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気まぐれマジシャン 1
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大会の出場申し込みをする際、毎回困ることがある。
俺の主用武器と職業だ。
リアルではニート、武器を使える資格は持っていた気がするが、免許の更新をしていないため履歴書に書くだけの飾りになっていた。
パラレルマギでは復帰してから主に使っている武器が存在しておらず、強いていうなら棒を多用している。職業は昔も今も定まらず、色々な武器を使ってもおかしくないということで、悩みに悩んで戦士ということにしていた。
パラレルマギには他のゲームのように職業補正というやつがない。だから自由に職業を自称できた。
それにも関わらず、プレイヤー達が職業を定めたがる主な理由は三つある。
一つ目、エリアやダンジョンを攻略する際、大会出場する際に能力がわかりやすくチームを組んだりするのに便利だから。
二つ目、自己紹介がしやすいから。
三つ目、それっぽい職業がある方がかっこいいから。
パラレルマギは老若男女に人気のあるゲームだ。もちろん、配信者にも人気があり、配信をみた人々が無課金エリアで遊ぶのも楽しい。その上魔術を学ぶのにいいといって、昨今では学習エリアもできた。
そんなわけでプレイヤーが多く、初対面同士でチームを組むことも多々あるし、大規模主攻略となると他のチームと協力することもある。その際職業がわかれば何ができるかわかりやすいので、時間短縮になるし、作戦が立てやすい。
他人と一緒に何かするなら自己紹介をする機会も増えるし、職業は話のネタとしても優秀だ。
そしてプレイヤーの多くは年若かったりオタクだったりするもので……拗らせている可能性がある。つまり、そう、好きなのだ。どうしようもなく、現実ではあまり見ることのない職業が。
そういったお年頃の時をパラレルマギをして過ごしたこともあり、俺は遊び心と憧れを持った大人になった。
お陰様で未だに騎士とか暗殺者とか盗賊とか……書けない職業を書きたい誘惑に駆られる。
「どうしたものか……」
ツーシーと顔合わせをして洞窟で互いの熱い思いで平行線をウロウロしたあと、俺の思いつきで当日参加できる大会に出場することになった。
俺達の参加するのは廃棄都市バトルロイヤルで、廃棄された都市の建物群に潜み、戦い、生き残れば勝ちの大会である。
その俺達が参加する大会で使われる廃棄都市は『虚構の栄華ネーレ・ガルバルリ』だ。栄華を極めたネーレ国のガルバルリという都市が大昔にあって、それが敵対国により一夜にして陥落した。それにも関わらずいつまで経っても栄華に縋り死人が彷徨っている。なんて話があるアンデッド系モンスターが踊り狂っている場所、それが『虚構の栄華ネーレ・ガルバルリ』だ。
そんなところで大会をすると、モンスターを倒しながら大会参加者を倒すというハードなことをしなければならない。
そうなると俺が使う武器は、アンデッドを倒すのに楽な武器がいいか参加者を遠距離から狙い撃てる武器がいいのか。
武器によって大会出場申し込み用紙に書く職業は変わるので、俺はペンを持ったまま悩んだ。
『マジシャンにすればいい』
悩みすぎて禿げそうになっていたところ、申し込み用紙の空欄を埋めてしまったツーシーから声がかかった。
「……書くの早くない?」
『早くない。あんたが遅いだけだ』
ウサギの姿をしているのにどうしたらそんなに早く、空欄が埋まるのか。
俺は名前しか書いていない紙とウサギが踏んづけている紙を見比べた。
「字、綺麗」
ウサギってペンを持てる生き物だったかな? と、余分なことに思考を割き首を傾げる。
『……まぁ、半自動だから』
ウサギが前足を上げて小さく唱えた。
『【書け】』
俺の主用武器と職業だ。
リアルではニート、武器を使える資格は持っていた気がするが、免許の更新をしていないため履歴書に書くだけの飾りになっていた。
パラレルマギでは復帰してから主に使っている武器が存在しておらず、強いていうなら棒を多用している。職業は昔も今も定まらず、色々な武器を使ってもおかしくないということで、悩みに悩んで戦士ということにしていた。
パラレルマギには他のゲームのように職業補正というやつがない。だから自由に職業を自称できた。
それにも関わらず、プレイヤー達が職業を定めたがる主な理由は三つある。
一つ目、エリアやダンジョンを攻略する際、大会出場する際に能力がわかりやすくチームを組んだりするのに便利だから。
二つ目、自己紹介がしやすいから。
三つ目、それっぽい職業がある方がかっこいいから。
パラレルマギは老若男女に人気のあるゲームだ。もちろん、配信者にも人気があり、配信をみた人々が無課金エリアで遊ぶのも楽しい。その上魔術を学ぶのにいいといって、昨今では学習エリアもできた。
そんなわけでプレイヤーが多く、初対面同士でチームを組むことも多々あるし、大規模主攻略となると他のチームと協力することもある。その際職業がわかれば何ができるかわかりやすいので、時間短縮になるし、作戦が立てやすい。
他人と一緒に何かするなら自己紹介をする機会も増えるし、職業は話のネタとしても優秀だ。
そしてプレイヤーの多くは年若かったりオタクだったりするもので……拗らせている可能性がある。つまり、そう、好きなのだ。どうしようもなく、現実ではあまり見ることのない職業が。
そういったお年頃の時をパラレルマギをして過ごしたこともあり、俺は遊び心と憧れを持った大人になった。
お陰様で未だに騎士とか暗殺者とか盗賊とか……書けない職業を書きたい誘惑に駆られる。
「どうしたものか……」
ツーシーと顔合わせをして洞窟で互いの熱い思いで平行線をウロウロしたあと、俺の思いつきで当日参加できる大会に出場することになった。
俺達の参加するのは廃棄都市バトルロイヤルで、廃棄された都市の建物群に潜み、戦い、生き残れば勝ちの大会である。
その俺達が参加する大会で使われる廃棄都市は『虚構の栄華ネーレ・ガルバルリ』だ。栄華を極めたネーレ国のガルバルリという都市が大昔にあって、それが敵対国により一夜にして陥落した。それにも関わらずいつまで経っても栄華に縋り死人が彷徨っている。なんて話があるアンデッド系モンスターが踊り狂っている場所、それが『虚構の栄華ネーレ・ガルバルリ』だ。
そんなところで大会をすると、モンスターを倒しながら大会参加者を倒すというハードなことをしなければならない。
そうなると俺が使う武器は、アンデッドを倒すのに楽な武器がいいか参加者を遠距離から狙い撃てる武器がいいのか。
武器によって大会出場申し込み用紙に書く職業は変わるので、俺はペンを持ったまま悩んだ。
『マジシャンにすればいい』
悩みすぎて禿げそうになっていたところ、申し込み用紙の空欄を埋めてしまったツーシーから声がかかった。
「……書くの早くない?」
『早くない。あんたが遅いだけだ』
ウサギの姿をしているのにどうしたらそんなに早く、空欄が埋まるのか。
俺は名前しか書いていない紙とウサギが踏んづけている紙を見比べた。
「字、綺麗」
ウサギってペンを持てる生き物だったかな? と、余分なことに思考を割き首を傾げる。
『……まぁ、半自動だから』
ウサギが前足を上げて小さく唱えた。
『【書け】』
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