この身体俺のでは無いようです!ー異世界転生ってここは何処!?ー

柚ノ木 碧/柚木 彗

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焔ノ章

緋色に空は染まり、夜の帳は落ちて 3

 視界に映る者の姿を見て固まる。


「ひえぇ?」


 言葉を吐いたのは信じられなかったから。
 ぽやんと、まだ眠そうな目をした同じ位の背丈の子供、いや、年齢とかはかなり違うのだが、銀髪の美しい髪の少年はカリナタに抱き着くと、眠そうな顔で「姉さん」と呟いて、また寝てしまった。
 しかも甘えて来るようにぎゅっと抱きついたまま。


「こ、こ、こここ、これは何て言う罠!?」


 やっばい、何これこの半端ない破壊力はっ!
 至福が私の中にぃっ!
 あ、違う違う、落ちつけ~!


「落ちつけカリナタ」


 ものスッゴク冷たい眼差しで、ケンネルさんとアレフに呆れられました、はい。ちょっと冷静になりました。


「実験は成功か?」

「何か違う気がするような気もする」

『わらわも役得にしか見えぬのじゃ』

「もきゅ?」


 ケンネルとアレフが冷たい態度で喋れば、ミトラまでそれに加わるが、モチは安定の純真鈍感具合。
「なんでしょ?」と小首を傾げている辺りは天使か。

 天使が居る!


「ご主人に抱きつかれても何とも無いですか?」


 ちょこちょこと側に来たモチに、ベットの上でハクに抱き付かれて嬉しいやら恥ずかしいやら、顔がヤバイ位に赤くなって動揺しまくっているカリナタは、遣ってきた天使、もといモチに


「落ち着かないけど、だ、大丈夫かな?」


 心臓が飛び出しそうで物凄い速度で動いてるけどね!
 うっかりハク君見ちゃうと虜になっちゃいそうだけどね!
 既になってる気がするけどね!
 ーーとは言えないけども。


『それ、大丈夫じゃない気がするのじゃ』

「「だよねー」」


 カリナタの心が読めるのか!と言うくらい的確な判断を下した三人、ミトラとアレフとケンネルは困ったな、と顔を見合わす。

 実は、アレフがハクに取り付けたブレスレット(モチに付けて貰った)の実験をして居るのである。
 勿論、ハクのスキル【傾国】の無効化の効果を附属した品である。
 他にも諸々の防御があるのだが、メインは傾国の無効化なので上手く作用するかわからない。
 その為に実験をなくては為らなくなったのだが、アレフは効果を見るために自らを人体実験するわけにはいかず、ケンネルは物凄い勢いで嫌がり、何故かミトラはチラチラとモチを見て、

『やめとくのじゃ』

 と、辞退した。

 そんな訳で全く【傾国】のスキルが効かないモチでは意味が無いため、カリナタに白羽の矢が当たったのだが、役得、いや至福?ある意味地獄?嗚呼でもハク君可愛いーっと、葛藤しているカリナタは、ふと気が付いた。


「姉さん?」


 …あの、もーしかしてハク君、私のこと物凄い歳上とか思って居るんじゃ…
 確かに年齢的には『人間』に当て嵌めれば高齢なのだが、カリナタの種族的には適齢期の女性のハーフエルフ。
 複雑な気分になってしまう。
 まあ、甘えられるのは何か嬉しいけども…


「ん?ハク君姉さんとか言ったのか?」

「うん…」


 ケンネルがふとモチを見ると、事情が分かっていないのかキョトンとしたモチがケンネルを見返している。


「そう言えば、何故ハク君はこの街に?」

「俺が連れてきた」


 と、アレフ。


「周囲が『グリンウッド』に囲まれて居るのに?」


 どうやって?


「「あ」」


 カリナタとアレフは同時に今気が付いたと言う感じでーー…


「どうやってここに来れたのだ?」


 険を含むケンネルの声にガチャッと部屋のドアが開き、


「はぁい、私がハクの姉だけど?」


 部屋にいた皆が振り向くと、皆の分のお茶を持ってきたミサがクスクス笑ってそこに立っていた。







 この街、ファンダムは周囲をグリンウッドの深い森に覆われて居る。他種族やモンスターが住むグリンウッドは一部の例外以外は単独で通過することは出来ず、通常は不可能である。
 勿論空を飛んで来れるとか、ミトラの様に空間移動が出来るとなれば別である。
 普通は唯一入って来れる北西の防波堤都市であり、学園都市であるアベントを通過しなくてはならない。

 ちなみに、一部の例外とは…


「ハクは私と同じ東の和の国の出身よ。この子は守りがあるからね」


 この世界の森であるグリンウッドは何故か、和の国の者には森の中では牙を向かない。
 一説にはこの星を作った時に関わった者が祖に居るからだとか、グリンウッドの森の守り神である者の加護があるからとか、諸々云われては居るが詳しくは分からない。
 特に黒髪黒目の子供には効果が高いと言われて居る。

 稀に難民としてやって来る事もあるのだが、それでも五人に一人の割合で、大半は冒険者が死体として森の奥で発見してくる。

 それでも掻い潜って来るものは皆一様に魔力が異様に高く、15歳未満の子供であり、どういうわけか皆見目がいい。一時期和の国の者は美形揃いと言われて見学に行った物好きも居たらしいが、実際はそうでも無かったと言われて居る。極々普通の、のどかな農園や牧草地が広がる豊かな地に、普通の容姿の者達だと。


「ハク君はやはり難民か?」

「まだ詳しくは聞いてないわ、何せ聞こうとしたら私の悪い癖がつい出ちゃってね~見事に逃げられたわ」


 チッと舌打ちをする姉。
 姉としてそれでいいのか?


「最も私とこの子ハクは腹違いだから、ハクが乳児の時以来なのよね会うのは」


 お陰様で気が付く迄に時間が掛かったわ、とミサは言いーー


「所でカリナタちゃん、私の可愛い弟君になにしてるかなー?何で抱き付かれて居るかなー?」


 私まだ可愛い可愛い弟君と再会の抱擁してないんですけどー?と、ニマニマ顔は笑っているが、目が、目が笑っていない。
【射 殺 す】と物語っているっ!


「ひやぁっ!こ、これは、あのっ!」


 慌てて離れようとするが、寝惚けて居るハクの力が予想外強く、中々抜け出す事が出来ない。あわわわっと慌てていると、


「そうね~うちの可愛いかわいー弟君をぉ~お嫁に欲しいって言うなら~」


 ん?あれ?ご主人お嫁ですか?男の子ですよ?と、キョトンとしながらケンネルに聞いてるモチは勇者である。それは兎も角、カリナタはミサと言う名の蛇に睨まれた蛙状態。
 恐慌状態と言って言い。
 そんな状態のカリナタに、ギラリとミサの眼光が光る!


「適齢期前なら【こ ろ す】よぉ♪」


 ニッコリ。
 ミサの笑みで部屋の温度が一気に10度以上下がったのだった…
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