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【14】夫婦!?国王への報告と提案
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図書館での調査を終えた俺たちは、手に入れた情報を報告するため、急いで国王の元へ向かった。王子が国王の執務室の扉を軽くノックし、共に中に入る。
「父上、重要な話があります」
王子が真剣な表情で切り出すと、国王は書類から顔を上げ、俺たちに視線を向けた。
「アルティスに……聖女ルセルよ、どうしたのだ?」
国王の低く響く声が室内に響き渡り、一気に緊張感が高まる。その声には力強さと権威がありながらも、どこか王子に似た優しさも含まれていた。
「二人で図書館に行き、古い記録を調べていたんです」
王子は手に持っていた古書を国王に差し出しながら続ける。
「そこで、かつて聖女と王家を狙う組織が存在していたことが分かりました」
その言葉に、国王の表情が一瞬険しくなる。俺の方に視線を向け、無言のまま深く考え込むような様子がうかがえた。
「詳しく話してくれ」
国王の静かな声に促され、俺は緊張しながらも冷静に息を整えて答える。
「はい……」
緊張を抑えつつ、できるだけ冷静に説明を始めた。
「はい……この記録によると、その組織は聖女の力を手に入れ、国を支配しようとしていました。歴史の中で、彼らは何度も襲撃を行い、聖女を狙ってきたようです」
国王はじっと俺の言葉を聞き、時折うなずいている。
「なるほど。今回の襲撃も、その組織によるものだと考えられるわけだな」
「その通りです」
王子が力強くうなずく。
「これ以上の襲撃を防ぐためにも、早急に対策を講じる必要があります。特に、ルセルの安全が最優先です」
国王はしばらく黙考した後、深い決意を込めたまなざしで顔を上げた。
「確かに、これは重大な問題だ。すぐに調査を始め、その組織の動きを探ろう。アルティス、お前も引き続きルセルを護衛せよ」
「承知しました、父上」
そう答えた王子の力強い声には、確かな決意がこもっていた。
国王と王子が決断を固める様子を見て、俺の胸にも再び覚悟が湧き上がってくる。
報告が終わりかけたその時、俺は胸に秘めていた決意を、この場で伝えなければならないと強く感じた。
「陛下、実は……一つ提案があります」
不意に切り出した俺の言葉に、国王と王子が驚きの表情を見せる。
「何だ、ルセル?」
国王が少し疑問を含んだ眼差しで問いかけてきた。
昨日からずっと考え続け、俺がようやく辿り着いた答え――これ以上、王子が傷つくことだけは絶対に避けたい。そのためには……。
「俺が……囮になります」
その言葉を発した瞬間、王子の顔が一気に険しくなった。
「何を言っているんだ、ルセル!?」
王子は強く声を荒げ、真っ直ぐに俺を見据える。その瞳は、怒りと不安が混じって揺れているように見えた。
「そんなこと、絶対に許さない!」
「王子……」
俺は彼の反応に一瞬たじろいだが、それでも決意を持って言葉を続ける。
「奴らの狙いは俺です。俺が囮になれば、敵の正体を突き止めることができるかもしれません」
王子は唇を噛みしめ、拳を握りしめていた。その姿は、彼がどれほど俺のことを心配しているかを物語っている。
「ルセル、君が囮になるなんて、そんな危険なこと……!」
その時、国王が冷静に口を開いた。
「落ち着くのだ、アルティス。ルセルの言うことも一理ある」
「しかし、父上……」
王子がさらに何かを言いかけたが、国王は静かに手を挙げて制する。
「ルセル、君の勇気は称賛に値する。しかし囮になるのは非常に危険だ。だが、一つ考えがある」
国王の冷静な声が、緊張感を緩やかに和らげていく。
「二人が夫婦として結ばれることで、その絆から強力な魔力が生まれるはずだ。そうすれば君の力も安定し、さらなる力を引き出せるだろう」
「え……? 夫婦として……結ばれる?」
俺はその言葉が一瞬理解できず、王子を見ると、彼は驚きで目を見開いていた。
「父上、それはあまりに急すぎます」
動揺した王子は顔を赤らめ、俯く。その姿に、俺はようやく悟った――夫婦として結ばれるという意味を。
顔が一気に熱くなり、心臓がドキドキと激しく鼓動する。まだキスしかしていないのに、まさかそんな話が出るなんて……。
「僕たちはまだその段階には至っていません。それに、ルセルの安全が最優先です」
王子が必死に反論すると、国王は静かにうなずいた。
「確かに、急ぐことはない。しかし、君たちが結ばれることで得られる力は強力だ。それがあれば、どんな敵も恐れることはない。君たちの力を利用すれば、囮作戦の危険も最小限に抑えられるだろう」
国王は厳しい表情で続ける。
「時間は我々の味方ではない。ルセルが狙われている以上、一刻も早く手を打たねばならない。交われば、君たちの力は飛躍的に増す。それが、この国を守る最良の手段だ」
王子は国王の言葉に反論できず、沈黙してしまった。俺もまだ混乱していて、何も言えずにいる。
夫婦として交わる——まさかそんな話が出るなんて。そもそも、男同士でそんなことができるものなのだろうか。いやでも、聖女の魔力がそういう行為によってもたらされるものだっていうなら……いやでもそれはさすがに……。
俺が悩んでいると、王子は俺の手を握り、真っ直ぐな眼差しを向けてくる。
「ルセル……僕は君に無理をさせたくない。それに、囮作戦は危険すぎる。他にも方法があるはずだ。君が無事でいてくれることが、僕にとって何よりも大切なんだ」
王子の声は少し震えていた。彼の優しさが伝わってくるようで胸が熱くなったが、同時に、自分が情けなくなってくる。俺だって何か役に立ちたいのに。
俺は彼の言葉を聞きながらも、心の中で王子を守るために何ができるかを必死に考え続けていた。もし本当に必要ならば、俺は……。
「……分かりました、王子」
俺は静かにうなずいた。
「無茶なことはしません。でも、何かできることがあれば、全力で協力します」
そう答えながらも、心の中では既に覚悟を決めていた。俺が囮となって敵を引きつけることで、敵を捕えて平穏が訪れるなら、やるしかない。たとえどんな危険が待ち受けていようとも、王子を守るためならば、俺は何でもやる覚悟だ。
国王はうなずき、穏やかな表情で言った。
「それでよい。皆で力を合わせて、この難局を乗り切ろう」
俺たちは再び一礼し、執務室を後にする。廊下を歩いている間も、王子は俺の手をしっかりと握り続けていた。
外に出ると、冷たい風が頬を撫で、気持ちが引き締まる。王子の手の温もりを感じながら、俺は改めて決意していた。彼を守るために、俺はどんな戦いでも乗り越えてみせると。
「父上、重要な話があります」
王子が真剣な表情で切り出すと、国王は書類から顔を上げ、俺たちに視線を向けた。
「アルティスに……聖女ルセルよ、どうしたのだ?」
国王の低く響く声が室内に響き渡り、一気に緊張感が高まる。その声には力強さと権威がありながらも、どこか王子に似た優しさも含まれていた。
「二人で図書館に行き、古い記録を調べていたんです」
王子は手に持っていた古書を国王に差し出しながら続ける。
「そこで、かつて聖女と王家を狙う組織が存在していたことが分かりました」
その言葉に、国王の表情が一瞬険しくなる。俺の方に視線を向け、無言のまま深く考え込むような様子がうかがえた。
「詳しく話してくれ」
国王の静かな声に促され、俺は緊張しながらも冷静に息を整えて答える。
「はい……」
緊張を抑えつつ、できるだけ冷静に説明を始めた。
「はい……この記録によると、その組織は聖女の力を手に入れ、国を支配しようとしていました。歴史の中で、彼らは何度も襲撃を行い、聖女を狙ってきたようです」
国王はじっと俺の言葉を聞き、時折うなずいている。
「なるほど。今回の襲撃も、その組織によるものだと考えられるわけだな」
「その通りです」
王子が力強くうなずく。
「これ以上の襲撃を防ぐためにも、早急に対策を講じる必要があります。特に、ルセルの安全が最優先です」
国王はしばらく黙考した後、深い決意を込めたまなざしで顔を上げた。
「確かに、これは重大な問題だ。すぐに調査を始め、その組織の動きを探ろう。アルティス、お前も引き続きルセルを護衛せよ」
「承知しました、父上」
そう答えた王子の力強い声には、確かな決意がこもっていた。
国王と王子が決断を固める様子を見て、俺の胸にも再び覚悟が湧き上がってくる。
報告が終わりかけたその時、俺は胸に秘めていた決意を、この場で伝えなければならないと強く感じた。
「陛下、実は……一つ提案があります」
不意に切り出した俺の言葉に、国王と王子が驚きの表情を見せる。
「何だ、ルセル?」
国王が少し疑問を含んだ眼差しで問いかけてきた。
昨日からずっと考え続け、俺がようやく辿り着いた答え――これ以上、王子が傷つくことだけは絶対に避けたい。そのためには……。
「俺が……囮になります」
その言葉を発した瞬間、王子の顔が一気に険しくなった。
「何を言っているんだ、ルセル!?」
王子は強く声を荒げ、真っ直ぐに俺を見据える。その瞳は、怒りと不安が混じって揺れているように見えた。
「そんなこと、絶対に許さない!」
「王子……」
俺は彼の反応に一瞬たじろいだが、それでも決意を持って言葉を続ける。
「奴らの狙いは俺です。俺が囮になれば、敵の正体を突き止めることができるかもしれません」
王子は唇を噛みしめ、拳を握りしめていた。その姿は、彼がどれほど俺のことを心配しているかを物語っている。
「ルセル、君が囮になるなんて、そんな危険なこと……!」
その時、国王が冷静に口を開いた。
「落ち着くのだ、アルティス。ルセルの言うことも一理ある」
「しかし、父上……」
王子がさらに何かを言いかけたが、国王は静かに手を挙げて制する。
「ルセル、君の勇気は称賛に値する。しかし囮になるのは非常に危険だ。だが、一つ考えがある」
国王の冷静な声が、緊張感を緩やかに和らげていく。
「二人が夫婦として結ばれることで、その絆から強力な魔力が生まれるはずだ。そうすれば君の力も安定し、さらなる力を引き出せるだろう」
「え……? 夫婦として……結ばれる?」
俺はその言葉が一瞬理解できず、王子を見ると、彼は驚きで目を見開いていた。
「父上、それはあまりに急すぎます」
動揺した王子は顔を赤らめ、俯く。その姿に、俺はようやく悟った――夫婦として結ばれるという意味を。
顔が一気に熱くなり、心臓がドキドキと激しく鼓動する。まだキスしかしていないのに、まさかそんな話が出るなんて……。
「僕たちはまだその段階には至っていません。それに、ルセルの安全が最優先です」
王子が必死に反論すると、国王は静かにうなずいた。
「確かに、急ぐことはない。しかし、君たちが結ばれることで得られる力は強力だ。それがあれば、どんな敵も恐れることはない。君たちの力を利用すれば、囮作戦の危険も最小限に抑えられるだろう」
国王は厳しい表情で続ける。
「時間は我々の味方ではない。ルセルが狙われている以上、一刻も早く手を打たねばならない。交われば、君たちの力は飛躍的に増す。それが、この国を守る最良の手段だ」
王子は国王の言葉に反論できず、沈黙してしまった。俺もまだ混乱していて、何も言えずにいる。
夫婦として交わる——まさかそんな話が出るなんて。そもそも、男同士でそんなことができるものなのだろうか。いやでも、聖女の魔力がそういう行為によってもたらされるものだっていうなら……いやでもそれはさすがに……。
俺が悩んでいると、王子は俺の手を握り、真っ直ぐな眼差しを向けてくる。
「ルセル……僕は君に無理をさせたくない。それに、囮作戦は危険すぎる。他にも方法があるはずだ。君が無事でいてくれることが、僕にとって何よりも大切なんだ」
王子の声は少し震えていた。彼の優しさが伝わってくるようで胸が熱くなったが、同時に、自分が情けなくなってくる。俺だって何か役に立ちたいのに。
俺は彼の言葉を聞きながらも、心の中で王子を守るために何ができるかを必死に考え続けていた。もし本当に必要ならば、俺は……。
「……分かりました、王子」
俺は静かにうなずいた。
「無茶なことはしません。でも、何かできることがあれば、全力で協力します」
そう答えながらも、心の中では既に覚悟を決めていた。俺が囮となって敵を引きつけることで、敵を捕えて平穏が訪れるなら、やるしかない。たとえどんな危険が待ち受けていようとも、王子を守るためならば、俺は何でもやる覚悟だ。
国王はうなずき、穏やかな表情で言った。
「それでよい。皆で力を合わせて、この難局を乗り切ろう」
俺たちは再び一礼し、執務室を後にする。廊下を歩いている間も、王子は俺の手をしっかりと握り続けていた。
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