4 / 29
一章 出立
第4話 危険な二人組
しおりを挟む
「はあ。祈禱師、ですか」
なんだか急に話の方向がズレて、思わず井ノ道は間の抜けた返事をした。
「霊眼の会という宗教団体に所属する、『寺田マサ』と名乗る祈禱師に電話で占ってもらったんです。三葉の生年月日。それから事件が起きた場所と日時。事件に関することを隈なく伝えると、電話の向こう側にいる祈禱師は、小豆を擦るような声でこう告げたんです。『あなたは、事件に関する大切な写真を持っているはず。写真を頼りにしなさい。さすれば必ずや道は開けるでしょう』」
祈禱師の口調を真似しながら空木は言った。祈禱師というと腰の曲がった老婆を想像していたが、空木の口調からして、どうやら祈禱師の正体は比較的若い女性らしかった。
「幼稚園のお迎えの時に撮影した例の写真が、池の落葉みたいに、ふと脳裏に浮かび上がったんです。私はすぐさま様々な角度から写真を調べました。インターネットで画像検索を行ってみたところ、ついに見つけ出したんです」
「よく似た風車の画像を?」
「そうです」
「はあ」
「実は話にはまだ続きがあります」
隣に座る日和は、口をへの字に曲げながら、指が真っ青になるほどかたく手を閉じている。詐欺まがいの呪術に耽溺する夫に対して、辟易している風だった。
「祈祷師はこうも告げました。さらなる預言には、身体の浄化による鍛錬と霊眼の会創設者への崇敬が必要である。相応の金額をお支払いし、指示通り霊的能力を蓄える儀式を不眠不休で執り行うと、私はふたたび祈祷師へ連絡しました。二回目の預言の内容は、こうでした。『画像の手掛かりは、事件解決への大きな一歩となるでしょう。心配は要りません。安心して手掛かりの糸を手繰り寄せなさい』」
ああ、馬鹿げている。息子を無くした絶望的感情につけ込み、甘い言葉で心を掌握し、精神的疲労に追い打ちをかけたところで、大金を巻き上げてゆく。カルト宗教の悪質な手口そのものではないか。手掛かりの糸を手繰り寄せるだって? チュッパチャップスをぺろぺろ舐める金髪のギャルですら、もう少しマシな助言を思いつけるだろう。
「ちょっと失礼します」
なんだか新鮮な空気を吸いたくなって、井ノ道はあくびを嚙み殺しながら席を立った。カビだらけの窓枠に手を置いてクレセント錠を操作する。
次の瞬間、井ノ道の全身に鳥肌が立った。心臓がドクンと大きく脈打つ。
約九メートル下。テカテカとした艶のある黒のスーツを着込んで、紫色の花柄ネクタイを締めた、いかにもヤバそうな見た目の男二人組が、こちらをじっと見つめているのだ。
一人は角刈りの男で、数珠のようなネックレスを目障りに首からぶら下げている。もう一人の男はスキンヘッドで、額の右側にミミズのような青黒い血管が浮き出ていた。
二人組は、こちらの視線に気づくと、さも他人行儀に反対の方向へ顔を逸らした。
下手くそな演技。間違いない。二人は、この事務所を見張っている。職業上、染まっている人間とそうでない人間の区別は容易につく。彼らは染まっている側の人間だ。何に染まっているかというと、つまるところの『暴力』である。
井ノ道は素早く窓枠から離れると、静かに安楽椅子へ戻った。右足首の感触を確かめる。特注のホルスターによって隠された3Dプリンター製の違法拳銃を、すぐに取り出せるように。
「どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません、話の途中でしたね。どうぞ、続けてください」
奴らの飼い主は一体誰だ? 例の怪しい宗教団体。あるいは、目の前に座る二人か。どちらにせよ、今は触れるべきではない。不用意に警戒心を煽る行為は命取りである。
「はい。……それで、風車の画像は、とあるブログに掲載されていたんですけど。知っていますか、このブログ」
額に流れる冷や汗を拭いて、空木のスマホを見る。『ジョンの贈り物』と題されたブログだ。世界各地の名所を背景に、黒色の毛を生やした犬が正面を向いてニコッと微笑んでいる写真が何枚も並べられている。
動物は大嫌いだ。気分が悪くなって、咄嗟にスマホから目を逸らした。蛍光灯に巻き付いた白い紐がジッと音を立てた。
「いえ、初めて見ました」
「画像検索をするまでは、私もこのブログの存在を知りませんでした。それで、十一月二十三日に公開された画像が、ほら、これです」
エッフェル塔の前でニコッと微笑む黒い犬の画像と、タージマハルの前でニコッと微笑む黒い犬の画像に挟まれて、たしかに白い風車の画像がポツンと置かれていた。作者の意図が読めない。なんとも謎めいたブログだ。
「預言を信じて、何度もブログの運営者にメールを送りました。風車は、一年前に失踪した息子が残したモノに違いない。いつ、どこで、どのような経緯で見つけたのか。そうしたら、こんなメールが送られてきたんです」
メールの本文には、『住所』『風車』という文字があり、それぞれ横に奇妙な数字の羅列が添えられていた。どこか見覚えのある形だった。
「もしかして……座標ですか」
「ええ。そうなんです。何を聞いても、これ以外の返答がありませんでした」
十進法で表された緯度、経度。場所の説明に、座標の数字を用いるなんて。どうやらブログの運営者は,相当変わった人物らしい。
「それで座標は、どこを示していたんですか」
「小笠原諸島付近の海です」
「はい?」
「住所、風車の両方ともに海の上を示していたんです」
「ええと、つまり……」
カルト教団が用意周到に仕掛けたデタラメ。預言が的中し、あたかも霊力が本物であるように見せかけるための、フェイク。
「手掛かりは、下らぬ悪戯の産物に過ぎなかった。そんなオチですか」
「いいえ。座標に間違いはありません。祈禱師の預言を信じて、私はメールの文章を徹底的に調べ上げたのですから」
まだ続きがあるのか。井ノ道は、彼に対する興味が薄れ始めてきたことを悟られないよう、神妙な面持ちで彼の話を聞いた。
「まず国土地理院と海上保安庁に座標の位置を問い合わせてみました。やはりネットの情報は正しいらしく、座標は小笠原諸島付近の海上を示しているようでした。次にSNSを利用して、小笠原諸島の近海で活動する漁師に、座標についてたずねてみたんです。すると、こんな噂を教えてくれたんですよ。環境保全という名目で座標地点の一帯が侵入を禁じられている。驚くべきことに、国の指示なんだそうです。加えて、このことは付近を通過する貨物船と小笠原諸島へ向かうクルーズ船の船長、それから地元の漁師しか知らない」
「はあ」
「今度は芸能記者時代の人脈を活かして、禁じられた海域について調べ上げました」
「芸能記者をやられていたんですか」
「ええ。半年ほど前に退職してしまいましたが」
そう言うと空木は、一枚の名刺を差し出した。丁寧に受け取る。たしかに前職は芸能記者で間違いないらしかった。
「そこで偶然、とんでもない噂を耳にしたんです。日本の海域には、誰にも知られていない徹底的に秘匿性の保たれた無人島が存在している。そして、その島というのが……」
「ブログの運営者が送ってきた座標地点にある、と」
「ええ。この世には、世界地図上に存在しない島が存在していたんです」
「つまり、画像の風車は、その無人島の上に落ちていたということですか」
「それだけじゃありません。聞くところによると、招待された世界中の富豪たちが療養のために度々無人島を訪れるそうなんです」
ああ、人工衛星が頭上を飛び交う現代において、そんなことがあり得るのだろうか。否、祈祷師が鼻クソをほじりながら適当に創作した都市伝説に過ぎない。
「世界中の人々が情報の入手源をネットに依存するあまり、島を丸ごと消し去ってしまうほどの大胆な情報操作が、たやすく実行できてしまうんですよ。そしてこれが……」
空木は、ババ抜きでジョーカーを引いてしまったかのような態度で、鞄から一枚の紙を取り出した。
なんだか急に話の方向がズレて、思わず井ノ道は間の抜けた返事をした。
「霊眼の会という宗教団体に所属する、『寺田マサ』と名乗る祈禱師に電話で占ってもらったんです。三葉の生年月日。それから事件が起きた場所と日時。事件に関することを隈なく伝えると、電話の向こう側にいる祈禱師は、小豆を擦るような声でこう告げたんです。『あなたは、事件に関する大切な写真を持っているはず。写真を頼りにしなさい。さすれば必ずや道は開けるでしょう』」
祈禱師の口調を真似しながら空木は言った。祈禱師というと腰の曲がった老婆を想像していたが、空木の口調からして、どうやら祈禱師の正体は比較的若い女性らしかった。
「幼稚園のお迎えの時に撮影した例の写真が、池の落葉みたいに、ふと脳裏に浮かび上がったんです。私はすぐさま様々な角度から写真を調べました。インターネットで画像検索を行ってみたところ、ついに見つけ出したんです」
「よく似た風車の画像を?」
「そうです」
「はあ」
「実は話にはまだ続きがあります」
隣に座る日和は、口をへの字に曲げながら、指が真っ青になるほどかたく手を閉じている。詐欺まがいの呪術に耽溺する夫に対して、辟易している風だった。
「祈祷師はこうも告げました。さらなる預言には、身体の浄化による鍛錬と霊眼の会創設者への崇敬が必要である。相応の金額をお支払いし、指示通り霊的能力を蓄える儀式を不眠不休で執り行うと、私はふたたび祈祷師へ連絡しました。二回目の預言の内容は、こうでした。『画像の手掛かりは、事件解決への大きな一歩となるでしょう。心配は要りません。安心して手掛かりの糸を手繰り寄せなさい』」
ああ、馬鹿げている。息子を無くした絶望的感情につけ込み、甘い言葉で心を掌握し、精神的疲労に追い打ちをかけたところで、大金を巻き上げてゆく。カルト宗教の悪質な手口そのものではないか。手掛かりの糸を手繰り寄せるだって? チュッパチャップスをぺろぺろ舐める金髪のギャルですら、もう少しマシな助言を思いつけるだろう。
「ちょっと失礼します」
なんだか新鮮な空気を吸いたくなって、井ノ道はあくびを嚙み殺しながら席を立った。カビだらけの窓枠に手を置いてクレセント錠を操作する。
次の瞬間、井ノ道の全身に鳥肌が立った。心臓がドクンと大きく脈打つ。
約九メートル下。テカテカとした艶のある黒のスーツを着込んで、紫色の花柄ネクタイを締めた、いかにもヤバそうな見た目の男二人組が、こちらをじっと見つめているのだ。
一人は角刈りの男で、数珠のようなネックレスを目障りに首からぶら下げている。もう一人の男はスキンヘッドで、額の右側にミミズのような青黒い血管が浮き出ていた。
二人組は、こちらの視線に気づくと、さも他人行儀に反対の方向へ顔を逸らした。
下手くそな演技。間違いない。二人は、この事務所を見張っている。職業上、染まっている人間とそうでない人間の区別は容易につく。彼らは染まっている側の人間だ。何に染まっているかというと、つまるところの『暴力』である。
井ノ道は素早く窓枠から離れると、静かに安楽椅子へ戻った。右足首の感触を確かめる。特注のホルスターによって隠された3Dプリンター製の違法拳銃を、すぐに取り出せるように。
「どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません、話の途中でしたね。どうぞ、続けてください」
奴らの飼い主は一体誰だ? 例の怪しい宗教団体。あるいは、目の前に座る二人か。どちらにせよ、今は触れるべきではない。不用意に警戒心を煽る行為は命取りである。
「はい。……それで、風車の画像は、とあるブログに掲載されていたんですけど。知っていますか、このブログ」
額に流れる冷や汗を拭いて、空木のスマホを見る。『ジョンの贈り物』と題されたブログだ。世界各地の名所を背景に、黒色の毛を生やした犬が正面を向いてニコッと微笑んでいる写真が何枚も並べられている。
動物は大嫌いだ。気分が悪くなって、咄嗟にスマホから目を逸らした。蛍光灯に巻き付いた白い紐がジッと音を立てた。
「いえ、初めて見ました」
「画像検索をするまでは、私もこのブログの存在を知りませんでした。それで、十一月二十三日に公開された画像が、ほら、これです」
エッフェル塔の前でニコッと微笑む黒い犬の画像と、タージマハルの前でニコッと微笑む黒い犬の画像に挟まれて、たしかに白い風車の画像がポツンと置かれていた。作者の意図が読めない。なんとも謎めいたブログだ。
「預言を信じて、何度もブログの運営者にメールを送りました。風車は、一年前に失踪した息子が残したモノに違いない。いつ、どこで、どのような経緯で見つけたのか。そうしたら、こんなメールが送られてきたんです」
メールの本文には、『住所』『風車』という文字があり、それぞれ横に奇妙な数字の羅列が添えられていた。どこか見覚えのある形だった。
「もしかして……座標ですか」
「ええ。そうなんです。何を聞いても、これ以外の返答がありませんでした」
十進法で表された緯度、経度。場所の説明に、座標の数字を用いるなんて。どうやらブログの運営者は,相当変わった人物らしい。
「それで座標は、どこを示していたんですか」
「小笠原諸島付近の海です」
「はい?」
「住所、風車の両方ともに海の上を示していたんです」
「ええと、つまり……」
カルト教団が用意周到に仕掛けたデタラメ。預言が的中し、あたかも霊力が本物であるように見せかけるための、フェイク。
「手掛かりは、下らぬ悪戯の産物に過ぎなかった。そんなオチですか」
「いいえ。座標に間違いはありません。祈禱師の預言を信じて、私はメールの文章を徹底的に調べ上げたのですから」
まだ続きがあるのか。井ノ道は、彼に対する興味が薄れ始めてきたことを悟られないよう、神妙な面持ちで彼の話を聞いた。
「まず国土地理院と海上保安庁に座標の位置を問い合わせてみました。やはりネットの情報は正しいらしく、座標は小笠原諸島付近の海上を示しているようでした。次にSNSを利用して、小笠原諸島の近海で活動する漁師に、座標についてたずねてみたんです。すると、こんな噂を教えてくれたんですよ。環境保全という名目で座標地点の一帯が侵入を禁じられている。驚くべきことに、国の指示なんだそうです。加えて、このことは付近を通過する貨物船と小笠原諸島へ向かうクルーズ船の船長、それから地元の漁師しか知らない」
「はあ」
「今度は芸能記者時代の人脈を活かして、禁じられた海域について調べ上げました」
「芸能記者をやられていたんですか」
「ええ。半年ほど前に退職してしまいましたが」
そう言うと空木は、一枚の名刺を差し出した。丁寧に受け取る。たしかに前職は芸能記者で間違いないらしかった。
「そこで偶然、とんでもない噂を耳にしたんです。日本の海域には、誰にも知られていない徹底的に秘匿性の保たれた無人島が存在している。そして、その島というのが……」
「ブログの運営者が送ってきた座標地点にある、と」
「ええ。この世には、世界地図上に存在しない島が存在していたんです」
「つまり、画像の風車は、その無人島の上に落ちていたということですか」
「それだけじゃありません。聞くところによると、招待された世界中の富豪たちが療養のために度々無人島を訪れるそうなんです」
ああ、人工衛星が頭上を飛び交う現代において、そんなことがあり得るのだろうか。否、祈祷師が鼻クソをほじりながら適当に創作した都市伝説に過ぎない。
「世界中の人々が情報の入手源をネットに依存するあまり、島を丸ごと消し去ってしまうほどの大胆な情報操作が、たやすく実行できてしまうんですよ。そしてこれが……」
空木は、ババ抜きでジョーカーを引いてしまったかのような態度で、鞄から一枚の紙を取り出した。
0
あなたにおすすめの小説
近づいてはならぬ、敬して去るべし
句ノ休(くのやすめ)
ホラー
山中、もしあなたがそれに出会ったら……
近づいてはいけない。
敬して去るべし。
山を降りろ。
六年勤めた会社を辞めた。お荷物だとはわかっていたし、むしろ清々しくもあった。
28歳のコウイチには、仕事より大切なものがあった。
田舎歩きだ。そこ大事なのが学生のときにかじった民俗学だ。廃集落、古い祠、忘れられた神々——それを訪ねることは、彼のたった一つの愉しみだった。
大学時代、民俗学の講義で准教授はこう言った。「神々は神ではない」。人が畏れ、従い、忖度したものがかみになる。その言葉がコウイチを変えた。
会社の営業で関東のあちこちを歩きまわった。コウイチは仕事よりも土地の古老の話に耳を傾けることに熱中した。
ふと見つけた資料にコウイチは目を奪われた。
「名付け得ぬ神」。
東京の西、檜原村の奥深く、コボレザワという場所にその祭祀を担った一族がいたという。山奥には祠があるらしい。だがもう六十年も前に無人になってしまっているようだ。
コウイチは訪ねることにする。
道中、奇妙な老人に出会う。一人目は気のいい古書店主。二人目は何かを知りながら口を閉ざす資料館の老人。そして三人目は——
雪深い山の中でコウイチはついに祠を見つけた。巨大な岩を背にした祠は古び、壊れていたが、まだ人が来ている痕跡があった。
不穏な気配にコウイチは振り向くが、なにもない。
あれ? 鳥の声が、まったくない。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
短な恐怖(怖い話 短編集)
邪神 白猫
ホラー
怪談・怖い話・不思議な話のオムニバス。
王道ホラーではない。人の業をテーマにしたホラー。
人の醜さ・弱さ・愚かさ・儚さを問う。
こんなにも憐れで美しいのは──人の本質。
じわじわと痛みの伴う読後感。そんなホラーはいかがですか?
ゾクッと怖い話から、ちょっぴり切ない話まで。
なかには意味怖的なお話も。
※追加次第更新中※
YouTubeにて、怪談・怖い話の朗読公開中📕
https://youtube.com/@yuachanRio
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる