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122 実家は積雪二メートル
しおりを挟むside.嵯峨憲真
「おう、来たな」
眞宮の実家の手間、周囲が雪の壁状態になっていて視界が真っ白でよく見えないが、唯一開いた空間(家の門か?)から顔を出した若い男がニヤリと笑い、此方に声を掛けて手を上げている。
真っ白い日焼けのしていない、ひょろっとした男。
…失礼ながら、東北の妖怪か幽霊の類かと一瞬思ってしまった。日中から出るのかは知らないが、住んでいた東京とは違い、二メートルも雪が降っている常日頃とは違う場所に居て、あまりの寒さに脳内の何かがぶっ壊れたのかも知れない。
尚、妖怪の名前は知らない。
幽霊の正体見たり枯れ尾花と言う言葉があるが、周囲の真っ白な世界に畏怖でも覚えているのだろうか。
閑話休題。
眞宮の知り合いか?と思っていたら急に視界から眞宮が消えた。
え?と驚いていたら、何かを潰したような声が先程若い男が突っ立っていた場所から聞こえた。
声は先程あった視線から下、地面と言うか雪道には先程の男と眞宮が倒れこんでいる。
いつの間に。
と言うか一体何をしている、眞宮?
「ぐへぇ」
「ふはははは、甘い!」
「だからって行き成りラリアットは無いだろう!」
「いーやーついな、つい。学生時代を思い出して懐かしくって」
「お前なぁ」
「わりー、わりー」
「はぁ、まぁ良いけど。つーか首のプロテクター等々取れたんだな、おめでとう」
「おう、ありがとな」
首のプロテクターとは眞宮達Ωがαに項を噛まれないよう付けている首輪の事だ。
眞宮自身も以前は皮の確りした物を装着していた。ただ時折「和装に合わん」と言って、畳の縁を表面に加工した品をプロテクターに装着し、「やっぱ合わん」と言いつつ店で何度か付けていたのを見たことがある。今は俺が同意の上で噛んで番になったため、以前の様にプロテクターは必要なくなり身に付けなくなった。
そう言えば今年の夏頃、「プロテクター付けていると蒸れるんだよな、今年の夏は特に暑いから付けなくてすんで良かった」と言って嬉しそうに頬を薄っすらと染めて項を撫でていた。
…うん、眞宮が可愛い。
滅茶苦茶可愛い。
俺の番が可愛い過ぎる!
思い返して可愛らしい様子?いや、ラリアットを仕掛ける行為は危険なのだが普段とは違った様子を見て、少年みたいで可愛いなぁと見詰めていると、
「おい、お前の旦那、小林の凶暴な部分を見て逃避してねぇ?」
「失礼な、お茶目をしただけだ。可愛いだろう」
「いやいやあれは引いているだろ!」
「違うな、あれは俺が可愛いって眺めている状態だ」
「おま、自分で可愛いと言うな」
「ふはははは、愛されているからな!」
「うわぁ、幸せ自覚かよ~!」
「まぁな!」
「ほうほう、良かったな」
「ん」
ん?おや、眞宮が此方をチラリとみてから目線を外した。
照れている、可愛い。
無茶苦茶可愛い。
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