴隷だったものに人権を与え、望むものにはこの王国の民として遇するようにという要求をした。」
「それを、国王とその場にいた重役たちは聞き入れたのか?」
「その通りだ。反対意見など出ずにな。」
さらっとディランは言ってのけるが、事はそう悠長に構えていられるものではない。
奴隷というのは単純に言えば、維持にほとんど金をかける必要のない労働力だ。最低限の衣食住さえ与えれば農耕にも手作業にも重労働にも使える。あまり好きな言葉ではないが、つまりは使い勝手の良い道具、魔道具のようなものだ。
俺自身は奴隷なんて身分は好かないし、奴隷制度がなくなるのはいいとさえ思うが、奴隷を重要な労働力として扱っているところはあまりにも多い。大商会と呼ばれる大店のほとんどは奴隷を扱っているし、貴族も含めて、ある意味なくてはならない存在となっているのに、その全てを解放するというのは影響が大きすぎる。絶対に国政への多大な反発が起きるだろう。
そして、そのデメリット全てに目をつぶったとしても無視できない大きな問題がある。
「ディラン。わかっているのか?それはつまり、真っ向からクライフ王子に喧嘩を吹っ掛けるってことだぞ。」
「わかっている。」
「下手すりゃ国を二分するぞ。クライフ王子はそれだけの勢力を築き上げている。」
ディランをまっすぐ見つめながら、俺はスヴェン侯爵、親父と話したことを思い出した。
騎士に連れられて、俺とエラルダはそれぞれの客室に向かった。エラルダは王太后近衛騎士のオルトン侯爵が待つ客室へ。そして俺は少し離れた客室へと通された。
「中でスヴェン侯爵がお待ちです。」
騎士が一言告げると扉の脇に控え、数度ノックする。
「ポート様をお連れしました。」
「通してくれ。」
返答を聞いてから騎士が扉を開き、俺だけが部屋の中へと入っていく。
部屋を入ってすぐ、ソファーに座る厳しい表情をした懐かしい顔が目に入った。相変わらず不機嫌そうだ。
「お久しぶりです。父上。」
「勝手に冒険者となって出て行った愚か者に父と呼ばれる筋合いはない。」
ああ、今回は本当に不機嫌なのか。いつもは不機嫌な顔をしているように見えて、実は特に何でもないという事が多いのだが。
「これは申し訳ありませんでした。それでは何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「・・・。」
茶化し過ぎただろうか。親父は黙ってじっと俺を睨み上げる。表情が変わらない人だから何を考えているのかわかりにくいが、今は表情通りに受け取っておいて間違いないだろう。
何も言ってこないので、俺は勧められるでもなく勝手に親父の向かいのソファーに腰を下ろし、こちらもと黙って親父を見返す。
しばらくたって、親父は小さく息をついて目を伏せた。
「・・・あまり面倒をかけさせるな。」
その親父の言葉の意味を正確に読めとれないほど、俺も馬鹿じゃない。
勝手にスヴェン家から出て行って冒険者となった。それだけでも多大な迷惑をかけたが、そんな親不孝者を親父は廃嫡しなかった。親父ならばいつもの厳しい表情のままに即刻廃嫡し、縁を切ると思っていたのにもかかわらず、俺がスヴェンを名乗ることを許し続けてきたのだ。それはつまり、家を出てから今までずっと、俺はスヴェン家に、親父に面倒をかけてきたという事だ。
俺は姿勢を正し、深く頭を下げた。感謝と謝罪の気持ちを表しながら。
「頭を上げろ。お前からは感謝の言葉も、謝罪の言葉も聞きたくはない。図太いままでいろ。」
最後の言葉はほとんど聞き取れなかったが、俺はすぐに親父の言葉通りに頭を上げる。親父の顔は幾分険が取れたようにみえるが、表情がピクリとも動いていないから俺の気のせいかもしれない。
「国王に頼んで謁見よりもこちらを優先させてもらった。今後の情勢に関わるうえに、終わったことよりもよほど重要な話だったからな。」
「終わったこと。ドラゴン討伐の報告よりも優先される事態ということですか?」
普通は国の危機に直結するような件の完了報告を終わったことなどと捨て置くことなどしない。報告、そしてその後の処理、国民に事態の終結を知らせるための式典などは、その後を考えるなら重要なはずだ。
確かに今回のドラゴン討伐は隣国のアスタリア皇国での出来事であり、国内で被害が出たという事でもない。しかし、派遣されたのはこの国の兵士と騎士だ。作戦が失敗していれば王国に被害が出た可能性も0ではない。
しかし、親父はそんなことは承知の上で、なおもこちらの話の方が重要であると言い切った。
「その通りだ。ある意味、こちらの話の方が実際の国の被害で言えば大きくなる可能性が高い。そして、この流れはもはや止めることができないだろう。」
「・・・クライフ王子の件でしょうか?」
俺が悩むことなく名を告げたことに、親父の口元は僅かに上向いたが、すぐに元に戻して厳しい表情となる。
「ここがどこかを考えてものを言え馬鹿者。」
という事は外れではないのか。
親父の言葉の裏を読んでこの先の話の展開を予想する。
俺がクライフ王子の名を出したのはただのあてずっぽうというわけでもない。
ドラゴン討伐の際、その裏でウォルトス王子がクライフ王子の調査をしていた。その折に見つけた街の地下。そして処理できずに残った多くの証拠品。その詳細は知らないが、クライフ王子が何か後ろ暗いことを行っているという事くらいは想像がつく。
そして、クライフ王子が狙っているのは昔から王座ただ一つ。つまり政争。ある意味ドラゴンよりも国の危機に直結する出来事だ。
場合によっては内乱になる。その時に出払うのはどちらも王国の兵士であり騎士だ。街で内乱が起こればそれこそ民衆にも被害が出る。そしてどちらが王座に座るかによって、その後の展望が大きく変わってくる。
特に、今回はディランが次期国王へと駒を進めている。ウォルトス王子もその後ろにつき、勢力的には恐らく最大。それでもクライフ王子はディランの前に立ちはだかる。衝突は避けられないだろう。
「お前の読み通り、このままでは大きな争いが起こる。そして、それは国を二分するほどの事態に発展するだろう。」
親父の言葉に俺は耳を疑った。クライフ王子の派閥は確かに大きいが、第2王子ルーダス王子の派閥と同程度だったはずだ。
俺の表情を見て察したらしい親父は素早く目を動かして周囲を確認すると、声を小さくして教えてくれる。
「王子は英雄の力を借りた。」
俺は思わず頭を抱えそうになるのを抑えて平静を装う。
王子。これはクライフ王子の事で間違いないだろう。厄介なのはその後だ。英雄というのは2つの意味があるが、この国ではその一つのエスカートの意味ではとられない。エスカートなら盾や砦、花という隠語を使う場合もある。ならば残り一つ。それはアース連合だ。
クライフ王子がアース連合の力を借りただと?それはつまり、クライフ王子と争う場合にはアース連合とも事を構えるという事か?冗談じゃないぞ!
親父の話が真実ならば、勢力は拮抗どころか明らかにクライフ王子のほうが優勢だ。何と言っても世界を救った英雄が後ろ盾なのだから。
だが、あのクライフ王子とアース連合が本当につながることなんてあるのか?
そう考える一方で、俺は最近頻繁に城にアース連合が出入りしているという情報も脳裏に浮かぶ。あれはイリアナ様の話だったはずだ。彼女がディランに嘘を吐くはずがないのだから、この情報は確かなはず。
ならば。
「ポート。」
俺が必死に考えを整理している途中で、親父がやけに重々しい雰囲気を纏って声をかけてきた。
あまり感じたことのない空気に飲まれ、俺は無意識に居住まいを正していた。
「スヴェン家はこの争い。向こう側につくことにした。」
「・・・なんだと?」
何かの聞き間違いだ。そうに違いない。
「ポート。もしお前がそちら側に残るというのなら、スヴェンの名を返してもらう。」
あまりの突然の話に思考が追い付かない。特に難しい話をされているわけでもないのに、俺の頭をさび付いたように動いてくれない。
「こちらはもう判断を下した。2日やろう。あとはお前が決めることだ。」
理解することを拒否したまま、親父との話し合いは終わった。
ディランが王宮に住んでいた頃そのままに残されていた部屋に呼び集められて、お互いの情報を交換しようという事になったわけだが、全員が集まって一番に俺はディランに向けてそう問うた。
エラルダと俺が別の客と会っていた間の事はまだ聞いていなかったから、自身の知りえた情報と照らし合わせて今の状況をより正確に知りたくてつい早口になってしまう。なかなかこの性分は治らないらしい。
ディランは少しばかり重めのため息をついて指を組んだ。こういう時は大抵うまくいかなかったか、そうでもなければ面倒が増えたと考えた方がいいだろう。
「まあ、オーランド男爵の考え通りに話が運んだ形だろうな。あまりにもスムーズに事が運び過ぎだ。恐らくある程度の根回しは事前に済ませていたのだろう。今日だけで話がまとまるとは思わなかったからな。」
なるほど。面倒が増えたというよりは、これから面倒が増えるだろうという事か。オーランド男爵に振り回される未来が見えると。
実際、オーランド男爵はこうなることを想定して動いていた。わざわざディランのために謁見用の原稿を用意してくるくらいだ。随分前から動いていたのだろう。
「結局どんな要求をしたんだ?それによっては今後の動きも決まってくるだろ。あんまり大きな話じゃないと嬉しいんだが。」
そういった瞬間、ディラン以外の謁見に出た全員が微妙な表情になった。表情が読み取りにくいはずのライムでさえ、ルーナの肩の上で気まずそうに座っているように見える。
「奴隷制度の撤廃を要求した。」
これはまた面倒なことになりそうだと思っていると、ディランが口を開き、その答えを聞いて俺は思わず表情がひきつった。
「おい。今なって言った?」
「奴隷の解放を願い、また奴隷だったものに人権を与え、望むものにはこの王国の民として遇するようにという要求をした。」
「それを、国王とその場にいた重役たちは聞き入れたのか?」
「その通りだ。反対意見など出ずにな。」
さらっとディランは言ってのけるが、事はそう悠長に構えていられるものではない。
奴隷というのは単純に言えば、維持にほとんど金をかける必要のない労働力だ。最低限の衣食住さえ与えれば農耕にも手作業にも重労働にも使える。あまり好きな言葉ではないが、つまりは使い勝手の良い道具、魔道具のようなものだ。
俺自身は奴隷なんて身分は好かないし、奴隷制度がなくなるのはいいとさえ思うが、奴隷を重要な労働力として扱っているところはあまりにも多い。大商会と呼ばれる大店のほとんどは奴隷を扱っているし、貴族も含めて、ある意味なくてはならない存在となっているのに、その全てを解放するというのは影響が大きすぎる。絶対に国政への多大な反発が起きるだろう。
そして、そのデメリット全てに目をつぶったとしても無視できない大きな問題がある。
「ディラン。わかっているのか?それはつまり、真っ向からクライフ王子に喧嘩を吹っ掛けるってことだぞ。」
「わかっている。」
「下手すりゃ国を二分するぞ。クライフ王子はそれだけの勢力を築き上げている。」
ディランをまっすぐ見つめながら、俺はスヴェン侯爵、親父と話したことを思い出した。
騎士に連れられて、俺とエラルダはそれぞれの客室に向かった。エラルダは王太后近衛騎士のオルトン侯爵が待つ客室へ。そして俺は少し離れた客室へと通された。
「中でスヴェン侯爵がお待ちです。」
騎士が一言告げると扉の脇に控え、数度ノックする。
「ポート様をお連れしました。」
「通してくれ。」
返答を聞いてから騎士が扉を開き、俺だけが部屋の中へと入っていく。
部屋を入ってすぐ、ソファーに座る厳しい表情をした懐かしい顔が目に入った。相変わらず不機嫌そうだ。
「お久しぶりです。父上。」
「勝手に冒険者となって出て行った愚か者に父と呼ばれる筋合いはない。」
ああ、今回は本当に不機嫌なのか。いつもは不機嫌な顔をしているように見えて、実は特に何でもないという事が多いのだが。
「これは申し訳ありませんでした。それでは何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「・・・。」
茶化し過ぎただろうか。親父は黙ってじっと俺を睨み上げる。表情が変わらない人だから何を考えているのかわかりにくいが、今は表情通りに受け取っておいて間違いないだろう。
何も言ってこないので、俺は勧められるでもなく勝手に親父の向かいのソファーに腰を下ろし、こちらもと黙って親父を見返す。
しばらくたって、親父は小さく息をついて目を伏せた。
「・・・あまり面倒をかけさせるな。」
その親父の言葉の意味を正確に読めとれないほど、俺も馬鹿じゃない。
勝手にスヴェン家から出て行って冒険者となった。それだけでも多大な迷惑をかけたが、そんな親不孝者を親父は廃嫡しなかった。親父ならばいつもの厳しい表情のままに即刻廃嫡し、縁を切ると思っていたのにもかかわらず、俺がスヴェンを名乗ることを許し続けてきたのだ。それはつまり、家を出てから今までずっと、俺はスヴェン家に、親父に面倒をかけてきたという事だ。
俺は姿勢を正し、深く頭を下げた。感謝と謝罪の気持ちを表しながら。
「頭を上げろ。お前からは感謝の言葉も、謝罪の言葉も聞きたくはない。図太いままでいろ。」
最後の言葉はほとんど聞き取れなかったが、俺はすぐに親父の言葉通りに頭を上げる。親父の顔は幾分険が取れたようにみえるが、表情がピクリとも動いていないから俺の気のせいかもしれない。
「国王に頼んで謁見よりもこちらを優先させてもらった。今後の情勢に関わるうえに、終わったことよりもよほど重要な話だったからな。」
「終わったこと。ドラゴン討伐の報告よりも優先される事態ということですか?」
普通は国の危機に直結するような件の完了報告を終わったことなどと捨て置くことなどしない。報告、そしてその後の処理、国民に事態の終結を知らせるための式典などは、その後を考えるなら重要なはずだ。
確かに今回のドラゴン討伐は隣国のアスタリア皇国での出来事であり、国内で被害が出たという事でもない。しかし、派遣されたのはこの国の兵士と騎士だ。作戦が失敗していれば王国に被害が出た可能性も0ではない。
しかし、親父はそんなことは承知の上で、なおもこちらの話の方が重要であると言い切った。
「その通りだ。ある意味、こちらの話の方が実際の国の被害で言えば大きくなる可能性が高い。そして、この流れはもはや止めることができないだろう。」
「・・・クライフ王子の件でしょうか?」
俺が悩むことなく名を告げたことに、親父の口元は僅かに上向いたが、すぐに元に戻して厳しい表情となる。
「ここがどこかを考えてものを言え馬鹿者。」
という事は外れではないのか。
親父の言葉の裏を読んでこの先の話の展開を予想する。
俺がクライフ王子の名を出したのはただのあてずっぽうというわけでもない。
ドラゴン討伐の際、その裏でウォルトス王子がクライフ王子の調査をしていた。その折に見つけた街の地下。そして処理できずに残った多くの証拠品。その詳細は知らないが、クライフ王子が何か後ろ暗いことを行っているという事くらいは想像がつく。
そして、クライフ王子が狙っているのは昔から王座ただ一つ。つまり政争。ある意味ドラゴンよりも国の危機に直結する出来事だ。
場合によっては内乱になる。その時に出払うのはどちらも王国の兵士であり騎士だ。街で内乱が起こればそれこそ民衆にも被害が出る。そしてどちらが王座に座るかによって、その後の展望が大きく変わってくる。
特に、今回はディランが次期国王へと駒を進めている。ウォルトス王子もその後ろにつき、勢力的には恐らく最大。それでもクライフ王子はディランの前に立ちはだかる。衝突は避けられないだろう。
「お前の読み通り、このままでは大きな争いが起こる。そして、それは国を二分するほどの事態に発展するだろう。」
親父の言葉に俺は耳を疑った。クライフ王子の派閥は確かに大きいが、第2王子ルーダス王子の派閥と同程度だったはずだ。
俺の表情を見て察したらしい親父は素早く目を動かして周囲を確認すると、声を小さくして教えてくれる。
「王子は英雄の力を借りた。」
俺は思わず頭を抱えそうになるのを抑えて平静を装う。
王子。これはクライフ王子の事で間違いないだろう。厄介なのはその後だ。英雄というのは2つの意味があるが、この国ではその一つのエスカートの意味ではとられない。エスカートなら盾や砦、花という隠語を使う場合もある。ならば残り一つ。それはアース連合だ。
クライフ王子がアース連合の力を借りただと?それはつまり、クライフ王子と争う場合にはアース連合とも事を構えるという事か?冗談じゃないぞ!
親父の話が真実ならば、勢力は拮抗どころか明らかにクライフ王子のほうが優勢だ。何と言っても世界を救った英雄が後ろ盾なのだから。
だが、あのクライフ王子とアース連合が本当につながることなんてあるのか?
そう考える一方で、俺は最近頻繁に城にアース連合が出入りしているという情報も脳裏に浮かぶ。あれはイリアナ様の話だったはずだ。彼女がディランに嘘を吐くはずがないのだから、この情報は確かなはず。
ならば。
「ポート。」
俺が必死に考えを整理している途中で、親父がやけに重々しい雰囲気を纏って声をかけてきた。
あまり感じたことのない空気に飲まれ、俺は無意識に居住まいを正していた。
「スヴェン家はこの争い。向こう側につくことにした。」
「・・・なんだと?」
何かの聞き間違いだ。そうに違いない。
「ポート。もしお前がそちら側に残るというのなら、スヴェンの名を返してもらう。」
あまりの突然の話に思考が追い付かない。特に難しい話をされているわけでもないのに、俺の頭をさび付いたように動いてくれない。
「こちらはもう判断を下した。2日やろう。あとはお前が決めることだ。」
理解することを拒否したまま、親父との話し合いは終わった。
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