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02 逮捕されました
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ガシャンッ!と音がしたかと思うと、俺の両手に手錠のようなものがかけられていた。
恐らく魔法で作られたらしい、頑丈そうな光の輪だ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!どうして俺が捕まらなくちゃいけないんだ!?」
「まさかお前が諸悪の根源だったなんて……」
「はぁ!?」
今までの話の流れからして、アルクの世界を危機に陥れた犯人が俺だと思っているのだろう。
「そんな覚えはない!何かの間違いじゃないのか?」
「とぼけるな!お前の名前が全ての答えだ。その名前を持つ人間は、この世界に一人しかいないということも分かっている」
確かに、俺の名字は親族以外に存在しない、かなり珍しい苗字だ。同姓同名はいないだろう。だが、それだけで犯人扱いされるなんて……。
「でも、俺は何もしていない。しかも、俺は警察官なんだ。……あ、『警察官』って分かるだろうか?」
「魔法で言葉が分かるようになっているから、意味は伝わる。僕の世界にもそういった組織はあるからな。犯罪者を捕まえたり、事件が起こったときに捜査したりするのだろう?」
「そうだ。俺は真面目に仕事をしてきたし、犯罪行為に手を染めたこともない」
何よりも、俺はこの世界を平和にしたくて警察官になったのだ。そんな俺がどうして……。
「……そうか。嘘をついているようには見えないな……。ならばどうして君が……」
アルクは俯いてしばらく何かを考えているようだったが、やがて顔を上げて言った。
「分かった。僕が間違っていたよ」
どうやら誤解が解けたようだ。俺はホッと胸を撫で下ろす。
「分かってくれて良かったよ。じゃあ、この手錠を外してくれないか?」
「それはできない」
「えっ、どうしてだよ!」
誤解が解けたから外してくれると思ったのに。さすがにこのままでは仕事ができない。
「君の言っていることは本当だと思う。けれど、僕の世界で危険だとされている人物なことには間違いないんだ。申し訳ないが、拘束させてもらうよ」
そう言うと彼は何か呪文を唱える。すると、手錠の片方が俺の手から外れ、それがアルクの手にかけられた。俺の右手とアルクの左手が繋がっている状態だ。
「えっ、どういうことだ?」
「こうして一緒に行動して、君を監視させてもらうよ。僕が君を信頼するまではね」
なるほど……と、一瞬納得しそうになったが、大変なことに気が付く。
「い、嫌だよ!これじゃトイレにも行けないじゃないか!」
「大丈夫。僕は気にしないよ」
「いや、俺は気にするから!」
こんなの恥ずかしすぎる……。どうにかして外さなければ。しかし、頑丈な光の輪はいくら引っ張ってみてもビクともしなかった。
「無駄だよ。これは魔力によって作られているからね。力で壊すことはできない」
「ううぅ……」
この状態で生活しなければならないということか。しかし、部外者を警察内に連れて行く訳にはいかない。
「アルク、でも仕事場に君を連れて行くことは出来ないんだ。せめて仕事中だけでも外してくれないか?」
「そうか、じゃあこうしよう」
アルクが何やら呟くと、その場が光に包まれた。眩しくて目を閉じてしまう。
「これでよし」
「……んん?」
目を開けてよく見ると、アルクの姿が薄くなっている。
「なんか透明になってる……?」
「ああ、君にしか見えないようになっているんだ。手錠も含めて、他の人には見えないから安心してくれ」
「なるほど……」
これなら確かに連れて行けそうだ。セキュリティ的に問題はある気がするが、まあ異世界の人間だからいいか……。
「うーん、でも、咄嗟に動く時とか危ないな……」
仕事上、急に走り出さなければならない時もある。
「心配ないよ。試しにちょっと動いてみてくれ」
言われた通り、素早く走ってみた。すると、光の手錠がぎゅーんと伸びてアルクから身体が離れる。
「おわっ!?これ、伸びるのか!」
「そうだよ。君が意図的に僕から逃げようとしたりしない限りは、離れることが可能だ」
「なるほど、そういう仕組みなのか……」
魔法というやつは便利なものだ。原理はよく分からないが、すごい技術だな……。
「あ、ということは別にトイレも一緒に入らなくていいのか」
俺はホッと息をつく。だからアルクも落ち着いていたんだな。
「いや、トイレは一緒に行くよ」
「なんでだよ!?」
「だって、まだ君を完全に信じた訳ではないからね。常に見張らせてもらうよ」
「ぐぬぬ……」
イケメンに見守られながら用を足すって、どんな羞恥プレイだよ……。
だが、身の潔白を証明するためには、受け入れるしかなさそうだ。
「分かったよ……。じゃあ、よろしく頼む……」
「ああ、こちらこそよろしくね」
こうして、異世界の勇者と俺の奇妙な手錠生活が始まったのだった――。
恐らく魔法で作られたらしい、頑丈そうな光の輪だ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!どうして俺が捕まらなくちゃいけないんだ!?」
「まさかお前が諸悪の根源だったなんて……」
「はぁ!?」
今までの話の流れからして、アルクの世界を危機に陥れた犯人が俺だと思っているのだろう。
「そんな覚えはない!何かの間違いじゃないのか?」
「とぼけるな!お前の名前が全ての答えだ。その名前を持つ人間は、この世界に一人しかいないということも分かっている」
確かに、俺の名字は親族以外に存在しない、かなり珍しい苗字だ。同姓同名はいないだろう。だが、それだけで犯人扱いされるなんて……。
「でも、俺は何もしていない。しかも、俺は警察官なんだ。……あ、『警察官』って分かるだろうか?」
「魔法で言葉が分かるようになっているから、意味は伝わる。僕の世界にもそういった組織はあるからな。犯罪者を捕まえたり、事件が起こったときに捜査したりするのだろう?」
「そうだ。俺は真面目に仕事をしてきたし、犯罪行為に手を染めたこともない」
何よりも、俺はこの世界を平和にしたくて警察官になったのだ。そんな俺がどうして……。
「……そうか。嘘をついているようには見えないな……。ならばどうして君が……」
アルクは俯いてしばらく何かを考えているようだったが、やがて顔を上げて言った。
「分かった。僕が間違っていたよ」
どうやら誤解が解けたようだ。俺はホッと胸を撫で下ろす。
「分かってくれて良かったよ。じゃあ、この手錠を外してくれないか?」
「それはできない」
「えっ、どうしてだよ!」
誤解が解けたから外してくれると思ったのに。さすがにこのままでは仕事ができない。
「君の言っていることは本当だと思う。けれど、僕の世界で危険だとされている人物なことには間違いないんだ。申し訳ないが、拘束させてもらうよ」
そう言うと彼は何か呪文を唱える。すると、手錠の片方が俺の手から外れ、それがアルクの手にかけられた。俺の右手とアルクの左手が繋がっている状態だ。
「えっ、どういうことだ?」
「こうして一緒に行動して、君を監視させてもらうよ。僕が君を信頼するまではね」
なるほど……と、一瞬納得しそうになったが、大変なことに気が付く。
「い、嫌だよ!これじゃトイレにも行けないじゃないか!」
「大丈夫。僕は気にしないよ」
「いや、俺は気にするから!」
こんなの恥ずかしすぎる……。どうにかして外さなければ。しかし、頑丈な光の輪はいくら引っ張ってみてもビクともしなかった。
「無駄だよ。これは魔力によって作られているからね。力で壊すことはできない」
「ううぅ……」
この状態で生活しなければならないということか。しかし、部外者を警察内に連れて行く訳にはいかない。
「アルク、でも仕事場に君を連れて行くことは出来ないんだ。せめて仕事中だけでも外してくれないか?」
「そうか、じゃあこうしよう」
アルクが何やら呟くと、その場が光に包まれた。眩しくて目を閉じてしまう。
「これでよし」
「……んん?」
目を開けてよく見ると、アルクの姿が薄くなっている。
「なんか透明になってる……?」
「ああ、君にしか見えないようになっているんだ。手錠も含めて、他の人には見えないから安心してくれ」
「なるほど……」
これなら確かに連れて行けそうだ。セキュリティ的に問題はある気がするが、まあ異世界の人間だからいいか……。
「うーん、でも、咄嗟に動く時とか危ないな……」
仕事上、急に走り出さなければならない時もある。
「心配ないよ。試しにちょっと動いてみてくれ」
言われた通り、素早く走ってみた。すると、光の手錠がぎゅーんと伸びてアルクから身体が離れる。
「おわっ!?これ、伸びるのか!」
「そうだよ。君が意図的に僕から逃げようとしたりしない限りは、離れることが可能だ」
「なるほど、そういう仕組みなのか……」
魔法というやつは便利なものだ。原理はよく分からないが、すごい技術だな……。
「あ、ということは別にトイレも一緒に入らなくていいのか」
俺はホッと息をつく。だからアルクも落ち着いていたんだな。
「いや、トイレは一緒に行くよ」
「なんでだよ!?」
「だって、まだ君を完全に信じた訳ではないからね。常に見張らせてもらうよ」
「ぐぬぬ……」
イケメンに見守られながら用を足すって、どんな羞恥プレイだよ……。
だが、身の潔白を証明するためには、受け入れるしかなさそうだ。
「分かったよ……。じゃあ、よろしく頼む……」
「ああ、こちらこそよろしくね」
こうして、異世界の勇者と俺の奇妙な手錠生活が始まったのだった――。
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