王子！今日こそ貴方様から逃げさせていただきます！

13「これで、ずっと一緒だ」*

「とりあえず、これをなんとかしないとな」
王子はそう言ったかと思うと、当たり前のように僕のモノを口に含んだ。
「えっ！？ちょっ……待っ……ひゃぁっ！」
喉まで届きそうな程、奥深く咥え込まれている。逃れようと試みるが、王子にしっかりと身体を押さえつけられてしまっていた。
舌をにゅるにゅる絡められ、強く吸われる。激しい羞恥心と快感がせめぎ合い、頭がクラクラした。
僕のモノは王子の口の中でビクビクしてしまう。身体の一部を咥えられているだけなのに、身体中を舐め回されているような感覚に陥った。
「あっ、ダメ、出ちゃいますぅっ……」
強烈な快感から、あっという間に絶頂感が押し寄せてしまう。僕は慌てて彼の頭を引き離そうとしたが、ビクともしない。それどころか、さらに強く吸い付かれてしまう。
耐えきれず、ぶるっと震えながら彼の口の中に精液を全て吐き出してしまった。ごくん、と飲み込む音が聞こえ、僕は震えながら脱力する。
「いっぱい出たね……」
「うう……なんで飲んじゃうんですかぁ……」
僕は涙目になりながら抗議するが、王子は満足そうに微笑んでいた。
「注ぎ込んだ魔力を少し返してもらったんだよ」
「あ、なるほど……」
確かに、ほんの少しだけラクになっているような気がする。さっきまでは、急激に増えた魔力に身体がついていっていなかったのだろう。
「あれ？これ、ルセットの魔力も混ざってるな……」
王子が首をかしげながら呟く。
「えっ、僕の魔力……？」
魔力とは、誰しもが生まれつき持っているものだ。しかし、ほとんどが微々たるもので、魔法を使えるほどの量はない。
王族や魔導士の家系以外で、はっきりとした魔力を持ったものが生まれることはほぼないのだ。
「えっと、僕には魔力はほとんどないはずですが……」
「いや、微量だがしっかり感じる。……もしかすると、俺の魔力が馴染んだ影響かもしれないな」
それを聞いた途端、僕は急激に赤面する。
「なっ……、そんな……王子と僕のが……」
意識したせいか、体内を駆け巡る王子の魔力を強く感じてしまった。お腹の奥がきゅんとする感覚がする。
「ああ。2人の魔力が混じり合っている。つまり、俺とお前はずっと繋がったままということだな」
王子が嬉しそうに笑いながら、僕を抱き締めてきた。
「これで、ずっと一緒だ」
「はうぅ……」
こんな状態でくっつかれたら、ますます意識していまう。僕は、さらに全身が熱くなっていくのを感じた。

***

「さて、これから忙しくなりそうだな……」
ひとしきりイチャイチャした後、王子と2人で部屋を出る。
僕が連れて来られたこの部屋は、城の近くの森の中にあった。
僕を捕らえた男――元王宮魔導士のムラングは、この小屋にひっそりと隠れ住んでいたらしい。

ムラングは元々優秀な魔道士で、その実力を認められ、王宮に仕えていたそうだ。しかし、隠れて禁忌とされている魔術の実験を行っていることが発覚し、追放されたということだった。
そんな危ないヤツに狙われていたのかと思うとゾッとする……。

僕が王子から逃げ出した後、王子はすぐに追いかけて来てくれていたそうだ。僕を探している時に、ムラングに声をかけられ、取引をしたいとこの小屋へと連れて来られた。そこで、媚薬を飲まされた僕と対面させられたのだという。
「あそこでお前を見た時は、心臓が止まるかと思ったよ……」
「あの……すみませんでした……」
「ルセット……」
うなだれる僕の頬に、王子は優しく手を添えてくれた。その快い温もりを感じると、幸せな気分になる。
「お前が無事で、本当に良かった……」
「王子……」
王子は僕の手を取って握り締めると、指にそっと口付けた。
「俺のルセット……もうどこにも行かないでくれ……」
「はい……もう離れません。ずっとおそばにいます」
僕は心からそう誓ったのだった。