12 / 22
【隣家】
しおりを挟む「ふぁぁぁ…」
はい、早朝から大変大きな欠伸をしている残念乙女なレッティーナ、略してレナです。
深夜に非常に残念な乙女な悲鳴を上げてしまい、近隣付近の人々に多大なご迷惑をお掛けしてしまいました。恐らくこの平和な街故に当分の間はネタに困らなくなるでしょう。
そして尾ヒレがついて、最終的にはわけわからんネタに仕上がるでしょう。
実体験じゃ、コンチクショウめ。
つまり、何がと言うと。
今朝起きてからパン屋の女将さんに襲撃され、何がどう噂されたのかは判断出来ないが昨夜の事柄が何故か、『街にリッチが出て雄叫びを上げた』となっていた………。
ナンデソウナッタシ。
どうもゲシュウが黒い布で顔を覆っていたので勘違いされたらしいのだけど、噂する街民の皆様や、よーくよく考えて欲しい。
どう考えてもこの街の騎士さん達が街中に魔物等入れさせるワケが無いでしょ~!
言っとくけどね、他の街の騎士達は知らないけれど、ロドリゲス領の騎士は弱腰で全く役に立たなかった!何かと言うと口にはしないけど、賄賂と言うジェスチャーをしてきたしね。
その癖役に立たないと有名だったし。
更には実家のアレイ領はド田舎過ぎてそもそも騎士が居なかった!
ほら、凄くない!?
って比べる所が二箇所しか知らないから他わからないけどさぁ。
でも!モイスト領のこの街の騎士達は呼べば直ぐに来てくれるヒーローだよ!?
滅茶苦茶良い人達だよ!?
よく街中で道を尋ねる人に親切に教えたりしているのを見掛けるし、物を落としたら即拾ってくれたり、真夜中なんて人知れずにパトロールをしてくれるのは当たり前。おまけにさり気なく夜間運営している店を数人で訪ねて犯罪が起きていないか見回りをしてくれる。
騎士にとってはノルマなのかも知れないし、モイスト領主の指示なのだろうけど。
…私、この世界に来てほぼほぼ始めてだよ!こんな住心地の良い街は!
そりゃあ王都に行けばもっと治安が良いかも知れないけれど、この街ってロドリゲス領みたいに貧民街が無い…いや、あるにはあるけど廃れては居ないのよね。
確かに貧しい人々は居るにはいるけど仕事には然程困って無さそうだし、ロドリゲス領のようにボロボロの服を着て何日もお風呂に入って居ないと言う風貌では無い。おまけに男性ばかりが仕事をしているワケではなく、女性たちも手仕事が多いけれど何らかの仕事をしているのを見掛けている。
もしかして比較的治安も良いし、女性も安心して過すことが出来る領地なのかな~。
噂ではカモーリ港があるサザーランド領の方が女性にとって仕事も家事も育児もしやすいと聞いたことがある。でもそれは此処の領主の妹君であるモニカ様が嫁いでから環境問題やら女性問題やらと、急激に改革が勧められたとか。
という事は、やはりこの領地は女性にとっていい環境。更には女性が元気に過ごせる基礎が出来た街ってことなのかなぁ。
っと、話がソレた。
目の前で私の無事を腕や背中等をパンパン叩いて彼方此方確認をしているパン屋の女将さん。
ちなみに今は朝の5時。何時もよりも早めの起床となったのは、早速噂を持って来た小麦粉の配達をしに来た配達員のせいだ。
何でも噂によると…昨夜、帰宅途中らしいと思わしき女性が不死のアンデットのリッチと遭遇。その際リッチは駆け付けた騎士団達に恐れをなして雄叫びを上げて逃げた、と。
あ、はい。その雄叫びは間違いなく私ですね、トホホ。
と言うか何と言うか、この街今迄リッチなんて化物出たこと無かったのだけど、なにがどうしてそんな風な噂になったし!誰だ!歪曲した話に仕上げた人は!?
元々の形を歪め過ぎて苦笑しか浮かばんわっ。
これはアレか!?私の悲鳴がオゾマシイ声だったってことか~!
「と、まぁそんなワケなのです、女将さん」
「あらら、大丈夫だったレナちゃん」
ゲシュウの話は伏せ、『帰宅途中に男に襲われそうになった』という話にして女将さんに話しておく。
事実だし嘘は言っていない。
ただ変にゲシュウのことを話して女将さんに心配を掛けたく無かった。
「そうそうレナちゃん。その件について騎士さん達がお話を聞きたいって言っていたわよ」
そう言えば昨夜は夜間ということと、まぁ、その。ニキ様との件で取り乱してしまって(だって推しに!よく鼻血が出なかった!偉いぞ~私の鼻!)絶叫。そのため、落ち着かせようと言うことで話は明日聞くと言うことでニキ様達が私の家まで送ってくれたのだ。
…とは言え、騎士団の詰め所の二階が私の借りている住まいである寮なんですけどね。
はい、夢は見ません。
ただのついでですもんねー。
詰め所に帰っただけですものねー。
…そう言えばさ、この寮って今私しか住んでいないのですよ。
しかも独身寮っぽい。
正確には独身者は一人暮らしだから、一人暮らし用の住まいと言うことなのです。
でもさ、何だかさっきから隣らしき場所から物音がする気がするんですがー。
「あの、女将さん」
「あらなぁにレナちゃん」
「空き家の筈のお隣から音がする気がするのですがー。気の所為ですよねー。そうですよねー。幻聴デスヨネー」
「あら~嫌だわぁ私ったら、一番大事なことレナちゃんに言うのを忘れていたわ」
何だか物凄く胸騒ぎがする。
良い意味でも悪い意味でも困ってしまうような、そんな予感っ!
と同時に私達、女将さんと私レナは二階の私の寮のドアを開けたまま会話をしているのですが、当然隣から物音がすると言うことは私達が会話をしていると言うことを察している筈で。
ガチャリと隣の部屋のドアが全開し、予想していた人物が顔を出しー…あ、うん。やっぱりぃ?
其処には早朝だからか、何時も見ているようなキッチリとした衣装ではなく、若干普段着っぽい、だが一般庶民の服装よりも生地が良さそうなシャツと、黒い多少ダボッとしたスラックスを履いたニキ様が顔を出した。
「お早う御座います。て、ああ!レナさん!昨夜はスイマセンでしたーっ!!」
おうふ。
挨拶返す前にほぼ叫ばれたような。ベッタンという音がなる位の速度で頭を垂れ、
「未婚女性になんてことを俺はしてしまったのだ!このようになってしまったからには責任を取ります!どうか、俺とっ!!」
「ひ、ひぇえ」
ガシッと両手を取られてしまい、その場で硬直してしまう。
今、一体何を。
ニキ様何を言おうとして…あ。
スパーンッと言う音がニキ様の後頭部に綺麗に決まり、片方の靴を手に持ったケイン様が「阿呆!落ち着け血走り過ぎだ、馬鹿ニキ!」と、素足になった足でゲシゲシとニキ様に蹴りを入れていた。
…え。
なんて地獄絵図…。
一瞬チラリと見えた足裏に、『フェチにはご褒美ですケイン様』と言う前世の言葉が脳裏に突き刺さったけれど、今は空気を読んでお口チャック。
そして女将さん、「あらやだ~朝から青春きたー」とか言ってニコニコしていますけど、何だか諸々勘違いしていそうで怖い。
案の定、数時間後には噂に尾ヒレがついて、昨夜のゲシュウ事件が何故か『魔物のリッチがとある女性にプロポーズしに来たが、騎士によって撃墜され略奪された』となっていた。
一体どういう噂の尾ヒレー!!
と言うか何故リッチから離れない!この噂ー!?
36
あなたにおすすめの小説
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる