商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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90 お父さん?

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「何を言っているのかまではわからないけど、はた迷惑な感じかな」


 不破さんが言った瞬間、「え?お父さん??」と頭を傾げている。
 何故お父さん?誰かの父親が来た?


「お父さん?」

「あー…何か妙だな、コレは。仲裁に入るべきか、それとも…変に介入すると不味いな、相手は未成年だし。俺の見た目的にも犯罪者扱いされそうだし、警察呼ぶか」


 中年のおっさんだし、と呟いている不破さん。
 見た目イケているおじさんだから大丈夫!と言いたいが、女子高生相手だと色々言い掛かりをつけて来そう。痴漢とか言われてしまったら言い掛かりとは言え厄介なことになる、「こういった相手は極力避けるべきだけど知り合いが関わっているとなると話は別だよな」と不破さんが呟いていると、


「もう呼んだよ~」


 スマホを片手に不破さんへとヒラヒラと手を振る京夏君。その横で不破さんの番相手である末明さんが「う~ん奇妙な感じだね」と呟いている。


「あれ、落合君は?」


 何時もなら京夏君の側から片時も離れない落合君が居ない。
 トイレにでも行った?と思ったら何時の間にか窓の外に居て、トラブルに巻き込まれていると思わしき嵯峨さんの元へと向かっている。


「店長ちゃんは心配だろうけど、此処に居てね~。【小林茶坊】の側に居るってことはもしかしたらアチラさん側が何かしら【奇妙な行動】をしているかも知れないから」

「でも」

「大丈夫、落合先輩に任せて。それに嵯峨さんも大人のαだし、落合先輩が出る幕無いかも知れないじゃん」


 警察も来るしね~と京夏君に言われ、窓の外へ視線を向けた。



 ※


 side.落合行弘


「お母さんを罠に嵌めた店なんて壊すべきなのよ!」


 嵯峨さんの向かいに居る女子高生からとんでもない台詞が聞こえて来る。喚き立てている声の主が手に持っているのは壊すと言いながら、何かしらの雑誌と水分が入っているペットボトル。

 おまけに先程から女子高生の方から妙な異臭がする。

 もしかしてそのペットボトル、中身はガソリンや灯油か?
 おいおい、こんな所で引火してしまったら自分自身も焼かれるぞ。そんなことも知らないのか?


「私が施設に入らなくちゃいけないなんて酷い!」

「学校卒業したら施設を出なくちゃいけないだなんて酷い!」

「施設で大人しくして無かったら出て行けだなんて酷い!」


 要約すると、この女子高生は現在の自分の状況に苛立ち、その苛立ちを何故か小林さんが経営している【小林茶坊】へとぶつけようとしていて、それを嵯峨さんが止めているようだ。
 詳しいことはわからないが、喫茶ロインで常連客らしき人々が話していたことや小林茶坊の店長である小林さんが自身の店を臨時休業していた件。
 喫茶ロインでお礼と言いながら手伝っていたことで大体の事柄は予想がつく。

 それよりも今は女子高生が手にしているペットボトルが問題だ。
 静電気が発生した場合、引火して火災へとなってしまったら危険だ。

 マッチやライター等を所持しているだろうし、あの女子高生の身は悪いが自業自得だとしても側に居る嵯峨さんが危険だし、小林さんの店だって火事になどさせたくはない。おまけにやっと嵯峨さんとくっついた小林さんを悲しませたくはない。

 先程京夏が警察に連絡をしたが、この場所に来るまで時間は掛かるだろう。

 それまでなるべく興奮している彼女を落ち着かせないとならない。
 いや、しないとならないだろう。




 ※※※


 注意

 ・ペットボトルに灯油やガソリン等を入れるのは危険です。

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