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生れ落ちたたった一人のエルフ
ダンジョンの魔王は貧弱エルフさん
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第一印象は真っ白な世界、だった。
それがやがて真っ白な空間だと認識するのに左程時間は掛からなかった。
王座…?
周囲が真っ白な最中、やがてそこだけ色が付いて行く。
白から徐々に椅子の足や端だけに見た事も無い文字が浮かび上がり、その部分のみ黄金色に染まって行く。
成金趣味みたい。
なんて呑気に他人事の様に思って居たら、やがて浮き出た文字の部分らしいモノのみ黄金色が落ち着いた色合いになり、鉛色の鈍い色彩を放つようになる。
もしかして成金趣味みたいって思ったから色が変わったのかな?
等と思って座って居る椅子の色が変わった文字部分を軽く撫でる。
途端目の前にこの場所に来る前までの記憶。
コンビニから買い物袋を手に持って、駐車場に置いてある自分の車に乗り込もうとした時に、スマホを片手に持った酔っ払いが運転する車が猛スピードで突っ込んで来て。
多分あれは即死だったんじゃないだろうか。
「うわ、転生系の小説みたいじゃないのー!」
そんな事を思いつつ周囲を見渡す。
室内は広大で荘厳、神聖な雰囲気があるが何故か室内の人工物は王座らしき椅子一つのみ。他は何も無い。色彩も白一色のみ。
そして何故か床から二メートル程の四方八方には窓の役目を果たしているのか、教会にあるステンドグラス。幾何学的なモノや何やら世界の創造から生命の誕生の様な模様まで描かれており、この場所が酷く神聖な雰囲気を醸し出している。
「ステンドグラスがあるって事は病院では無いだろうし、でも教会にしては椅子は私が座って居る王座っぽいものしかないし」
しかも今下を見たら私が羽織って居た黒いお気に入りのカーディガンでは無く、かと言って聖職者が纏う衣装の様なものでは無く。何方かと言うと白いワンピースに半透明の同じく白いローブの様なものが肌掛けの様に纏って居る。
そして靴らしきものは前世の記憶から引っ張り出して来るとサンダルの様で、かと言ってミュールの様でもある。
「後は何も無いよね」
着て居るのもや身に付けて居るモノは他には何も無い。
だが、時折気に為る色彩が先程からチラホラと。
「髪の毛染めたっけ?」
そんな記憶は無いが、昔何処かの映画であった「記憶喪失」と言う設定で…
「それは無いよね」
鏡があればいいんだけど、と呟いて再度周囲を見渡すが大量にあるステンドグラスと王座の椅子の様なもの以外は何も無い。
仕方ないなぁ、何処かにギミックの様なものでもあるのかも知れない。
そう思い王座から離れ、一歩程歩を進めるとザァ…と言う音と共に足元に幅一メートル程に広がる赤いカーテン。それらが遥か彼方の壁に向かって一直線に出現する。
「うわ、レッドカーペット!」
何だか某お笑い番組みたいな名前だなとか、海外の映画の宣伝の時に歩く場所みたいだなとか、諸々を思い出して敷き詰められて行くカーテンの向こうを見ると、唐突に壁に出現したドア。
最初玄関のドアみたいな小さなモノであったのだが、「何だか場の雰囲気に合わないな」と思った途端、徐々に大きくなり木目調の荘厳な初めて見る人を威嚇する様な装飾…天使と悪魔の様なものがドアの周囲を装飾として覆っている。
ドアの天上付近には夜空と青空の装飾、そのすぐ下には天使と悪魔の装飾。そしてドアの中央部分には何やら怪物の様な絵柄、一番下には蹂躙されている人々らしきモノに守る様に対抗する人達、そしてそれら装飾を華々しく覆う蓮の茎やツボミに蔦の様な装飾が出現した。
「何だか無駄に雰囲気ある地獄門みたいな」
そんな呟きに満足したのか、一瞬光輝いたと思ったらその門にあるツボミが開花し――
目の前が真っ白に染まった。
真っ白に染まった視界に頭がクラクラし、ふと考えるのを放棄した途端、
名前:登録して下さい。(前世:小見千夏おうみちか)
種族:エルフ
職種:魔王
レベル:1
HP:10
MP:60
筋力:14
耐久:100
機敏:25
魔力:100000
器用:1000
幸運:666
ユニークスキル:森の乙女
スキル:アイテムボックス
称号:元深窓の乙女・偽りのエルフ
運営ポイント:70
そして、何故か頭に響く言葉の様な声と言うか、サイレンの様な音。
『警告。筋力が14。職種「魔王」の最低値以下です』
これが何度もサイレンと共に頭の中に繰り返されてかなり辛い。
「頭痛いやめてー」と抗議をしたら何故か鳴き止んだけど。
そしてと言うか何と言うか、ゲーム画面の様なものが目の前に現れて何度も瞬きをしたり目を擦ったりしてみた。
「消えない、よね。これ現実?」
そして頭の中に流れる様に入れられて来る知識――
今居るこの世界が元の世界とは違う、別の世界つまり異世界という事。
ゲームや小説に漫画のような世界の様に当然の様に魔法が存在して居る事。そして人間も当然の様に居るが、この突然現れたゲームのボードに記載されている様に、私の様なエルフも当然いて。しかもそのエルフは人里に居たり、森の中に居たりと生活をしている事。(ただ異世界にもよるし、国によってはエルフはそうそう居るモノじゃないって言うのも入って来たけど、それはエルフの性質の様なモノなのかも知れない)
更に俊敏な種族の獣人族や鍛冶仕事や酒造が得意なドワーフ族、ドワーフよりも小柄な身体で陽気な素直な種族の妖精族に腕力が強く大柄な屈強の肢体を持つオーク一族、他種族よりも膨大な魔力を身に有して居る魔族等がこの大地に住んで居る。
そして日々この世界に降り立って居る者達は魔物と言うモノの脅威に脅かされており、その代表格の一端として『魔王』が君臨しており――…
「は?」
どうやら私はこの世界の脅威たるモノの一端となって転生してしまったらしい。
それがやがて真っ白な空間だと認識するのに左程時間は掛からなかった。
王座…?
周囲が真っ白な最中、やがてそこだけ色が付いて行く。
白から徐々に椅子の足や端だけに見た事も無い文字が浮かび上がり、その部分のみ黄金色に染まって行く。
成金趣味みたい。
なんて呑気に他人事の様に思って居たら、やがて浮き出た文字の部分らしいモノのみ黄金色が落ち着いた色合いになり、鉛色の鈍い色彩を放つようになる。
もしかして成金趣味みたいって思ったから色が変わったのかな?
等と思って座って居る椅子の色が変わった文字部分を軽く撫でる。
途端目の前にこの場所に来る前までの記憶。
コンビニから買い物袋を手に持って、駐車場に置いてある自分の車に乗り込もうとした時に、スマホを片手に持った酔っ払いが運転する車が猛スピードで突っ込んで来て。
多分あれは即死だったんじゃないだろうか。
「うわ、転生系の小説みたいじゃないのー!」
そんな事を思いつつ周囲を見渡す。
室内は広大で荘厳、神聖な雰囲気があるが何故か室内の人工物は王座らしき椅子一つのみ。他は何も無い。色彩も白一色のみ。
そして何故か床から二メートル程の四方八方には窓の役目を果たしているのか、教会にあるステンドグラス。幾何学的なモノや何やら世界の創造から生命の誕生の様な模様まで描かれており、この場所が酷く神聖な雰囲気を醸し出している。
「ステンドグラスがあるって事は病院では無いだろうし、でも教会にしては椅子は私が座って居る王座っぽいものしかないし」
しかも今下を見たら私が羽織って居た黒いお気に入りのカーディガンでは無く、かと言って聖職者が纏う衣装の様なものでは無く。何方かと言うと白いワンピースに半透明の同じく白いローブの様なものが肌掛けの様に纏って居る。
そして靴らしきものは前世の記憶から引っ張り出して来るとサンダルの様で、かと言ってミュールの様でもある。
「後は何も無いよね」
着て居るのもや身に付けて居るモノは他には何も無い。
だが、時折気に為る色彩が先程からチラホラと。
「髪の毛染めたっけ?」
そんな記憶は無いが、昔何処かの映画であった「記憶喪失」と言う設定で…
「それは無いよね」
鏡があればいいんだけど、と呟いて再度周囲を見渡すが大量にあるステンドグラスと王座の椅子の様なもの以外は何も無い。
仕方ないなぁ、何処かにギミックの様なものでもあるのかも知れない。
そう思い王座から離れ、一歩程歩を進めるとザァ…と言う音と共に足元に幅一メートル程に広がる赤いカーテン。それらが遥か彼方の壁に向かって一直線に出現する。
「うわ、レッドカーペット!」
何だか某お笑い番組みたいな名前だなとか、海外の映画の宣伝の時に歩く場所みたいだなとか、諸々を思い出して敷き詰められて行くカーテンの向こうを見ると、唐突に壁に出現したドア。
最初玄関のドアみたいな小さなモノであったのだが、「何だか場の雰囲気に合わないな」と思った途端、徐々に大きくなり木目調の荘厳な初めて見る人を威嚇する様な装飾…天使と悪魔の様なものがドアの周囲を装飾として覆っている。
ドアの天上付近には夜空と青空の装飾、そのすぐ下には天使と悪魔の装飾。そしてドアの中央部分には何やら怪物の様な絵柄、一番下には蹂躙されている人々らしきモノに守る様に対抗する人達、そしてそれら装飾を華々しく覆う蓮の茎やツボミに蔦の様な装飾が出現した。
「何だか無駄に雰囲気ある地獄門みたいな」
そんな呟きに満足したのか、一瞬光輝いたと思ったらその門にあるツボミが開花し――
目の前が真っ白に染まった。
真っ白に染まった視界に頭がクラクラし、ふと考えるのを放棄した途端、
名前:登録して下さい。(前世:小見千夏おうみちか)
種族:エルフ
職種:魔王
レベル:1
HP:10
MP:60
筋力:14
耐久:100
機敏:25
魔力:100000
器用:1000
幸運:666
ユニークスキル:森の乙女
スキル:アイテムボックス
称号:元深窓の乙女・偽りのエルフ
運営ポイント:70
そして、何故か頭に響く言葉の様な声と言うか、サイレンの様な音。
『警告。筋力が14。職種「魔王」の最低値以下です』
これが何度もサイレンと共に頭の中に繰り返されてかなり辛い。
「頭痛いやめてー」と抗議をしたら何故か鳴き止んだけど。
そしてと言うか何と言うか、ゲーム画面の様なものが目の前に現れて何度も瞬きをしたり目を擦ったりしてみた。
「消えない、よね。これ現実?」
そして頭の中に流れる様に入れられて来る知識――
今居るこの世界が元の世界とは違う、別の世界つまり異世界という事。
ゲームや小説に漫画のような世界の様に当然の様に魔法が存在して居る事。そして人間も当然の様に居るが、この突然現れたゲームのボードに記載されている様に、私の様なエルフも当然いて。しかもそのエルフは人里に居たり、森の中に居たりと生活をしている事。(ただ異世界にもよるし、国によってはエルフはそうそう居るモノじゃないって言うのも入って来たけど、それはエルフの性質の様なモノなのかも知れない)
更に俊敏な種族の獣人族や鍛冶仕事や酒造が得意なドワーフ族、ドワーフよりも小柄な身体で陽気な素直な種族の妖精族に腕力が強く大柄な屈強の肢体を持つオーク一族、他種族よりも膨大な魔力を身に有して居る魔族等がこの大地に住んで居る。
そして日々この世界に降り立って居る者達は魔物と言うモノの脅威に脅かされており、その代表格の一端として『魔王』が君臨しており――…
「は?」
どうやら私はこの世界の脅威たるモノの一端となって転生してしまったらしい。
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