ダンジョンの魔王の種族はエルフー配下と共にまったりのんびり過ごしますー

柚ノ木 碧/柚木 彗

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魔王が何故か、主神?の乗り物を召喚した件

あ、はい。

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 エルフ

 ・今から5千年前に滅んだ種族。自然と豊かさを司る小神族であった。エルフはとても美しく細身で若々しい外見を持ち、森など自然が豊富な場所に住む。長命で知識や魔法の力が豊富。異空間の天空から抜け出た一族に滅ぼされる。


「…」

 何これ。
 私の種族であるエルフは五千年前に既に滅ぼされているって事?

 召喚の一覧に書かれていたエルフの文字を『鑑定』を使って見てみたら出て来た言葉。私の鑑定がLv2だから詳細には出て来ないだろうなって思ったんだけど、結構細かく書かれて居て驚いた。更にこの他の文字にはハーフエルフの文字もある。けど、これは文字だけ。召喚リストにも記載されて居ないって事は、恐らくこのハーフエルフも滅ぼされているって言う事なんだろう。
 因みにこの事はこの場に居る人には簡単に伝えた。「私の種族である『エルフ』が召喚出来るように為った事、そして既に「とある一族によって、五千年前に滅ぼされて居る」という事。

「ねぇアデル」

「なんだ?」

「アデルって三千と1歳なんだよね?何か知ってる?」

 するとううーんと唸り、

「今の所は残念ながら何も」

 ついでに、1歳ぐらいサバ読んでも良いじゃないかって小さな声で聞こえた気がするけど、それはスルーで。うん、私の足元にアデルの配下がちょこんと来ていて、『スルーですよ。突っつくと拗ねますから』って布地に記載されて居たからってのもある。まぁスルーしても軽く拗ねてるみたいだが、それもスルーだ、スルー。
 スルー力が最近特に付いて来てる気がする。

「うんにゃ~…あ!もしかしたら町の図書館で何か書いているかもそれにゃーよ」

「図書館?」

 って言うと本が沢山あるっていう。うわー…私此方の文字分かるのかな?アデルの配下の蜘蛛達が書いている文字は読めるけど、大丈夫かなぁ?
 するとアデルがんーと唸り、

「図書館か。とすると有料だな」

「そうにゃ、町の図書館は拝観料金が発生するにゃ。って、お金無かったんにゃぁよね?」

 ちなみに先程商品を見せて貰った時に私はお金が無かったので、先日からダンジョンに突っ込んできた魔物とかの部位を商品と物々交換して貰った為、お金は一つも無い。

「交換出来るものは粗方しちゃったし、お金…」

 いやほんと、どうしよう。
 そう言えば街に入るのにも入場料みたいなモノが発生するのだろうか?だとしたら益々お金…。

「ん~そうにゃーね、町に入るのは契約魔法を使うだけで私の連れだって言えばタダだけど、図書館は流石に…うーん、ダンテどうしよう?」

「お、俺が貸「却下」」

 アデルが即貸すって言いそうになったけど、私が割って入って却下する。
 途端にションボリするアデル。でもねぇ、これ以上貸しを作るのは性に合わないし、何でもかんでも借りたくはない。

「レーベルはまだ此方で産まれて間もないんだから、俺に少しぐらい…」

「いーやです」

 今度はションボリしたままヴァルヘルムと遊んでるルクレツィアの側に行って、慰めてもらって居るって一体何千歳なのよ全く。

「ぱぱ、ママ、に、アピール、ん~、と、とらいちっぱい、ね?」

 と言ってナデナデするルクレツィア。
 その背後に居て何となく同情しているアルフォンソ。
 そして…口をハムハムと動かしているヴァルヘルム。
 多分ヴァルヘルムは無関心なんだろう。もしくは…頭部見てない?じ~…とアデルの頭部を見て、次にセンギョクの頭部を見て、

「ぷく」

 え?
 ぷく?

「ちょっ!今ヴァルヘルム俺の頭部を見て笑った!」

 熱り立つセンギョクを一目見て、また「ぷく」と鳴いてからツーンとそっぽを向き、

『ブルルルルルッ』

 とセンギョクを馬鹿にした様にしてる?

「ちくしょー!てめヴァルヘルム勝負しやが、ぎゃあああああっ」

 パッカーンとヴァルヘルムの八本の足に蹴られて見事に弧を描き宙を舞うセンギョク。

「にゃんちゅ~か、レーベルちゃんの配下は小芝居が得意?」

 そこでウンウンと頷くアデルの配下達とダンテ。
 其処でアデルの配下からスッと何かを包んだ布を幾つか渡され、一斉に配下の蜘蛛達が、

『おひねり』
『餞別』
『これで町でお菓子を買って来て下さい。残りはお使いのお駄賃として取っておいて下さい』
『僕鋏お願い。これはそのお駄賃。そろそろ錆びてきた。残りは仕事料ってことで受け取って』
『僕は農具の鎌をお願いします。同じく残りはお駄賃で』
『砥石お願いします。残りは他のと同じで受け取って下さいね』

 と言って、布を開いてみると…

「金貨5枚…って多!」

 日本円で五万ぐらいだ。
 幾ら何でも多すぎじゃない!?

「駄目だよこんな!」

『いえいえ、どうせレーベル様が町に行くって言えばウチのマスターが意地でも付いて行きますし』
『マスターが世話になってる人ですから』
『うちのマスターが毎度すいません』
『不器用でヘタレですけど、あれでいい人なんです、多分、きっと。希望的観測ですが。どうか見捨てないで友人として接してやって下さい』
『マスターちょっと、ちゃんとして下さいよ?レーベル様に見捨てられたら慰めるのは僕達なので、非常に面倒なんですから』

 足元にワラワラと接して来たアデルの配下達の蜘蛛達がワイワイという感じで、布を掲げて此方に見せてからアデルに布を広げている。って、包み隠さず見せてるってどうなの…。何気に凄い事書いてるし。

「配下達のがレーベルに上手くやってる…と言うか、またディスられてる…」

 其処で更にしょげないアデル。
 そしてツンツン突っつかないルクレツィアにアルフォンソ。
 何故かミンまで同情の眼差しで…

「マスター石鹸、残りのお金でお願いしますね」

 あ、はい。
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