商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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76 カフェオレの豆はキリマンジャロだけど、コロンビアも良いと思う

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 side.不破 晃洋


「わざわざ持って来て貰って有難うな~木村君」

「いえいえ」

「さて、そんな勤勉な木村君には不破オジサンから感謝のチョコレートボンボンを3粒あげよう」

「3粒…」


 うひゃひゃひゃと我ながら悪い顔をして笑って居るなぁと思う。
「他のお客さんにも渡すから勘弁~」と言いながら、紙袋に包んでやると木村君が苦笑する。俺の記憶が確かならば、この木村君甘いのが苦手だった筈。でもチョコレートボンボンは甘いには甘いが酒が入っているから其処まで気にはならないだろう。多分だけど。

 因みにうちの奥さん、末明ちゃんはこのチョコレートボンボン大好きです。
 メーカーも末明ちゃんの好みを寄越して来るとは、クラウディオ中々ヤリおる、侮れん。もしかしてこのチョコレートボンボンは、うちの末明ちゃんの好感度を上げる為か?その為の貢物?
 仕方ねぇな、末明ちゃんを喜ばせた礼にクラウディオが帰って来たらうちの喫茶店の名物マグロ丼を1つ奢ってやろう。
 我ながらセコい。


「それじゃ、ちーと悪いけどライモンドから報告来ている?」

「その筈ですよ。えーと、申し訳無いのですがちょっと今眠すぎて…頭がくらくらするので休憩してからで良いですか?時間外ですので」

「そっか、悪かったな」

「いえ」


 そう言えばクラウディオの会社、超ブラックでした。そうして俺がその片棒を担いでいる気がしないでもない。
 いや、多分俺のせい。
 すまぬ。


「今度珈琲でも奢るよ」

「それじゃ、悪いですけど今イイですか?コーヒーを1つ持ち帰りで」

「お、んじゃラージサイズで入れちゃる。アイス?ホット?」


「ホットで!やった!」と喜んでいる木村君を横目に、ちょっとばかりサービスで昨日の残りの自家製クッキーを包んでやったら滅茶苦茶喜ばれた。ついでにボソッと「ああ、朝から憧れの美人末明さんと可愛い小林さんに会えて、更に不破さんの珈琲。ヤバイ幸せ」と呟いて居たのを聞きながら、木村君の幸せってと思いながらも末明は俺のですから。
 等と大人気なくも思ってしまったと同時に、小林さんは嵯峨の…かな?うーんまだ関係はっきりしていないのだっけ?いい加減くっつけば良いのに。

 等と思っていたら、どうやら口に出して居たらしい。


「俺もそう思います」


 と、木村君が目の前で大きく頷いていた。
 同意、サンキュー。



 ※




「さて、と」


 喫茶ロインの朝の掃除を一頻り終え、コーヒー豆を挽く道具等の掃除も済ませて置く。そうしてから朝の珈琲を一杯入れる。
 今は隣室に居る末明ちゃんや息子達、それに子供達の面倒を見てくれている店長ちゃん達に向かって、


「カフェオレか珈琲居る?」


 と聞けば、見事に二人共「カフェオレ」とご注文。
 それと同時に元気な泣き声が聞こえて来るあたり、子供達は腹が減って居るのだろう。
「授乳の時間だね~」と呑気に言う末明ちゃんの声がする。

 そう言えばそろそろお手伝いさんやベビーシッター達が来る時間だったな。

 カフェオレと俺の珈琲、本日はキリマンジャロ。
 お二人共カフェオレだったからこのコーヒー豆にしたが、酸味も苦味も中々強い。そう言えば昔、一戸奈津子さんがこの酸味が好きなのよと言っていたな。
 最近会っていないが元気だろうか。
 今度挨拶に向かおうかな…銘花病院の受付、今も勤めているのだろうか。


「豆だけじゃなく、お菓子も持っていこうかな」


 末明の出産も銘花病院で面倒を見て貰ったし、今度の検診の時にでも挨拶に行こう。俺はαだから待合室までしか入れないけど、其処で挨拶すればいいし。

 よし、お中元セットみたいなの持って行こうっと。
 何にしようかな~後で末明に相談もした方が良いな、うんうん。

 その前に昨日の事と晩の事柄の確認をしないと。
 勿論情報屋の仕事もしないと。情報が欲しいとクラウディオからの最速もあるし。

 時間を見れば開店時間はまだまだ先。それではと、珈琲を手にしながら末明ちゃんに一言断り、地下室へと足を向けるのであった。


 ※


 ・今回のツッコミどころ

 一戸奈津子 「ある日突然~」の主役である倉敷優樹の父親、一戸陽平のお母さんで、優樹にとってはお婆ちゃん。Ω専用病院である、銘花病院の受付をしている。

 カフェオレの豆はキリマンジャロ 酸味と苦味が強い豆で、カフェオレに向いている。どうでもいいが、作者はコロンビアも良いと思う。更にどうでもいいが、ニカラグア・マラウイ・バリアラビカもカフェオレに向いているらしいが飲んだことが無い。無念。
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