商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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 ニッコリと微笑まれて、ついつい頷いてしまった。
 そうして…何故こうなったし???

「小林さんの手って小さくて柔らかくて可愛いですね」

「はぁ…どうも?」

 いや俺は女子供では無いのだが。
 何故か現在、俺の片手を繋いで歩いている嵯峨さん。ちなみに嵯峨さんの反対側の手は俺の店の調味料やら野菜やらが入った買い物袋が握られている。俺の肩に掛かっているショルダーバッグに購入した物があるが、嵯峨さんよりも荷物が少なめで軽い。

 そんなことよりも、何故手を繋いでいるかである。
 何処かの漫画やらドラマやらの展開みたいなバイオレンスな事柄があった訳では無いし、青春恋愛系ドラマみたいなドキドキやらワクワクした展開などが起こった訳ではない。更に言うと人混みが多くて離れそうだったとか、迷子になったとかでは断じて無い。
 俺だって成人男性だからな?子供扱いされたとかでは無いぞ。

 了解して家の玄関から出たら、何事もなかったかのように嵯峨さんから握って来たのである。しかも自然過ぎて、一瞬理解が出来なかった。

 嵯峨さん、もしかしてこういったこと慣れている?
 エスコートとかスムーズな人?

 確かにこの辺りのビルとか幾つかの不動産を所有しているから俺よりもかなり上流階級的なイメージがあるし、何よりαだから良い地位に居る人だろうとは思っていたけど。
 握られている手を見る。
 強すぎず弱すぎず、極々自然だ。
 高校進学するに辺り、田舎から出て来た俺には初めての待遇なので都会だとこういうこともスムーズで一般的なのだろうか?…なんて。ちょっと思った俺、馬鹿か。
 周囲を見ろ、周囲を。
 此方の方を、目を見開いている子が何人も居るだろうが。
 しかも元俺の母校であるバース性の学校の制服を来ている子だ。顔付きが物凄く愛らしいからΩかな?身長も俺と同じで小さめ。

 決して俺が小さいという訳では無いからな?
 男性としては小さいけど、最低でも160超えているからな?
 167だからな?見えないとかは言わせない。

 俺の歩調にあわせてゆっくりと歩いている嵯峨さんの横顔を下から眺めると、バッチリと目が合う。うん、流石α麗しい顔付きです。下から見ると喉仏が見えて…あ、俺の今の状態って上目遣いで見ているという感じか?急に嵯峨さんがその場で蹲ってしまったのだけど!?

「え、どうした嵯峨さん!具合悪い?」

「いえ、その」

 心做しか声まで覇気がないような!
 慌てて空いている片手でスマホを取り出して救急車を呼ぼうとしたら、「大丈夫です」とやんわりと断られてしまった。だけど顔が真っ赤だぞ?

「あ~…その、ね」

「うん?」

「小林さんが上目遣いで可愛くて…っ」

 ブハッ!
 俺が可愛いなんて聞いたことないぞ!?と言う前に、吹き出してしまって咳き込んでしまった。


 痛恨の一撃
 小林眞宮はその場で咽た

 ▶コマンド


 等という某ゲームの文字が脳裏に浮かんだが、嵯峨さんが「小林さん大丈夫ですか?」と、咽たことで心配を掛けてしまった。

 反省はしないがこれ、嵯峨さんのせいですからね?

「俺の上目遣いは可愛くありません」

 ツーンとそっぽを向くと、「可愛い」と言う声。
 嵯峨さん?と、睨もうと声がした方を向いたら、

「店長さんデート!?」

 先日店に来店した元母校の生徒で後輩(と言っても大分年齢が離れているが)の男子高校生が、同じく男子高校生で恐らくαであろう、年下ながらも小綺麗なイケメンの男子生徒と共に手を繋ぎ、驚いたように目を見開いて此方を眺めていた。
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