商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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96 寧ろご褒美です!

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「デートの申込みですか?」


 なんて、嵯峨さんに冗談で言ってみたら急に真顔。
 真剣な顔付きで、


「はい」

「え」


 返事だけでなく速攻で頷かれた!
 相変わらずイケメン…これが世間で言うところのイケメンαか。学園に通っている時にも何十人もイケメンなαが居るなって思ったけれど、その中でも一番格好良く感じられるのは、その。この人が俺の…あわわわわ。
 ヤバい、赤面しそうになる~!
 平常心、へいじょうしーん!無心は無理だろうけど、落ち着け!餅付け!いや、今餅をついたらヤバい人だよ。それ以前に餅なんて、田舎の幼稚園の時についたことあるぐらいだけど。


「他にも色々相談事とかもありますし」


 だよね、だよね。
 調味料も食器も調理器具も何もかも無いって言うし、デートだけじゃないよね。

 何せ、俺。いや、その。俺達?
 付き合い始めて二人きりのデートもまだ。

 此処暫く一気に色んなことがあってすっかり忘れていたけど、先日落合君と京夏君と一緒に嵯峨さんとダブルデートをしたばかり。

 そんな状態なのに、今日俺は嵯峨さんの家にお泊りする…事になった(照)。

 俺が経営している店が諸々あり、一人で寝泊まりするのは危険だからとご近所の喫茶ロインを経営している不破さんとその奥方の末明さんの所で寝泊まりさせて貰って居たのだけど、前々から泊まりがけで家族旅行込みの仕入れに出掛ける予定だったらしく、これ以上ご厄介になるわけにはいかない。(まさか家族旅行に一緒に行くわけにはいかないし)


「それに何より、俺が小林さんと一緒に居たいので。駄目、ですか?」


 ふわ~~~~~~~~ぁぁあああああ!!!

 心の中で大絶叫!!を叫びながらのたうち回りー…勿論心の中で思っているだけだが、全力で駄目ではないと首を振る。


「駄目じゃないです、寧ろご褒美です!」

「ご褒美ですか?」

「はい!何せ俺、今までそんなお誘いなんてされたこと無かったんで!」


 ただの一度も無かったのですよ!
 コレでも一応Ωなのに!!

 そりゃあね?田舎の実家に居た頃はバース性が判明するまでは大人になるまでには恋人が出来るかな~?とか、女の子と結婚とか出来るかな?とか思っていたよ。何せ俺の両親は両方ともβだったから、俺もβだと思っていたからね。
 ところがどっこい、蓋を開けてみたら俺のバースは俺の田舎では滅多に居ない超貴重なΩ。
 しかもΩと判明した中学時代に村に居た唯一のαが『運命の番』だと気が付いた途端、実らない恋だと気が付いて失恋。
 もう笑うしか無いよねって高校進学と同時にΩだからと田舎を捨て、東京へ出て来て数年。すっかり成人になった筈なのにこの年まで一人もお付き合いしたことは無かった。

 考えてみたら勉強に仕事、周囲の環境変化に必死になりすぎて余裕が無かったなって今なら思う。あと、『運命の番』相手であるヒムカさんの件が心に棘のように刺さっていて一向に解消されなかったから。
 時間が解決するなんて言うのを願って居たけど、忙しすぎて最近まで忘れていたけども。

 俺、学生時代人としてΩとしての魅力とか色々な何かが足りなかったのだろうなぁ。
 失恋したことを引きずっていたから、後ろ向き思考が周囲に察せられてウザかったのかな。学生時代俺のクラスなんてΩは数名しか居なかったし。うーむ…今となってはわからん。
 考えても今更だよな。


「それなら小林さん、荷物を部屋に置いてから買い出しに行きましょう」


 はい、喜んで~!



 ※

 裏事情として、小林は学園在学中「可愛いΩ」と周囲のαから遠巻きに見られていたのだけど、中学時代の失恋を引きずって居たお陰で憂い顔をしている事が多々あり、周囲のα達が空気を読んで接触しないようにしていた様です。
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