ゲームの世界に転移したら美形王子に溺愛されてるんですが!?

krm

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07.王子の所有物になってきてるんですが!?

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「今日はどうするんだい?」
朝食を済ませた後、王子が尋ねてきた。
「そうだなぁ。まずは、この国のことをもっと知りたいと思ってるんだけど……」
「じゃあ、城下町に行ってみるかい?そこなら色んなものがあるから楽しいと思うよ」
「いいね。行ってみたい」
というわけで、俺たちは城下町に向かった。

城を出てしばらく歩いていると、周りは賑やかな街並みになっていた。
「うわぁ、すごい活気だなぁ……」
「ここは王都だからね。いつもたくさんの人で溢れているんだよ」
「へぇ~」
俺は感心しながら辺りを見回した。
「まずはどこに行きたい?」
「うーん、服とか見てみたいかなぁ……」
俺は自分の服装を見ながら言った。今着ているのは、王子から借りた服だ。上質な服だが、サイズが合わないため、不格好なのだ。
サイズの合っていないシャツのせいで肩がずり落ちているし、ズボンも裾を折り曲げている。靴はもともと履いていたビジネスシューズのままで、服装と合っていない。はっきり言ってダサい……。
こんな格好で王子と並んで歩くのも、申し訳ない気持ちになる。
「それなら、あの店なんてどうかな」
王子が指差したのは、小洒落た感じのブティックだった。
「うん、そこにしよう」
中に入ると、店員らしき人が出迎えてくれた。
「これはアルベール王子、いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお望みですか?」
「彼に似合うものをいくつか見繕ってくれないかな?」
「かしこまりました」
しばらくすると、店員が何着かの服を持ってきてくれた。
「こちらなどいかがでしょう?」
「ほう……。これはなかなかいいね。ミノルはどうだい?」
俺は渡されたものを見てみた。どれも上品なデザインで、とても良さそうに見える。
「うん、すごくいいと思う」
「よろしければご試着してみてはいかがでしょうか?」
店員が試着室へ案内してくれた。早速一着来てみると、サイズはぴったりだった。
しかし、鏡を見て気が付く。襟が大きめに開いた服のため、首筋の赤い跡が丸見えになっていた。
「ミノル、どうだい?着たら私にも見せてくれ」
王子に外から声をかけられる。どうしよう……このままカーテンを開けたら確実にバレてしまう。でも、断るのも不自然だし……。仕方ない。覚悟を決めよう。
俺は意を決してカーテンを開けて、王子に姿を見せた。王子はその姿を見て満足げに笑った。
「よく似合っているよ」
「そっか……。ありがとう」
俺はつい首筋を手で隠してしまった。
「首元、どうかしたのかい?」
「えっ!?」
しまった、これじゃ余計に目立ってしまった。
「あー、これはその……」
どう言い訳すれば……。考えていると、王子は突然俺の首に手を伸ばして触れてきた。
「ひゃあっ!!」
俺は驚いて飛び上がった。
「ああ、悪い。驚かせちゃったね」
「ほんとだよ……、いきなり触るのは止めろって……」
心臓がドキドキしている。王子は俺の反応を見て楽しんでいる様子だ。くそう……。
「ああ、やっぱりこれか」
王子は俺の首に付いた赤い印を見て納得していた。
「王子が付けたの?」
「ああ、ミノルが寝ている間にね」
そういえば、昨夜魔力を補充されて寝落ちた後、首にチクッと痛みがあった気がする。あれがそうだったのか……。
しかし、なんでわざわざそんなことを……。
「どうしてキスマークを付けたんだ?」
「それはもちろん、私のものだという証を付けておかないとね」
恥ずかしいことを平然と言ってくる。この王子様は何を言っているんだ……。
「それで、君は首元の赤い痕を見て恥ずかしくなったわけだ」
「うるさいなぁ……。分かってるなら聞くなよ」
「ふふ、可愛いね」
王子は楽しげな表情を浮かべていた。
「どうかなさいましたか?」
店員が心配そうな顔で尋ねてくる。
「い、いえ、大丈夫です」
俺は慌てて首筋を隠す。店員は不思議そうな顔をしていたが、すぐに営業スマイルに戻った。
「お客様、よくお似合いですね」
「ああ、どうも……」
こんな場所を見られたりしないだろう、と思っていた朝の俺を殴りたい。まさか、こんなことになるとは……。
「じゃあ、この服を貰おう。あとはこの靴と……」
王子が次々と選んでくれている。嬉しいのだが、大きな問題が一つある。
「あの、俺、お金持ってないんだけど……」
異世界から来た俺は、当然一文無しである。もともと着ていた服や靴を売ったら少しはお金になるかなと考え、そのお金で新しい服を買おうと思っていたのだ。
この店の服はどれも高級そうで、俺の服を売ったくらいの金額じゃとても足りないと思う。
「気にしなくていいよ。私がプレゼントしたいんだ」
「えっ、そんなの悪いよ」
「いや、いいんだよ。私の気持ちだから受け取ってくれ」
「……うう、じゃあ、ありがたくいただきます……」
「ああ、そうしてくれ」
ヒモみたいで申し訳ないが、今の俺にはお金を稼ぐ手段も無いし、王子に頼るしかない。
すでに食事や生活場所も提供してもらっている状態だ。俺は彼に甘えるしかなかった。

会計が終わり、早速王子に買ってもらった洋服一式に着替える。
「服だけじゃなく、靴まで……」
俺は改めて自分が着ている服を見た。全て王子が選んでくれて、買ってもらったものだ。
「ふふ、全身私が選んだ服を着てくれているのは気分がいいな」
王子はニヤリとした笑みを浮かべた。そういえば、男性が服を贈るのは女性を脱がせるためだという話があったな……。いやでも俺は男だし……でも付き合っているのか……でもお試しだし……あああもう!考えるのを止めよう!なんか頭が混乱してきた。
とりあえずとんでもなくダサかったのが、解決したのだ。素直に感謝しよう。うん、そうだ。
俺は気を取り直し、王子にお礼を言う。
「ありがとう。おかげで恥ずかしくなくなったよ」
「ふふ、気に入ってくれたようで良かった」
「うん、本当に嬉しいよ」
こうして、無事に服をゲットすることができた。
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