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10☆家庭訪問

「いただきま~す!」
早速テーブルに並べて、二人で箸を伸ばす。お気に入りのお店のお惣菜で、どれもこれもとても美味しかった。
「ん~!やっぱりここのお店の美味しい!お腹に染み渡る~」
ニコニコしながら食べていると、翔は真剣な表情で僕を見る。
「それで、十夜との新婚生活はどうなんだい?」
「もぐもぐふぉっ!ゲホゲホッ……」
急にそんなことを言われて、ご飯を喉に詰まらせそうになってしまった。
「大丈夫かい?はい、お茶飲んで落ち着いて……」
「うぅ……ありがとう……」
渡されたコップを受け取り、一気に飲み干すとようやく落ち着く。
「で、どうなんだい?」
「いや、新婚じゃないし!」
必死で訂正すると、翔は面白そうに笑った。
「あはは、冗談だよ。でも、付き合って一緒に暮らしてるんだろ?新婚みたいなものじゃん」
「そ、それはそう……なのか……?」
「もうヤることはヤッたかい?」
「は、はいぃ!?ななな何を言って……」
突然の下世話な質問に、激しく動揺してしまう。
「だって、そういう関係なんでしょ?」
「いや、その、付き合ってはいるけど、まだそういうのは……」
「へぇ、そうなの?人前であんなにキスしてるのに?」
「うっ……」
それを言われてしまうと何も言えない。最近は、カメラの前だろうがなんだろうが、十夜は隙あらばキスをしてくるのだ。そんなところばかり見られていれば、そう思われても仕方がないかもしれない。
しかも、考えてみたら実際にキス以上のこともしているわけで……。
(あれ……もしかして、もうヤッちゃってるのでは……?)
一昨日の夜を思い出して、また顔が熱くなる。
「どうかした?」
「へ!?あ、いや、えっと……何でもないよ……」
すると、翔は僕の顔をじっと見つめてきた。そして、何かを納得したように小さく呟く。
「なるほど……一線は超えたけど、まだセックスはしてないってとこか」
「な、な、な、なにを言って……」
「図星かぁ」
「ち、違っ……って、いや、何で!?」
慌てふためく僕を見て、翔はニヤリと笑みを浮かべた。
「フッフッフッ、この名探偵様に解けない謎はない!」
「ちょっと、それ、十夜が演じてる探偵キャラのセリフじゃん……」
「おっと、バレたか」
いつもの調子の翔に、すこし落ち着きを取り戻す。
「ええ~……、どうして分かっ……いや、そう思ったの?」
「そりゃ、光輝の態度を見てれば分かるよ。十夜も分かりやすいけど、君も相当だね」
「え、嘘!そんなに態度に出てるのか僕……」
恥ずかしくなって頬を押さえると、翔がまた笑い出した。
「あはは。まあでも、十夜と上手くやっていけてるみたいで安心したよ」
「うーん、まあ、色々あるけど、とりあえずは……」
「そっか。なら良かった」
翔が優しい表情をする。
それを見て、どうして翔が急に家に来たのか分かった気がした。
「翔、ありがとね。心配してくれたんでしょ?」
「まあね。ほら、ボクって面倒見が良い性格だからさ」
「ええ~自分で言っちゃうの?」
二人で思わず吹き出す。
(翔は本当にいい奴だなぁ……)
そんなことをしみじみ思っていると、翔がスマホを取り出しながら提案してきた。
「ねえ、十夜に写真送ろうよ」
「え?」
「ほら、せっかくだから、二人のツーショット写真を撮ってさ!」
「いいね、賛成!」
翔の提案に乗っかって、早速自撮りを始めた。
「じゃあ撮るよー」
パシャっと音が鳴って撮影が完了する。画面には、二人が笑顔で写っている姿が映し出されていた。
『光輝と二人で夕飯中!』
メッセージを添えて、翔がその写真を十夜に送信する。すると、すぐにピコンと着信音が鳴った。
「お、返信早いなぁ。どれどれ……お?」
画面を見た翔は動きを止める。覗き込むと、そこには、十夜からの短い返信があった。
『は?』
たった一言だけ。だが、それだけで十分伝わってくる。
「なんか、アイツ怒ってる……?なんで?」
恐る恐る翔の顔を見ると、彼は笑いを堪えて震えているようだった。
「翔?どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
そう言いながらも、肩を震わせて笑っている。その後、十夜からの連絡は一切なかった。
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