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焔ノ章
番外編 キュッキュッキュッ
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久し振り過ぎてすいませんが番外編です。
* * *
ピーキュー
キュッキュッキュッ
ピーキュー
キュッキュッキュッ
「………」
『ハク』
「………」
『そう白い目で見んでくれんかの』
キュッキュッと音を鳴らす輩。今やこの街の名物(?)になりつつあるテイマー(?)のハクの相棒、 白兎(ノーブルラビット) のモチは上機嫌で御子様用の笛が仕込んである靴を履いている。
この靴は今朝、宿に泊まっていた子供が御古だけどあげる!と、モチに寄越してくれた御子様用の靴だ。
桃色モモンガと言うモンスターの皮を鞣し加工して居る靴で、その名の通りに桃色をしている。
モチは男の子なので最初ちょっとだけ抵抗があったが、掃いてみると使い古しただけあって柔らかく、予想外に馴染む。
勿論普通の兎の足には大きいので履けないのだが、モチは名付けにより大きくなった為と、何よりモチの主人の友人のアレフが微調整をしてくれて掃きやすく為った。
そんなワケで只今白兎のモチは、微調整してくれた御礼にと宿屋の前を元気良くお掃除中である。
ピーピーキュー
ピーキューキュー
キュッキュッキュッ
そして音を立てながら箒を持って掃いているモチはピコピコと白い尻尾を無意識にフリフリ、白い耳もピクピクとし、ハクの盟友である身長四十センチの太古の風の大精霊であるミトラが目をハート型にしながら、
『可愛いのぅ』
『尻尾!尻尾が堪らんのじゃっ』
『ふぁ~耳っ!』
『鼻がひくついてるーーっ』
『ひげ、髭がっ』
『もふもふっ』
『さ、触りたいのじゃ』
見事に変質者に成り下がっていた。
「ミトラ」
『なんじゃ?』
「…口の端から涎出てる」
『!!!』
妾としたことがっ!と言う悲鳴を上げて顔を真っ赤にし、慌てて空中を猛スピードで走り去って行った。
「よ、ハク。今凄いスピードでミトラが去って行ったけど、どうしたんだ?」
クーシーのケンネルが何時になくラフな格好で、手荷物を持ちながら宿屋の受付に居るハクの前にやって来た。
ラフな格好だと言う事はケンネルは今日は休みなのだろう。何時もならこの時間帯は街の門番をし、武器等を確りと装備している。
ちなみにハクは宿屋で只今アルバイト中で、宿屋の受付件ウェイターをしている為に宿屋の入口にある椅子に座って居た。
「こんにちは、ケンネル。ミトラは女として尊厳を著しく失ったらしいよ」
「何だ、何時ものことか」
ミトラ、ケンネルに何時ものことだと思われて居るのか。
それは精霊として、いや、女としてどうなのだろうか……
「ケンネルさん今日は。ご主人、ミトラさんがどうかしました?」
「尊厳がなぁ」
「尊厳ですか?」
キュッキュッキュッと音を立て、モチが尻尾をフリフリしながら上機嫌で受付に居るハクの元へと来る。どうやら掃除が終わったらしい。塵取りと枯葉や小枝が大量に入って居る袋を抱えて居る。
「お、丁度良いものが」
「丁度良い?って何がですか?」
キョトンとした顔で小首を傾げて居るモチは、ケンネルの言葉の先を促す。
「ちょっと良いものが手に入ったんでね、女将ーっ!庭で焚き火していいか?管理は確りやるから」
***
パチパチと火花が散る音を立て、宿屋の風呂を湧かすカマドに落葉や小枝、乾燥させた薪などを入れてその中に水で濡らした紙に包み、煤がつかない様にと蓋付の缶の入れ物にケンネルが持って来た芋を入れてカマドの手前の方に入れて置く。
この缶はケンネルの鍛治師の彼女の作品だ。
最近やっと満足が行く物が出来たとケンネルに渡して来た。
貰った当初使用方法が判らず???とハテナマークを頭の上に飛ばし捲ったが、区切ってある場所に紙で濡らした芋を一つづつ入れ、火の中にいれるのだと実践しつつ説明を受けた。
因みにこの缶の中には火の属性がある魔石が砕けて価値が無くなり、困っていた街の商人に何か出来ないか?と相談を受けて作成してみたらしい。戦闘には使えなくても、料理等の他の物から火力を得れば家事には使えると前々から気付いて居た鍛治師の彼女らしい逸品だ。
その缶によって出来上がった焼き芋はとても甘く、芋本来の甘さが引き立ちケンネルでさえとても美味しいと思えた。
「どうせなら焚き火をしたかったんだけどな」
風呂のカマドの火が消えない様に番をしながらケンネルが吐息を吐く。
「同じ焚き火ならこっちのが良いじゃない。御礼に風呂とご飯食べてって」
と、窓から女将のディーネが顔を出す。
ちなみにディーネの居る場所は風呂では無い。
台所のカマドにある窓から顔を出しただけだ。
「へいへい。ご飯と風呂があるならっと」
「ケンネルの好物の汁物あるから。それと後で鍛治師の彼女にお裾分けの玉子焼きも持ってってね」
「お、それは有り難い」
ディーネの玉子焼きはこの宿屋の名物の1つだ。
ケンネルの彼女も大好きで、大口の注文の後によく購入してきて居る。
ならば張り切ろうとカマドに入れてある缶をひっくり返す。こうする事で芋に満遍なく熱を通す為だ。
「ケンネルさーん薪足りてます?」
モチが薪を積んだ荷車を押しながら幾つか持ってくる。
カマドの横に薪を積んで行く様を見詰め、ケンネルはふと思う。
「ミトラの事どう思ってるんだ?」
「え?僕がミトラさんの事をどう思うかですか?」
「ああ」
モチは薪を抱えたまま、う~んと唸る。
「思った事全部?」
「簡単にで」
ケンネルの言葉にうむーぅと唸るモチ。
一言で言い表せられないのか。
この場合流石ミトラと言うべきか、モチらしいとでも言うべきか。
「小さくて可愛いですよ?後一緒に遊んでくれるのは嬉しいです。でも顔面アタックはちょっと」
顔面アタック、あれは痛いですと告げるモチ。痛みを思い出したのか、モチの顔が少し引きつっている。
「…それだけ?」
パチパチとカマドから響く音を背景に、モチはまた唸る。
「他にあるんですか?」
「いやぁ、何と言うかなぁ」
ポリポリと後頭部を掻きつつケンネルは頭を捻る。
もしかしてモチにはまだそう言うのは早いのだろうか。それとも種族も違うから気にもしてないとかか?
もしくは…
「モチ君はソロソロ生まれてから、え~と」
「半年にはまだなってないです」
ですから一人前にはまだ遠いんですっと何故か威張るモチ。
御子様主張かっ?
するとうぅ~んと唸った後、モチは多分と一言置き、
「ケンネルさんの言いたいことは何となく察してます。でも僕はまだまだ子供です。ですからミトラさんとはお友達だと思っています」
「そうか」
と言う事はと思って居ると、案の定噂の輩である相手、台所からミトラが顔を出す。
『ケンネルーお芋が焼けたら御風呂ドーゾなのじゃ~♪』
風呂上がりなのか、頭に小さなタオルを巻いたミトラがふよふよと蝶の羽根を駆使して飛んで来る。
ちなみにミトラは普段桶で入れるサイズなのだが、宿屋に泊まっている常連客であるティファーネと共に入った様だ。
ホカホカじゃったぞと湯に入った為か頬を赤く染めて居る。
「ご主人はまだ入って無いんですよね?」
『ハクはまだじゃの。今ウェイターで忙しくしとるでの』
妾が出た時に団体客が来たようじゃのと喋るミトラにモチは「御主人の御手伝いしてきますっ」と慌てて駆けていった。
暫しカマドの前で沈黙が訪れる。
『のうケンネル』
沈黙を破ったのはやはりミトラ。
この精霊は基本あまり大人しくして居ない。
どちらかと言うとお喋りな性質をしている為か、じっとしても居ない。
「なんだ」
『モチと何を話してたんじゃ?』
「芋、そろそろ焼けるぞ」
『むぅ、秘密かの?』
「まぁそんな所かな。モチと俺との男同士の秘密だ」
『それを言われると問えぬのじゃ。つまらんの』
ぶちぶちと文句を言いつつカマドから取り出す芋に釘付けのミトラを見て、ケンネルは密かに笑う。
ミトラやモチにとってはまだまだ食欲の秋だな、と。
「ケンネル~芋焼けたら台所にお願いーっ!」
焼けた匂いに釣られたのか、ディーネ迄食欲の秋の様だ。
最もディーネの場合は色恋は旦那でお腹一杯だろうが。
「わかった」
『妾はケンネルが持っててる間にカマドの火の番でもするかの。どれ、妾と共に番でもする子はおるかの?』
風の太古の大精霊の周りに、小さな精霊達が集まって来る。
キャッキャッと集まる小さな精霊達に、焼き芋食うのかな?とケンネルは思いつつ、ホクホクに美味しそうに焼けた匂いを放つ芋を軍手を付けて篭に乗せて運んで行く。
今回焼き芋を入れた缶はまだカマドの中に三缶(中に芋は三本入る)程重ねて入って居る。重ねて入れられて居ても均等に火が通ると言っていた通り、最初に取り出した芋は全て美味しそうに焼けていた。
全部焼けるのにもう少し時間が掛かるなと思いつつ、空を眺める。
青く澄んだ空。
時折過るのは、恐らくミトラが呼んだ精霊達だろうなと思い、一息入れるかと台所に居るディーネに御茶を頼む。
あまり気温の変化が無いファンダムに居ても最近は少し寒くなって来たなと思いつつ、ケンネルは休日をノンビリと迄は行かないが、たまにはこんな風に過ごすのもいいなと思う。
『ふぉぉおっケンネル!薪!薪!入れすぎたっ!』
ミトラのあっついのじゃーっ!と喚く声に苦笑しつつ、薪取り出せよと笑いながら棒でつついて取り出してやる。
ケンネルは取り出した薪に土を掛け、速やかに火を消すと、焦ったのか集まってワタワタしていた精霊達がケンネルの行動に感動でもしたのか、目をキラキラとさせて居る。
ちょっと擽ったい。
『楽しくてついのぅ』
頬を煤で黒くしてる大精霊を見詰め、笑う。
こんな休日も良いもんだな、と。
* * *
ピーキュー
キュッキュッキュッ
ピーキュー
キュッキュッキュッ
「………」
『ハク』
「………」
『そう白い目で見んでくれんかの』
キュッキュッと音を鳴らす輩。今やこの街の名物(?)になりつつあるテイマー(?)のハクの相棒、 白兎(ノーブルラビット) のモチは上機嫌で御子様用の笛が仕込んである靴を履いている。
この靴は今朝、宿に泊まっていた子供が御古だけどあげる!と、モチに寄越してくれた御子様用の靴だ。
桃色モモンガと言うモンスターの皮を鞣し加工して居る靴で、その名の通りに桃色をしている。
モチは男の子なので最初ちょっとだけ抵抗があったが、掃いてみると使い古しただけあって柔らかく、予想外に馴染む。
勿論普通の兎の足には大きいので履けないのだが、モチは名付けにより大きくなった為と、何よりモチの主人の友人のアレフが微調整をしてくれて掃きやすく為った。
そんなワケで只今白兎のモチは、微調整してくれた御礼にと宿屋の前を元気良くお掃除中である。
ピーピーキュー
ピーキューキュー
キュッキュッキュッ
そして音を立てながら箒を持って掃いているモチはピコピコと白い尻尾を無意識にフリフリ、白い耳もピクピクとし、ハクの盟友である身長四十センチの太古の風の大精霊であるミトラが目をハート型にしながら、
『可愛いのぅ』
『尻尾!尻尾が堪らんのじゃっ』
『ふぁ~耳っ!』
『鼻がひくついてるーーっ』
『ひげ、髭がっ』
『もふもふっ』
『さ、触りたいのじゃ』
見事に変質者に成り下がっていた。
「ミトラ」
『なんじゃ?』
「…口の端から涎出てる」
『!!!』
妾としたことがっ!と言う悲鳴を上げて顔を真っ赤にし、慌てて空中を猛スピードで走り去って行った。
「よ、ハク。今凄いスピードでミトラが去って行ったけど、どうしたんだ?」
クーシーのケンネルが何時になくラフな格好で、手荷物を持ちながら宿屋の受付に居るハクの前にやって来た。
ラフな格好だと言う事はケンネルは今日は休みなのだろう。何時もならこの時間帯は街の門番をし、武器等を確りと装備している。
ちなみにハクは宿屋で只今アルバイト中で、宿屋の受付件ウェイターをしている為に宿屋の入口にある椅子に座って居た。
「こんにちは、ケンネル。ミトラは女として尊厳を著しく失ったらしいよ」
「何だ、何時ものことか」
ミトラ、ケンネルに何時ものことだと思われて居るのか。
それは精霊として、いや、女としてどうなのだろうか……
「ケンネルさん今日は。ご主人、ミトラさんがどうかしました?」
「尊厳がなぁ」
「尊厳ですか?」
キュッキュッキュッと音を立て、モチが尻尾をフリフリしながら上機嫌で受付に居るハクの元へと来る。どうやら掃除が終わったらしい。塵取りと枯葉や小枝が大量に入って居る袋を抱えて居る。
「お、丁度良いものが」
「丁度良い?って何がですか?」
キョトンとした顔で小首を傾げて居るモチは、ケンネルの言葉の先を促す。
「ちょっと良いものが手に入ったんでね、女将ーっ!庭で焚き火していいか?管理は確りやるから」
***
パチパチと火花が散る音を立て、宿屋の風呂を湧かすカマドに落葉や小枝、乾燥させた薪などを入れてその中に水で濡らした紙に包み、煤がつかない様にと蓋付の缶の入れ物にケンネルが持って来た芋を入れてカマドの手前の方に入れて置く。
この缶はケンネルの鍛治師の彼女の作品だ。
最近やっと満足が行く物が出来たとケンネルに渡して来た。
貰った当初使用方法が判らず???とハテナマークを頭の上に飛ばし捲ったが、区切ってある場所に紙で濡らした芋を一つづつ入れ、火の中にいれるのだと実践しつつ説明を受けた。
因みにこの缶の中には火の属性がある魔石が砕けて価値が無くなり、困っていた街の商人に何か出来ないか?と相談を受けて作成してみたらしい。戦闘には使えなくても、料理等の他の物から火力を得れば家事には使えると前々から気付いて居た鍛治師の彼女らしい逸品だ。
その缶によって出来上がった焼き芋はとても甘く、芋本来の甘さが引き立ちケンネルでさえとても美味しいと思えた。
「どうせなら焚き火をしたかったんだけどな」
風呂のカマドの火が消えない様に番をしながらケンネルが吐息を吐く。
「同じ焚き火ならこっちのが良いじゃない。御礼に風呂とご飯食べてって」
と、窓から女将のディーネが顔を出す。
ちなみにディーネの居る場所は風呂では無い。
台所のカマドにある窓から顔を出しただけだ。
「へいへい。ご飯と風呂があるならっと」
「ケンネルの好物の汁物あるから。それと後で鍛治師の彼女にお裾分けの玉子焼きも持ってってね」
「お、それは有り難い」
ディーネの玉子焼きはこの宿屋の名物の1つだ。
ケンネルの彼女も大好きで、大口の注文の後によく購入してきて居る。
ならば張り切ろうとカマドに入れてある缶をひっくり返す。こうする事で芋に満遍なく熱を通す為だ。
「ケンネルさーん薪足りてます?」
モチが薪を積んだ荷車を押しながら幾つか持ってくる。
カマドの横に薪を積んで行く様を見詰め、ケンネルはふと思う。
「ミトラの事どう思ってるんだ?」
「え?僕がミトラさんの事をどう思うかですか?」
「ああ」
モチは薪を抱えたまま、う~んと唸る。
「思った事全部?」
「簡単にで」
ケンネルの言葉にうむーぅと唸るモチ。
一言で言い表せられないのか。
この場合流石ミトラと言うべきか、モチらしいとでも言うべきか。
「小さくて可愛いですよ?後一緒に遊んでくれるのは嬉しいです。でも顔面アタックはちょっと」
顔面アタック、あれは痛いですと告げるモチ。痛みを思い出したのか、モチの顔が少し引きつっている。
「…それだけ?」
パチパチとカマドから響く音を背景に、モチはまた唸る。
「他にあるんですか?」
「いやぁ、何と言うかなぁ」
ポリポリと後頭部を掻きつつケンネルは頭を捻る。
もしかしてモチにはまだそう言うのは早いのだろうか。それとも種族も違うから気にもしてないとかか?
もしくは…
「モチ君はソロソロ生まれてから、え~と」
「半年にはまだなってないです」
ですから一人前にはまだ遠いんですっと何故か威張るモチ。
御子様主張かっ?
するとうぅ~んと唸った後、モチは多分と一言置き、
「ケンネルさんの言いたいことは何となく察してます。でも僕はまだまだ子供です。ですからミトラさんとはお友達だと思っています」
「そうか」
と言う事はと思って居ると、案の定噂の輩である相手、台所からミトラが顔を出す。
『ケンネルーお芋が焼けたら御風呂ドーゾなのじゃ~♪』
風呂上がりなのか、頭に小さなタオルを巻いたミトラがふよふよと蝶の羽根を駆使して飛んで来る。
ちなみにミトラは普段桶で入れるサイズなのだが、宿屋に泊まっている常連客であるティファーネと共に入った様だ。
ホカホカじゃったぞと湯に入った為か頬を赤く染めて居る。
「ご主人はまだ入って無いんですよね?」
『ハクはまだじゃの。今ウェイターで忙しくしとるでの』
妾が出た時に団体客が来たようじゃのと喋るミトラにモチは「御主人の御手伝いしてきますっ」と慌てて駆けていった。
暫しカマドの前で沈黙が訪れる。
『のうケンネル』
沈黙を破ったのはやはりミトラ。
この精霊は基本あまり大人しくして居ない。
どちらかと言うとお喋りな性質をしている為か、じっとしても居ない。
「なんだ」
『モチと何を話してたんじゃ?』
「芋、そろそろ焼けるぞ」
『むぅ、秘密かの?』
「まぁそんな所かな。モチと俺との男同士の秘密だ」
『それを言われると問えぬのじゃ。つまらんの』
ぶちぶちと文句を言いつつカマドから取り出す芋に釘付けのミトラを見て、ケンネルは密かに笑う。
ミトラやモチにとってはまだまだ食欲の秋だな、と。
「ケンネル~芋焼けたら台所にお願いーっ!」
焼けた匂いに釣られたのか、ディーネ迄食欲の秋の様だ。
最もディーネの場合は色恋は旦那でお腹一杯だろうが。
「わかった」
『妾はケンネルが持っててる間にカマドの火の番でもするかの。どれ、妾と共に番でもする子はおるかの?』
風の太古の大精霊の周りに、小さな精霊達が集まって来る。
キャッキャッと集まる小さな精霊達に、焼き芋食うのかな?とケンネルは思いつつ、ホクホクに美味しそうに焼けた匂いを放つ芋を軍手を付けて篭に乗せて運んで行く。
今回焼き芋を入れた缶はまだカマドの中に三缶(中に芋は三本入る)程重ねて入って居る。重ねて入れられて居ても均等に火が通ると言っていた通り、最初に取り出した芋は全て美味しそうに焼けていた。
全部焼けるのにもう少し時間が掛かるなと思いつつ、空を眺める。
青く澄んだ空。
時折過るのは、恐らくミトラが呼んだ精霊達だろうなと思い、一息入れるかと台所に居るディーネに御茶を頼む。
あまり気温の変化が無いファンダムに居ても最近は少し寒くなって来たなと思いつつ、ケンネルは休日をノンビリと迄は行かないが、たまにはこんな風に過ごすのもいいなと思う。
『ふぉぉおっケンネル!薪!薪!入れすぎたっ!』
ミトラのあっついのじゃーっ!と喚く声に苦笑しつつ、薪取り出せよと笑いながら棒でつついて取り出してやる。
ケンネルは取り出した薪に土を掛け、速やかに火を消すと、焦ったのか集まってワタワタしていた精霊達がケンネルの行動に感動でもしたのか、目をキラキラとさせて居る。
ちょっと擽ったい。
『楽しくてついのぅ』
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こんな休日も良いもんだな、と。
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