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【25】供給という建前が、もう限界です *
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アルヴィスの体温が、また少し上がった気がする。けれどそれは、もう毒のせいではない。明らかに――僕のせいだ。
「……お前も、なんか熱いな」
低く掠れた声でそう言って、アルヴィスの指先が僕の背をなぞる。
その動きはゆっくりと、優しく、それでいて……やけに敏感なところを撫でていく。
「ひゃっ……!ちょ、ちょっと……そんな触り方、しないでください……っ」
「お前が、俺の上でそんな顔してるから……つい。な?」
「そ、そんな顔って……どんな顔ですかっ……!」
訊いておきながら、自分でも分かってる。
絶対、変な顔してる。自分でも引くくらい、恥ずかしい表情になってる。
なのに。
「……可愛いな。もっとくっついてくれ」
「な……っ!?だ、だめっ……です……っ!」
口では否定してるのに、体がまるで言うことを聞いてくれない。
アルヴィスが少しでも腰を押しつけてくると、僕の体も勝手に熱くなって――反応してしまう。
(ちがっ、違うのに!そんなつもりじゃ……!)
「……お、ちゃんと。つられて元気になってるな?」
囁かれた声が耳元をくすぐり、心臓が跳ねた。バクバクと煩い鼓動が、きっと彼にも伝わってる。
「ち、ちがっ……これは、その……誤作動ですっ……!」
「ふぅん?」
含み笑いを浮かべながら、アルヴィスはさらに腕に力を込めて、僕を引き寄せた。
胸元にぐっと顔を埋められて、逃げ場なんてどこにもない。
「じゃあ、その誤作動、もうちょっと見せてくれよ。……俺だけの、特権だろ?」
「ち、違……うっ……」
言葉にならない。頭が真っ白になって、何をどう否定すればいいかもわからない。
でも、アルヴィスの胸の中はあたたかくて。
優しく包まれるその温度に、心のどこかがふわりと緩んでしまいそうになる。
(ずるい……こんなの本当に、ずるい……)
それでも僕は、彼の腕の中から逃げられない。
いや、もしかしたら――逃げたくないって、思ってしまっているのかもしれない。
「……セリオス」
頬にかかる息は熱を帯び、肌を撫でる指先は僕を求めているのが分かる。
(やばい、また……誓約の印が……)
腕に刻まれた金の輪が、淡く輝いていた。これが感情に反応しているせいで、僕の中に、アルヴィスの気持ちがじわりと染み込んでくる。
――愛おしい、もっと触れたい、離れたくない。
彼のそんな思いが、まるで自分のもののように胸に広がって、呼吸が浅くなる。
「……っ、アルヴィス、貴方……まだ毒が……」
「大丈夫だ。……いや、たぶん、まだちょっと熱は残ってる。でもお前の魔力、ちゃんと効いてる」
アルヴィスは囁くように言いながら、額をそっと僕の額に重ねてきた。肌と肌が触れるたびに、魔力が流れ込んでいくのが分かる。けれどそれと同時に、彼の想いも、僕の想いも、境目が曖昧になっていった。
「セリオス……」
唇が近づいて、また重なる。深く、長く、名を呼びながら交わすキス。
魔力のやりとりのはずなのに、もうそんな理屈はどこかに吹き飛んでいた。触れるたびに熱くなって、キスするたびに、もっともっと欲しくなって――
(……ああ、これ、もう限界かも)
僕の体も、思考も、すっかりアルヴィスに侵食されている。魔力供給の疲労もあって、抗う力なんて残っていなかった。
「お前の気持ちが、伝わってくる……あったかくて、優しくて……苦しくなるくらい、やばい」
「な、なにが……やばいんですか……っ」
「好きになりすぎて……我慢できなくなりそうってことだ」
(ちょ、ちょっと!?今、何言って……!)
鼓動が、一瞬止まりかけた。
でも、誓約の印は嘘をつかない。腕に刻まれた金の輪が、静かに、優しく輝いていた。
アルヴィスの想いが、波のように僕の内側へ流れ込んでくる――。
あたたかくて、どこか切なくて、そしてどうしようもなく甘い。
その感情に触れるたび、胸の奥がじんわりと熱くなって、気持ちが暴走していくのを止められなくなる。
肌と肌のあいだには、魔力よりも濃密なものが満ちていた。
呼吸は、どちらのものかさえ分からない。
ぴたりと重なった身体から、どくん、どくんと高鳴る鼓動が伝わってくる――僕のか、彼のか、それともその両方か。
「……もっと、キスしてもいいか」
掠れるような低い声。求めるように潤んだ瞳。そんな顔をされたら、断れるわけがない。
小さく頷いた瞬間、唇が重なり――今度はさっきよりもずっと深く、舌先まで絡み合った。
「……っ、ん……」
舌が触れるたび、甘く痺れるような快感が、喉の奥を震わせる。
腰を押し当てられれば、重なり合った熱が擦れ合い、そこからさらに甘い衝撃が体中に広がった。
(なんだこれ……すごく……恥ずかしい)
こんなの、初めてなのに。なのに、なんで。どうして、こんなにも気持ちいいんだろう。
ほんの数時間前まで、僕は毒の治療をしていただけだったのに。それなのに――今は体の奥まで蕩けてしまいそうな快感に、ただただ流されていく。
「ん、ふ……っ、アルヴィス、や、あの……っ」
「なんだ?」
「こ、こすれて……っ、変な声、出ちゃ……っ」
「……可愛いから、もっと聞かせろ」
「ば、ばかぁっ……!」
恥ずかしさで、顔が焼けそうだった。なのに、彼にそう言われると、胸の奥がぎゅっと締めつけられて――嫌じゃない、むしろ嬉しいと思ってしまう自分がいる。
(……馬鹿になってるのは、僕の方かもしれない)
頭では恥ずかしいと思っているのに、体が熱くて、甘くて、どうしようもなく彼を欲してしまっていた。
アルヴィスにぎゅうっと抱きしめられていて、そのせいで、お互いの熱が触れ合っている。少し動かされるだけで、下腹に電流が走ったみたいに、ぞくんと快感が駆け抜けた。
「……っ、はぁ……」
アルヴィスの口から漏れた吐息さえも、耳の奥に甘く響いて、僕の心をかき乱す。
熱っぽくて、色っぽくて――ずるい。どうしてあんな声、あんな顔をするのだろう。
アルヴィスは、ずっと僕の髪を撫でていた。その指先が頬をかすめ、首筋をなぞり、背中へと滑っていく。
まるで、大切な宝物に触れるみたいに。やわらかく、あたたかく。
(……なんで、こんなに優しいんだ)
優しくされるほど、胸の奥がぎゅうっと苦しくなって、泣きそうになる。
嬉しいのに、苦しくて。気持ちよくて、恥ずかしくて。
どうしたらいいのか分からなくて――でも、彼に触れられるたびに、心まで蕩けていく気がした。
「あ……」
アルヴィスの腕に力が籠る。腰を引き寄せられたと思った次の瞬間、お互いの熱もピッタリと重なり合った。
「セリオスのも、すごいことになってるな」
低く囁かれた声が、耳の奥をくすぐった。艶のある、けれどどこか甘えるような響き。その声ひとつで、心臓が跳ねる。
「……あっ……!だ、だめですっ……動いたらっ……!」
恥ずかしさに必死で制止の声を上げたのに、アルヴィスは笑うように言った。
「でも、セリオスも腰、動いてるぞ?」
「ち、ちが……っ、それは……っ!」
否定しようとしたのに、僕の体は言うことを聞いてくれなかった。気づけば、彼のものに、自分のものを擦りつけるように動いていて――。
(うそ……っ、なんで、勝手に……っ)
押し当てるたび、快感が溢れてきて、頭がぼうっとする。意識が溶けて、言葉にならない吐息しか漏れない。
「はっ……はぁ、あ……」
気持ちよくて、怖いくらいに、体が反応してしまって――。
「あっ、やぁ……だめっ……!」
「……っ、セリオス、可愛い。もっと、声聞かせてくれよ」
耳元で囁かれた瞬間、背筋を電流が走るようにぞわりと震えた。恥ずかしいのに、その声を聞くたび、身体がまた熱を帯びてしまう。
(もう、どうしていいか分からない……)
彼の動きに合わせて、ゆっくりと腰が擦れ合う。鮮明に、お互いの熱と形が伝わってきた。
それはまるで、一緒に――しているみたいで。
(やだ……恥ずかしいのに……こんな……)
「んっ、あぅ……は、ぁ……っ」
声が漏れるたび、自分が自分じゃなくなるような感覚に襲われた。気持ちよさと羞恥がないまぜになって、理性の糸がぷつりと音を立ててほどけていく。
「……はっ、やば……」
アルヴィスの吐息が混じった声が、耳元で熱を帯びて響いた。彼も興奮している――それが伝わるたび、僕の体はまた熱を増していった。
お互いのものが擦れ合うたびに、痺れるような甘さが体の奥から全身に広がっていく。
こんな感覚、知らなかった。
どこがどう気持ちいいのかなんて、もう分からない。ただ、アルヴィスがくれる快感に翻弄されながら、僕は必死で彼にしがみついた。
「んっ……あっ、あぁ……」
思わず漏れた声に、アルヴィスは満足げに微笑む。
その顔を見るだけで、さらに体が熱を帯びてしまって、慌てて口元を手で押さえた。けれど、彼はその手をやさしく引き剥がし、何度も深くキスを落としてくる。
「んっ……ふ、ぁ……」
舌を絡めながら、またぎゅうっと抱きしめられた。
身体も、心も、すっかり彼に支配されているような気がする。でも不思議と、それが怖くなかった。
――むしろ、もっと触れて、もっと僕を乱してほしいなんて。そんなふうに思ってしまう自分が、信じられなかった。
「あ……っ、アルヴィス……もう……っ」
「……ああ、俺も……」
アルヴィスの腰の動きが次第に速く、強くなっていく。
それに合わせて、僕の呼吸もどんどん浅くなって、心臓が破裂しそうなほど脈打ち始めた。
もう、限界が近い。お互いに、きっと――。
「あっ、あ……!」
ぎゅっと抱きしめられながら、激しく擦り合わされた瞬間、眩暈がするほどの快感が一気に押し寄せた。
そのまま抗うことなく波に呑まれ、二人同時に、熱を吐き出した。
「……は……ぁ……っ」
脱力した身体を支え合いながら、ゆっくりと呼吸を整える。
その最中、アルヴィスの指がそっと僕の頬を撫でた。たったそれだけなのに、びくりと体が反応してしまう。
「……セリオス」
「な、なんですか」
「もう少しだけ……こうしてていいか?」
まっすぐ向けられた視線に耐えられなくて、思わず目を逸らす。あんなことまでしておいて今更だけど……でも、やっぱり、恥ずかしい。
「……はい……」
なんとか返した声は、小さくて頼りなかった。でも、嘘じゃない。
そっと彼の首に腕を回すと、アルヴィスは何も言わず、また優しく僕を抱きしめてくれる。心臓の音が近い。彼の温度も、鼓動も、全部ちゃんと伝わってきた。まだ恥ずかしい気持ちは消えてないけど……なんだか、安心してしまう。
(僕も……もう少しだけ、こうしてたいかも)
そう思ってしまったことに、自分で驚いた。でも、それを口にするのは、まだちょっと恥ずかしくて、静かに目を閉じる。
言えなかった気持ちは、たぶんもう、腕の中に伝わっている気がした。
「……お前も、なんか熱いな」
低く掠れた声でそう言って、アルヴィスの指先が僕の背をなぞる。
その動きはゆっくりと、優しく、それでいて……やけに敏感なところを撫でていく。
「ひゃっ……!ちょ、ちょっと……そんな触り方、しないでください……っ」
「お前が、俺の上でそんな顔してるから……つい。な?」
「そ、そんな顔って……どんな顔ですかっ……!」
訊いておきながら、自分でも分かってる。
絶対、変な顔してる。自分でも引くくらい、恥ずかしい表情になってる。
なのに。
「……可愛いな。もっとくっついてくれ」
「な……っ!?だ、だめっ……です……っ!」
口では否定してるのに、体がまるで言うことを聞いてくれない。
アルヴィスが少しでも腰を押しつけてくると、僕の体も勝手に熱くなって――反応してしまう。
(ちがっ、違うのに!そんなつもりじゃ……!)
「……お、ちゃんと。つられて元気になってるな?」
囁かれた声が耳元をくすぐり、心臓が跳ねた。バクバクと煩い鼓動が、きっと彼にも伝わってる。
「ち、ちがっ……これは、その……誤作動ですっ……!」
「ふぅん?」
含み笑いを浮かべながら、アルヴィスはさらに腕に力を込めて、僕を引き寄せた。
胸元にぐっと顔を埋められて、逃げ場なんてどこにもない。
「じゃあ、その誤作動、もうちょっと見せてくれよ。……俺だけの、特権だろ?」
「ち、違……うっ……」
言葉にならない。頭が真っ白になって、何をどう否定すればいいかもわからない。
でも、アルヴィスの胸の中はあたたかくて。
優しく包まれるその温度に、心のどこかがふわりと緩んでしまいそうになる。
(ずるい……こんなの本当に、ずるい……)
それでも僕は、彼の腕の中から逃げられない。
いや、もしかしたら――逃げたくないって、思ってしまっているのかもしれない。
「……セリオス」
頬にかかる息は熱を帯び、肌を撫でる指先は僕を求めているのが分かる。
(やばい、また……誓約の印が……)
腕に刻まれた金の輪が、淡く輝いていた。これが感情に反応しているせいで、僕の中に、アルヴィスの気持ちがじわりと染み込んでくる。
――愛おしい、もっと触れたい、離れたくない。
彼のそんな思いが、まるで自分のもののように胸に広がって、呼吸が浅くなる。
「……っ、アルヴィス、貴方……まだ毒が……」
「大丈夫だ。……いや、たぶん、まだちょっと熱は残ってる。でもお前の魔力、ちゃんと効いてる」
アルヴィスは囁くように言いながら、額をそっと僕の額に重ねてきた。肌と肌が触れるたびに、魔力が流れ込んでいくのが分かる。けれどそれと同時に、彼の想いも、僕の想いも、境目が曖昧になっていった。
「セリオス……」
唇が近づいて、また重なる。深く、長く、名を呼びながら交わすキス。
魔力のやりとりのはずなのに、もうそんな理屈はどこかに吹き飛んでいた。触れるたびに熱くなって、キスするたびに、もっともっと欲しくなって――
(……ああ、これ、もう限界かも)
僕の体も、思考も、すっかりアルヴィスに侵食されている。魔力供給の疲労もあって、抗う力なんて残っていなかった。
「お前の気持ちが、伝わってくる……あったかくて、優しくて……苦しくなるくらい、やばい」
「な、なにが……やばいんですか……っ」
「好きになりすぎて……我慢できなくなりそうってことだ」
(ちょ、ちょっと!?今、何言って……!)
鼓動が、一瞬止まりかけた。
でも、誓約の印は嘘をつかない。腕に刻まれた金の輪が、静かに、優しく輝いていた。
アルヴィスの想いが、波のように僕の内側へ流れ込んでくる――。
あたたかくて、どこか切なくて、そしてどうしようもなく甘い。
その感情に触れるたび、胸の奥がじんわりと熱くなって、気持ちが暴走していくのを止められなくなる。
肌と肌のあいだには、魔力よりも濃密なものが満ちていた。
呼吸は、どちらのものかさえ分からない。
ぴたりと重なった身体から、どくん、どくんと高鳴る鼓動が伝わってくる――僕のか、彼のか、それともその両方か。
「……もっと、キスしてもいいか」
掠れるような低い声。求めるように潤んだ瞳。そんな顔をされたら、断れるわけがない。
小さく頷いた瞬間、唇が重なり――今度はさっきよりもずっと深く、舌先まで絡み合った。
「……っ、ん……」
舌が触れるたび、甘く痺れるような快感が、喉の奥を震わせる。
腰を押し当てられれば、重なり合った熱が擦れ合い、そこからさらに甘い衝撃が体中に広がった。
(なんだこれ……すごく……恥ずかしい)
こんなの、初めてなのに。なのに、なんで。どうして、こんなにも気持ちいいんだろう。
ほんの数時間前まで、僕は毒の治療をしていただけだったのに。それなのに――今は体の奥まで蕩けてしまいそうな快感に、ただただ流されていく。
「ん、ふ……っ、アルヴィス、や、あの……っ」
「なんだ?」
「こ、こすれて……っ、変な声、出ちゃ……っ」
「……可愛いから、もっと聞かせろ」
「ば、ばかぁっ……!」
恥ずかしさで、顔が焼けそうだった。なのに、彼にそう言われると、胸の奥がぎゅっと締めつけられて――嫌じゃない、むしろ嬉しいと思ってしまう自分がいる。
(……馬鹿になってるのは、僕の方かもしれない)
頭では恥ずかしいと思っているのに、体が熱くて、甘くて、どうしようもなく彼を欲してしまっていた。
アルヴィスにぎゅうっと抱きしめられていて、そのせいで、お互いの熱が触れ合っている。少し動かされるだけで、下腹に電流が走ったみたいに、ぞくんと快感が駆け抜けた。
「……っ、はぁ……」
アルヴィスの口から漏れた吐息さえも、耳の奥に甘く響いて、僕の心をかき乱す。
熱っぽくて、色っぽくて――ずるい。どうしてあんな声、あんな顔をするのだろう。
アルヴィスは、ずっと僕の髪を撫でていた。その指先が頬をかすめ、首筋をなぞり、背中へと滑っていく。
まるで、大切な宝物に触れるみたいに。やわらかく、あたたかく。
(……なんで、こんなに優しいんだ)
優しくされるほど、胸の奥がぎゅうっと苦しくなって、泣きそうになる。
嬉しいのに、苦しくて。気持ちよくて、恥ずかしくて。
どうしたらいいのか分からなくて――でも、彼に触れられるたびに、心まで蕩けていく気がした。
「あ……」
アルヴィスの腕に力が籠る。腰を引き寄せられたと思った次の瞬間、お互いの熱もピッタリと重なり合った。
「セリオスのも、すごいことになってるな」
低く囁かれた声が、耳の奥をくすぐった。艶のある、けれどどこか甘えるような響き。その声ひとつで、心臓が跳ねる。
「……あっ……!だ、だめですっ……動いたらっ……!」
恥ずかしさに必死で制止の声を上げたのに、アルヴィスは笑うように言った。
「でも、セリオスも腰、動いてるぞ?」
「ち、ちが……っ、それは……っ!」
否定しようとしたのに、僕の体は言うことを聞いてくれなかった。気づけば、彼のものに、自分のものを擦りつけるように動いていて――。
(うそ……っ、なんで、勝手に……っ)
押し当てるたび、快感が溢れてきて、頭がぼうっとする。意識が溶けて、言葉にならない吐息しか漏れない。
「はっ……はぁ、あ……」
気持ちよくて、怖いくらいに、体が反応してしまって――。
「あっ、やぁ……だめっ……!」
「……っ、セリオス、可愛い。もっと、声聞かせてくれよ」
耳元で囁かれた瞬間、背筋を電流が走るようにぞわりと震えた。恥ずかしいのに、その声を聞くたび、身体がまた熱を帯びてしまう。
(もう、どうしていいか分からない……)
彼の動きに合わせて、ゆっくりと腰が擦れ合う。鮮明に、お互いの熱と形が伝わってきた。
それはまるで、一緒に――しているみたいで。
(やだ……恥ずかしいのに……こんな……)
「んっ、あぅ……は、ぁ……っ」
声が漏れるたび、自分が自分じゃなくなるような感覚に襲われた。気持ちよさと羞恥がないまぜになって、理性の糸がぷつりと音を立ててほどけていく。
「……はっ、やば……」
アルヴィスの吐息が混じった声が、耳元で熱を帯びて響いた。彼も興奮している――それが伝わるたび、僕の体はまた熱を増していった。
お互いのものが擦れ合うたびに、痺れるような甘さが体の奥から全身に広がっていく。
こんな感覚、知らなかった。
どこがどう気持ちいいのかなんて、もう分からない。ただ、アルヴィスがくれる快感に翻弄されながら、僕は必死で彼にしがみついた。
「んっ……あっ、あぁ……」
思わず漏れた声に、アルヴィスは満足げに微笑む。
その顔を見るだけで、さらに体が熱を帯びてしまって、慌てて口元を手で押さえた。けれど、彼はその手をやさしく引き剥がし、何度も深くキスを落としてくる。
「んっ……ふ、ぁ……」
舌を絡めながら、またぎゅうっと抱きしめられた。
身体も、心も、すっかり彼に支配されているような気がする。でも不思議と、それが怖くなかった。
――むしろ、もっと触れて、もっと僕を乱してほしいなんて。そんなふうに思ってしまう自分が、信じられなかった。
「あ……っ、アルヴィス……もう……っ」
「……ああ、俺も……」
アルヴィスの腰の動きが次第に速く、強くなっていく。
それに合わせて、僕の呼吸もどんどん浅くなって、心臓が破裂しそうなほど脈打ち始めた。
もう、限界が近い。お互いに、きっと――。
「あっ、あ……!」
ぎゅっと抱きしめられながら、激しく擦り合わされた瞬間、眩暈がするほどの快感が一気に押し寄せた。
そのまま抗うことなく波に呑まれ、二人同時に、熱を吐き出した。
「……は……ぁ……っ」
脱力した身体を支え合いながら、ゆっくりと呼吸を整える。
その最中、アルヴィスの指がそっと僕の頬を撫でた。たったそれだけなのに、びくりと体が反応してしまう。
「……セリオス」
「な、なんですか」
「もう少しだけ……こうしてていいか?」
まっすぐ向けられた視線に耐えられなくて、思わず目を逸らす。あんなことまでしておいて今更だけど……でも、やっぱり、恥ずかしい。
「……はい……」
なんとか返した声は、小さくて頼りなかった。でも、嘘じゃない。
そっと彼の首に腕を回すと、アルヴィスは何も言わず、また優しく僕を抱きしめてくれる。心臓の音が近い。彼の温度も、鼓動も、全部ちゃんと伝わってきた。まだ恥ずかしい気持ちは消えてないけど……なんだか、安心してしまう。
(僕も……もう少しだけ、こうしてたいかも)
そう思ってしまったことに、自分で驚いた。でも、それを口にするのは、まだちょっと恥ずかしくて、静かに目を閉じる。
言えなかった気持ちは、たぶんもう、腕の中に伝わっている気がした。
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