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漆黒ノ章
彼は眠る、永久に2
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「えっ?」
『えっ?では無いわ。何か理由は無いのか?それとも申せぬのか?心当たりは無いのか?わらわに申してみ?ん?』
一気に話すと、ずいずいと蜻蛉羽根の少女はハクの目の前まで金の粉々を纏いつつ飛行し、ハクの顔の前の15センチ程前で停まる。
やや自信ありげに背筋を伸ばし、じーとハクの目と顔を見ていたかと思いきや、急に頬をうっすらと赤らめてそっぽを向くとモジモジと初な反応をし始めた。
『ぬぅ…御主、蠱惑的過ぎて末恐ろしいのじゃな』
「?」
『無自覚か、これまた面妖な』
ふーっと、力を抜く為かはたまた呆れた為か、目の前でひとつ深く息を吐くと、じっと澄んだ大きな青い瞳で探るようにハクを凝視し始める。
時折初な乙女な反応も交えつつも、時にして一分弱、時折ふむふむと呟きを入れて居たのは癖だろうか?
ハクは何だか今ここで何をしているのか話掛けるのは悪い気がし、ただ黙って目の前の少女を見詰めていた。
その為、若干訝しげな顔付きになってしまったのはご愛敬だ。
そんな態度のハクをゆっくりと、頭の先から爪先まで見透かすように見終わると、蜻蛉羽根の少女は顔を上げ、
『御主の中には三人おるようじゃが、色で表すとそのうちの一人が黒で、次が白、いや透明か?そして最後の三人目が色で例えられぬが、敢えて言うなら…蠱惑的じゃの』
目の前の少女はふーむむむと唸り、『困ったの』とまた独りごちる。
『これはなんじゃ?えらい引き寄せられるのじゃ。魅惑の魔法かの?しかしその様な精神的な魔法はわらわには効かぬ筈やしのう』
『おかしやの』と、ブツブツと独り言をいい始める。
【マスター】
マスターって呼ぶのはシステムか?
【はい、マスターが起きて表面化してから連絡がつかなくなり心配しておりました。無事で何よりです】
うん、何かよくわからないのだけど、マクスウェルやシステムが出て来れなかったのは多分、部屋の壁にあった魔方陣が関係していたのかな?
【魔方陣ですか?まだ完全に消失していないのですね?マスター、勝手ながら少し調査の為力を借ります】
等とシステムが言うと、力の一種の様な軽いものが魔方陣に向けて身体から勝手に放たれる。
するとピシッと空気中で音が鳴り、放った力の一種が消失する。
システムが何かしたのかな?
魔方陣からピシッピシッと亀裂のような物が徐々にひび割れて居る気がする。
当初見付けた時より多少気薄にはなってはいるが、インクのような物は空中に散り、溶けていく。
だが、色濃い漆黒の色は今だはっきりと壁に残ったままだ。
【…マスター、恐らくこの魔方陣は私、システム対策かも知れません】
え?
【マクスウェルには影響は無いでしょうが、今彼は力を回復させる為"眠っている"状態です。その為検証は出来ませんが、私がマスターの力を借りて放つと阻害される為、恐らくですがそう推測されます】
何故なんだろう?と言うより、システムが居るとわかっていたのかな?
【それは家主に聞けばわかるかと。この魔方陣にはマスターには影響は無いように思われますし…ただ、私達○○には影響があるようですが】
○○?ゴメン、聞き取れ無かったのだけど。
【所でマスター?目の前に居る小娘はそのまま放置していても?】
ン?
って、え、え、ええええええ!
「ちょっと待ったーーーーー!」
システムと話しててすっかり忘れてたけど、目の前の小さな蜻蛉羽根の少女は何を血迷ったのか、俺のズボンの紐の部分に手をかけズボンを下げようとしていた。
『お?やっとわらわの方を向いたのじゃな?』
人のズボンに手を掛けつつ、カッカッカッと軽快に笑う。
「ちょっ!何してるんですか!」
『何を言う、目の前にわらわのような小さくて愛らしい風の高位精霊が居ると言うに、ほっといて呆けとるのが悪いんじゃ。だから悪戯と言う罰じゃ』
チチチチッと口元に右手人指し指を一本立て、空中をくるっと一回転し、ニマッと悪戯してやった!と人が悪い笑みをたたえる。
「高位精霊?と、そうじゃなかった!そんな罰がありますか!」
『むぅ、御主が他に着とらぬからこれしか思い付かなかったたけじゃ。それに風の高位精霊と言うのはまことぞ。元来風の精霊は悪戯好きだからの。それよりの』
チョイチョイと先程の魔方陣の方を指さし、不満そうに顔をしかめる。
『御主、黒いのは引っ込めとくのじゃな。其処な魔方陣はまだ力を失っとりはしておらん』
「黒いの?」
【マスター、恐らく"黒い"と言うのは私のことかと思われます】
確かにシステムは内側に居た時全身真っ黒だったけれど、でも何故システムに?
システム、お前何者なの?
○○って聞いたときわざとスルーしたのは何故?
【マスター…】
『ヌ!』
「!」
漆黒の黒色の魔方陣のある壁が急激に変色し、渦のような模様が黒と元々の壁の色の白と交ざり渦巻く。
ゴポッ…
ゴポッゴポッ…
海の渦のようなモノの中心部から、やがてヒトガタの口だけ開いた得体の知れない物体が、空気中に黒色の泡を吐きつつ複数の黒い頭部のみ飛び出してきた。
ーー魔人がいる
ーー違う
ーー魔王か?
ーー違う
ーー化身だ
ーー1つの能力に特化した化身だ
ーー顔が無い
ーーワレラトオナジ
ーー化身
ーーアビスから抜け出たか
『なんじゃこれは?』
「っ」
なんだ?急に頭が眩み、目眩がする。
そんな俺のことなどお構い無く、黒い複数の頭部は次々に口を開き喋りまくる。
ーーグリンウットの地の者か
ーー化身化身
ーー敵
ーー違う
ーー敵だ
『むむ?警戒せよ。何か来るぞ?』
『えっ?では無いわ。何か理由は無いのか?それとも申せぬのか?心当たりは無いのか?わらわに申してみ?ん?』
一気に話すと、ずいずいと蜻蛉羽根の少女はハクの目の前まで金の粉々を纏いつつ飛行し、ハクの顔の前の15センチ程前で停まる。
やや自信ありげに背筋を伸ばし、じーとハクの目と顔を見ていたかと思いきや、急に頬をうっすらと赤らめてそっぽを向くとモジモジと初な反応をし始めた。
『ぬぅ…御主、蠱惑的過ぎて末恐ろしいのじゃな』
「?」
『無自覚か、これまた面妖な』
ふーっと、力を抜く為かはたまた呆れた為か、目の前でひとつ深く息を吐くと、じっと澄んだ大きな青い瞳で探るようにハクを凝視し始める。
時折初な乙女な反応も交えつつも、時にして一分弱、時折ふむふむと呟きを入れて居たのは癖だろうか?
ハクは何だか今ここで何をしているのか話掛けるのは悪い気がし、ただ黙って目の前の少女を見詰めていた。
その為、若干訝しげな顔付きになってしまったのはご愛敬だ。
そんな態度のハクをゆっくりと、頭の先から爪先まで見透かすように見終わると、蜻蛉羽根の少女は顔を上げ、
『御主の中には三人おるようじゃが、色で表すとそのうちの一人が黒で、次が白、いや透明か?そして最後の三人目が色で例えられぬが、敢えて言うなら…蠱惑的じゃの』
目の前の少女はふーむむむと唸り、『困ったの』とまた独りごちる。
『これはなんじゃ?えらい引き寄せられるのじゃ。魅惑の魔法かの?しかしその様な精神的な魔法はわらわには効かぬ筈やしのう』
『おかしやの』と、ブツブツと独り言をいい始める。
【マスター】
マスターって呼ぶのはシステムか?
【はい、マスターが起きて表面化してから連絡がつかなくなり心配しておりました。無事で何よりです】
うん、何かよくわからないのだけど、マクスウェルやシステムが出て来れなかったのは多分、部屋の壁にあった魔方陣が関係していたのかな?
【魔方陣ですか?まだ完全に消失していないのですね?マスター、勝手ながら少し調査の為力を借ります】
等とシステムが言うと、力の一種の様な軽いものが魔方陣に向けて身体から勝手に放たれる。
するとピシッと空気中で音が鳴り、放った力の一種が消失する。
システムが何かしたのかな?
魔方陣からピシッピシッと亀裂のような物が徐々にひび割れて居る気がする。
当初見付けた時より多少気薄にはなってはいるが、インクのような物は空中に散り、溶けていく。
だが、色濃い漆黒の色は今だはっきりと壁に残ったままだ。
【…マスター、恐らくこの魔方陣は私、システム対策かも知れません】
え?
【マクスウェルには影響は無いでしょうが、今彼は力を回復させる為"眠っている"状態です。その為検証は出来ませんが、私がマスターの力を借りて放つと阻害される為、恐らくですがそう推測されます】
何故なんだろう?と言うより、システムが居るとわかっていたのかな?
【それは家主に聞けばわかるかと。この魔方陣にはマスターには影響は無いように思われますし…ただ、私達○○には影響があるようですが】
○○?ゴメン、聞き取れ無かったのだけど。
【所でマスター?目の前に居る小娘はそのまま放置していても?】
ン?
って、え、え、ええええええ!
「ちょっと待ったーーーーー!」
システムと話しててすっかり忘れてたけど、目の前の小さな蜻蛉羽根の少女は何を血迷ったのか、俺のズボンの紐の部分に手をかけズボンを下げようとしていた。
『お?やっとわらわの方を向いたのじゃな?』
人のズボンに手を掛けつつ、カッカッカッと軽快に笑う。
「ちょっ!何してるんですか!」
『何を言う、目の前にわらわのような小さくて愛らしい風の高位精霊が居ると言うに、ほっといて呆けとるのが悪いんじゃ。だから悪戯と言う罰じゃ』
チチチチッと口元に右手人指し指を一本立て、空中をくるっと一回転し、ニマッと悪戯してやった!と人が悪い笑みをたたえる。
「高位精霊?と、そうじゃなかった!そんな罰がありますか!」
『むぅ、御主が他に着とらぬからこれしか思い付かなかったたけじゃ。それに風の高位精霊と言うのはまことぞ。元来風の精霊は悪戯好きだからの。それよりの』
チョイチョイと先程の魔方陣の方を指さし、不満そうに顔をしかめる。
『御主、黒いのは引っ込めとくのじゃな。其処な魔方陣はまだ力を失っとりはしておらん』
「黒いの?」
【マスター、恐らく"黒い"と言うのは私のことかと思われます】
確かにシステムは内側に居た時全身真っ黒だったけれど、でも何故システムに?
システム、お前何者なの?
○○って聞いたときわざとスルーしたのは何故?
【マスター…】
『ヌ!』
「!」
漆黒の黒色の魔方陣のある壁が急激に変色し、渦のような模様が黒と元々の壁の色の白と交ざり渦巻く。
ゴポッ…
ゴポッゴポッ…
海の渦のようなモノの中心部から、やがてヒトガタの口だけ開いた得体の知れない物体が、空気中に黒色の泡を吐きつつ複数の黒い頭部のみ飛び出してきた。
ーー魔人がいる
ーー違う
ーー魔王か?
ーー違う
ーー化身だ
ーー1つの能力に特化した化身だ
ーー顔が無い
ーーワレラトオナジ
ーー化身
ーーアビスから抜け出たか
『なんじゃこれは?』
「っ」
なんだ?急に頭が眩み、目眩がする。
そんな俺のことなどお構い無く、黒い複数の頭部は次々に口を開き喋りまくる。
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ーー化身化身
ーー敵
ーー違う
ーー敵だ
『むむ?警戒せよ。何か来るぞ?』
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