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3章 今日も学園はゴタゴタしていますが、何故か苗字が変わってしまってコッソリ鑑賞出来にくくなる様です。
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その日の夜。
慣れない環境―…メイドさん達が屋敷の管理やら清掃やら、細々とした仕事をしてしまってやる事が無くなってしまって手持ち無沙汰になり、現在生まれながらの貧乏性が発揮して無駄に屋敷内をウロウロしてしまって居る。
困った。
洗濯とかアイロンがけとか食事の用意に後片付けとか、全てやろうとした瞬間に済まされており、やることが無くなったのは正直辛い。
この先この屋敷の令嬢として居ないと為らないとか、どんな拷問だ。
何方かと言うと御嬢様よりは、働くメイドさんの方が私の性格に合って居ると思うんだよね。実家がアレだったから仕方が無いとしても、働かないとダメな気がする。これって貧乏性って奴なのかな?落ち着かないよ~!
そんな訳でメイドさん達に掃除・洗濯・炊事がダメなら何をしたらいいのかと聞いたら、『刺繍です』と宣言された。
…刺繍、嫌いじゃないけどね。
何でも兄ジーニアスの持ち物のハンカチ等に家紋を刺繍しないといけないらしい。貴族の義務なのだとか。誰のか持ち物が分かりにくいんだろうなぁ。
他にやってくれる人も居ないだろうし、後程家紋の図柄を渡してくれると言うので、渡されたらやることにする。
そんな訳で今は先に屋敷の内部を探検だー!広いから今のうちに覚えておきたいんだよね。
「ええ~とココが食堂かな?」
屋敷の中だし一人で歩きたかったのだけど、何時の間にか背後には二名のメイドさん達が付いて来ている。時折一名増えている事もあるので、どうやらメイドさん達の中で私付きとして居るのはこの二名+臨時で一名の合計三名としているらしい。
正直今迄人を使った事が無いので、如何したら良いのか分からず困惑してしまう。
つい先程挨拶は交わして居るので他にどう接して良いのやら。
一先ず何が屋敷の中にあるのか分からない為に現在室内の確認中。一階の玄関から始まり、現在は食堂を通り過ぎて執務室の前に来ている。
ちなみにデュシー姉さんは三階に在る客間らしい部屋で、早々にセッティングされたベットに赤ちゃんと共に眠りについたらしい。
先程私付き(かな?)のメイドさんの一人がそう教えてくれた。
デュシー姉さんが居る部屋の前には二人のメイドさんが交代で一人ずつ廊下に控えて居て、赤ちゃんが起きたら即対応しているみたいだ。
…それ、どんなお貴族様…お貴族様になったんだった。
うう、実感がまだ無いよ。
そして現在はジーニアス兄さん、それとディラン兄さんの二人が現在執務室に詰めて居るらしい。使用人が書類を手に持ち、それらをジーニアス兄さん達が今後どうするかとか話し合って居るとの事。
そして暫くの間はディラン兄さんがジーニアス兄さんの補佐に入るらしい。勿論計算能力等が無ければ出来ないらしいけど。
うーん、益々お貴族様っぽい。
いや為ったんだけどね。
初日だしまだ何も、実感も無いけど。
そしてこのお屋敷、ちゃんとお風呂があったよ!
しかも湯船付きっ!
蛇口を捻れば温かいお湯が出るー!
おおお何て贅沢。
ひゃっほー!
しかも二つもあったんだよね。
どうやら貴族の家族用と従業員用の二つに分かれているらしく、一つは広く湯船も足がノビノビと伸ばせて下手すれば泳げる広さ。そしてもう一つの従業員用らしく、前世の一般家庭並みの広さの湯船。勿論少しは足が伸ばせるけど、どちらかと言うとギリギリ二人が入れる位の広さ。
私個人としては従業員用の広さのが落ち着くけどね~。
確りとメイドさんに「此方はお嬢様は入浴してはなりませんよ」と入口でストップが掛かった。
ぐぅ、出来ればその広さのが良いのだけど。
それにお掃除の面でも其方の方のがって思うんだけど、メイドさん曰く「他の従業員達に示しが付きませんし、私達のお掃除のお仕事を減らされては困ります」と。
そうだよね、お給料分のお仕事減らしたら困っちゃうよね。
でも一回ぐらいは入ってみたいものです。
ダメ?はい、ダメですか。
しょぼーん。
* * *
散々歩いて屋敷内を見て回ったけど、まだ全部の家具が揃って居ない為にほぼ空室状態の部屋が多く、特に三階の空室が目立つ。でもこれで良いのだそうだ。
元々この屋敷の三階部分は使用人の部屋として出来て居り、完全に部屋割りが出来ておらず掃除しただけらしい。私達が寝静まった後、ジーニアス兄さんの許可の元、使用人達で今後部屋割りを決めて行くとか。
つい先程覗いた時、実家の姉妹部屋よりも部屋の面積がかなり広かった事はあえて記載させて置く。
屋根裏部屋まで見て回って、ついでと無駄に広い庭を窓から見て居ると、庭に二人の使用人らしき人がパトロール(?)かな?見回っているのが窺える。それを何とは無しに見ていると、少し冷たい風が開けた窓から吹いて来る。
「お身体が冷えます」
軽く身震いをするとメイドさんの一人がそう言って窓を閉め、もう一人は「そろそろお部屋に参りましょう、温かい飲み物をお入れします」という事で私用に宛がわれた部屋に戻る。
「…落ち着かない」
はい、落ち着かないですよっと。
部屋にはほぼ家具が揃って居ないせいもあるが、何より室内が無駄に広い。
ベットがある部屋と、服を掛けて置く部屋。
この二部屋が私の部屋らしい。
最も服を置いて置く掛けて置く部屋等今日来たばかりだから見事な程に空だ。
「うーん寮から全ての荷物持って来ても、きっと埋まらないだろうなぁ」
学園のカフェテラスで使う仕事着に普段着数着、それにジーニアス兄さんから貰ったちょっと良い街着を並べてもかなりスカスカになるだろう。
「そう言えば今日着たドレスがあったか」
褒章の一部として頂いたドレス、それと中古だけどとニキ様のメイドさんから頂いたドレス。更にアクセサリーに靴。
それらを置いても余る。
今後少しは増えるかも知れないけど、恐らくあの部屋一杯なんて事には為らないと思うなぁ。それでも貴族としての付き合いと言うモノも出て来るだろうし、そうなると憎いアンチクショウであるコルセットとの戦いもこの先あるだろう。
こればかりは他の者には譲らずに自力で快適なモノを探そう。
勿論無ければ自作だ!出来たらファスナー式のがあれば良いのだけど、この世界当然そんな便利な品は無いと思う。
無ければ作ってしまえとは思うが、当然そんな知識は無い。
昔ネットで見た気があるのだが、紐を通す穴に金属を使ったら余計にきつくなると言うのが書いてあって、何となくそう言うモノなのね~と思って居た。
そして私の目の前には何故か数着あるコルセット。
…何故。
しかも金属が使われている。
何故だ。
穴の所にある輪の様になっている金属。
何故!
絞め殺す気だろうか。
何故敵が居る!
そしてニッコリ微笑むメイドさん達。
「お嬢様、これは私達からのプレゼントです。お嬢様は今後男爵家のお嬢様としての振る舞いや身嗜み等を学ばねばなりません。その為には先ず苦手を克服するべきです」
つまり、このエネミーであるコルセットと戦えと!?
無言で微笑まれる圧力。いや眼力。
ひぃぃぃぃっ
「と、言う事はメイドさん達も使って居ると…」
「いえ、私達はただのメイドなので」
「それはそれ、これはコレですわお嬢様。慣れれば平気です」
いやぁああああっ!
その日何故か慣れると言う名目で”全て”のコルセットを装着され、圧死したのは言うまでもない。いや本当には死んでいないけど、メイドさん達に身包み剥がされて次々とコルセット装着の試練をされ、色んな意味で精神が死んだ。
疲労で死んだ。
ぽつりと漏らされた一言で死んだ。
「くっ、負けた」
いやメイドさん、確かお名前はパーシャさん。その人がご自分の胸と私の胸を見比べて、
「お願いですお嬢様、秘訣を、大きくする秘訣を私に!」
「止めなさいパーシャ」
「でも、でもっ!ヴェロニカ~!」
うん、御免今此処でパーシャさんのを見てはいけないね。
「恐らく遺伝でしょう。貴方のお母さまはこう言ってはあれですが、ね」
「ううううう…」
伏して涙するパーシャさん。もう一人のメイドさんであるヴェロニカさんが慰めて居ますが、もしかしてこのコルセット地獄は私の胸に対するやっかみ?
だとしたら勘弁して欲しいです。
そしてヴェロニカさん、パーシャさん程では無いですが充分普通な大きさなので気にする事は無いと思うのだけど。
「お嬢様、見ないで下さい」
あ、はい。
えっと、何かスイマセン。
もう当分の間コルセットは見たくないけど、パーシャさんのこの状態からして早急に別の手段に切り替えないとならない気がする。
迅速に対処しないと日々圧死されるんだろうな…。
明日早々にゲットしに行かねば!
* * *
朝。
寝ぼけ眼のままで夢現ふかふかお布団から起き上がり、天井と周囲を見渡す。
「知らない天井だ」
一度言ってみたかったんだよね、この台詞。
先日のケイン様の所で入院(?)した時に言ってみれば良かったのだけど、痛みと怪我のせいで熱があったのか、ボンヤリする頭では台詞を発する処かそんな事も忘れ果てて居た。
最も直ぐ傍に人が居たせいでもあるけども。
所でコレ、いや、夢だっけ?と周囲を見渡す。
広い部屋だ~大きなお屋敷だ~わーい。
じゃ、ない。
ココが昨日から私の新しい御家。
天上がたっかーいわー…うん、現実逃避は其処等に置いておこう。
上体を起こして周囲を見る。
朝日が既に登っており、学園の寮で何時も起きる時刻位だろうか。時計はこの屋敷には無かった為に移動して時刻を確認する事も出来ない。
学園だと見る事が出来たのに、少しだけ不自由に思う。
ベットから降りて思案する。
うう~ん貯めたお給料で時計って買えるかなぁ?
お店で売っているのを見た事が無いので値段がわからない。シドニー姉さん夫婦の雑貨屋でも高級品だからと取り扱って居なかった。だとしたら、金額は恐らくその店内の高級品で扱っていた品よりも高いは同等の筈。
店で扱っていた、他の高級品の金額を思い浮かべる。
高級化粧品 十万ゴル
確か口紅とか化粧水とかだったと思うんだけど、匂いはヘチマ水みたいだったんだよね。何処が高級?と思って居た。お得意様の発注品。中身は何が入って居たのだろう?お得意様はセットでお得と言っていたから、多分良い品だったのかも知れない。
高級蜂蜜 1万ゴル
これは希少種の蜂から接種した蜂蜜らしい。
他所の店だともっと金額が高いらしいのだけど、定期的に学園に卸しているからと値段を下げてくれている。主に学園等のお得意さん向けのお値段で、他の人にはもう少し高かった筈。
高級タオル 一万五千ゴル
これもセット価格。バスタオルのセットで、綺麗な模様があった。肌触りが良かったんだよね。後でジーニアス兄さんのお祝いとデュシー姉さんと赤ちゃんの為に頼もうかな。シドニー姉さん少し安くしてくれないかなぁ。
後は石鹸とか菓子折りとかあった気がするけど、値段は覚えて居ない。サッサと学園に勤めに行ったからだとは思うけど。
うーん時計十万ゴルぐらいで買えないかなぁ。でも高級品でお貴族様が購入するっていうし、二倍、いや十倍ぐらいしちゃうのかも知れない。だとしたら購入は無理そうだな。
よし、高かったら諦めよう。
無理はしない、うんうん。
等と考えて居た時が私にはありました。
何故こんな言い方かと言うと、目の前のメイドさんその1じゃなかった、パーシャさんが私がベットから起き上がって服を着るかな~としていたら、部屋のノックをして入って来た。
「お早う御座いますレッティーナお嬢様」
と挨拶したと思ったらその手には置き時計。
うん?
置き時計???
「今朝家具が置いてあった部屋の片付けをしておりましたら、奥から幾つかの時計が見付かりました。細工が得意な使用人のゲドに頼みまして、早急に修理致しました。毎日ネジを巻けば使用出来ます。お使いになりますか?」
はい、はい、はぃい!
使います、欲しかったんです、是非私にー!
あ、でも兄さんの分はあるの?それに一つなら私の部屋よりも居間とか玄関とかのが良いかも知れない。
「大丈夫ですよお嬢様、幾つか見付かりましたので。最初に修理したのはジーニアス様にお渡しいたしましたので、此方はお嬢様にと言付かって来ました」
ニッコリと微笑まれる。
うん、昨夜は舞い上がっていて確りと見て無かったけど(一部は見た気がするが、それはそれ)、パーシャさんは小柄で可愛らしい女性だ。身長150位かな?年齢も若い気がするんだけど、もしかして私とほぼ同じだろうか?
「年齢ですか?16ですよ」
おお、年上でした。
何でも父親が元男爵家の次男だったらしく、多少は貴族の生活などを学んでおり、その為にメイドの仕事に付ける事が出来たのだそうだ。
着替えを恥ずかしいけども手伝って貰いながら軽く身の上話をしてくれて少し親密度がアップした気がする。
でも、
「くっ、大きい…」
それ、声に出して言わないで下さい。
咄嗟に胸を押さえて隠してしまったのは仕方が無いと思います。
慣れない環境―…メイドさん達が屋敷の管理やら清掃やら、細々とした仕事をしてしまってやる事が無くなってしまって手持ち無沙汰になり、現在生まれながらの貧乏性が発揮して無駄に屋敷内をウロウロしてしまって居る。
困った。
洗濯とかアイロンがけとか食事の用意に後片付けとか、全てやろうとした瞬間に済まされており、やることが無くなったのは正直辛い。
この先この屋敷の令嬢として居ないと為らないとか、どんな拷問だ。
何方かと言うと御嬢様よりは、働くメイドさんの方が私の性格に合って居ると思うんだよね。実家がアレだったから仕方が無いとしても、働かないとダメな気がする。これって貧乏性って奴なのかな?落ち着かないよ~!
そんな訳でメイドさん達に掃除・洗濯・炊事がダメなら何をしたらいいのかと聞いたら、『刺繍です』と宣言された。
…刺繍、嫌いじゃないけどね。
何でも兄ジーニアスの持ち物のハンカチ等に家紋を刺繍しないといけないらしい。貴族の義務なのだとか。誰のか持ち物が分かりにくいんだろうなぁ。
他にやってくれる人も居ないだろうし、後程家紋の図柄を渡してくれると言うので、渡されたらやることにする。
そんな訳で今は先に屋敷の内部を探検だー!広いから今のうちに覚えておきたいんだよね。
「ええ~とココが食堂かな?」
屋敷の中だし一人で歩きたかったのだけど、何時の間にか背後には二名のメイドさん達が付いて来ている。時折一名増えている事もあるので、どうやらメイドさん達の中で私付きとして居るのはこの二名+臨時で一名の合計三名としているらしい。
正直今迄人を使った事が無いので、如何したら良いのか分からず困惑してしまう。
つい先程挨拶は交わして居るので他にどう接して良いのやら。
一先ず何が屋敷の中にあるのか分からない為に現在室内の確認中。一階の玄関から始まり、現在は食堂を通り過ぎて執務室の前に来ている。
ちなみにデュシー姉さんは三階に在る客間らしい部屋で、早々にセッティングされたベットに赤ちゃんと共に眠りについたらしい。
先程私付き(かな?)のメイドさんの一人がそう教えてくれた。
デュシー姉さんが居る部屋の前には二人のメイドさんが交代で一人ずつ廊下に控えて居て、赤ちゃんが起きたら即対応しているみたいだ。
…それ、どんなお貴族様…お貴族様になったんだった。
うう、実感がまだ無いよ。
そして現在はジーニアス兄さん、それとディラン兄さんの二人が現在執務室に詰めて居るらしい。使用人が書類を手に持ち、それらをジーニアス兄さん達が今後どうするかとか話し合って居るとの事。
そして暫くの間はディラン兄さんがジーニアス兄さんの補佐に入るらしい。勿論計算能力等が無ければ出来ないらしいけど。
うーん、益々お貴族様っぽい。
いや為ったんだけどね。
初日だしまだ何も、実感も無いけど。
そしてこのお屋敷、ちゃんとお風呂があったよ!
しかも湯船付きっ!
蛇口を捻れば温かいお湯が出るー!
おおお何て贅沢。
ひゃっほー!
しかも二つもあったんだよね。
どうやら貴族の家族用と従業員用の二つに分かれているらしく、一つは広く湯船も足がノビノビと伸ばせて下手すれば泳げる広さ。そしてもう一つの従業員用らしく、前世の一般家庭並みの広さの湯船。勿論少しは足が伸ばせるけど、どちらかと言うとギリギリ二人が入れる位の広さ。
私個人としては従業員用の広さのが落ち着くけどね~。
確りとメイドさんに「此方はお嬢様は入浴してはなりませんよ」と入口でストップが掛かった。
ぐぅ、出来ればその広さのが良いのだけど。
それにお掃除の面でも其方の方のがって思うんだけど、メイドさん曰く「他の従業員達に示しが付きませんし、私達のお掃除のお仕事を減らされては困ります」と。
そうだよね、お給料分のお仕事減らしたら困っちゃうよね。
でも一回ぐらいは入ってみたいものです。
ダメ?はい、ダメですか。
しょぼーん。
* * *
散々歩いて屋敷内を見て回ったけど、まだ全部の家具が揃って居ない為にほぼ空室状態の部屋が多く、特に三階の空室が目立つ。でもこれで良いのだそうだ。
元々この屋敷の三階部分は使用人の部屋として出来て居り、完全に部屋割りが出来ておらず掃除しただけらしい。私達が寝静まった後、ジーニアス兄さんの許可の元、使用人達で今後部屋割りを決めて行くとか。
つい先程覗いた時、実家の姉妹部屋よりも部屋の面積がかなり広かった事はあえて記載させて置く。
屋根裏部屋まで見て回って、ついでと無駄に広い庭を窓から見て居ると、庭に二人の使用人らしき人がパトロール(?)かな?見回っているのが窺える。それを何とは無しに見ていると、少し冷たい風が開けた窓から吹いて来る。
「お身体が冷えます」
軽く身震いをするとメイドさんの一人がそう言って窓を閉め、もう一人は「そろそろお部屋に参りましょう、温かい飲み物をお入れします」という事で私用に宛がわれた部屋に戻る。
「…落ち着かない」
はい、落ち着かないですよっと。
部屋にはほぼ家具が揃って居ないせいもあるが、何より室内が無駄に広い。
ベットがある部屋と、服を掛けて置く部屋。
この二部屋が私の部屋らしい。
最も服を置いて置く掛けて置く部屋等今日来たばかりだから見事な程に空だ。
「うーん寮から全ての荷物持って来ても、きっと埋まらないだろうなぁ」
学園のカフェテラスで使う仕事着に普段着数着、それにジーニアス兄さんから貰ったちょっと良い街着を並べてもかなりスカスカになるだろう。
「そう言えば今日着たドレスがあったか」
褒章の一部として頂いたドレス、それと中古だけどとニキ様のメイドさんから頂いたドレス。更にアクセサリーに靴。
それらを置いても余る。
今後少しは増えるかも知れないけど、恐らくあの部屋一杯なんて事には為らないと思うなぁ。それでも貴族としての付き合いと言うモノも出て来るだろうし、そうなると憎いアンチクショウであるコルセットとの戦いもこの先あるだろう。
こればかりは他の者には譲らずに自力で快適なモノを探そう。
勿論無ければ自作だ!出来たらファスナー式のがあれば良いのだけど、この世界当然そんな便利な品は無いと思う。
無ければ作ってしまえとは思うが、当然そんな知識は無い。
昔ネットで見た気があるのだが、紐を通す穴に金属を使ったら余計にきつくなると言うのが書いてあって、何となくそう言うモノなのね~と思って居た。
そして私の目の前には何故か数着あるコルセット。
…何故。
しかも金属が使われている。
何故だ。
穴の所にある輪の様になっている金属。
何故!
絞め殺す気だろうか。
何故敵が居る!
そしてニッコリ微笑むメイドさん達。
「お嬢様、これは私達からのプレゼントです。お嬢様は今後男爵家のお嬢様としての振る舞いや身嗜み等を学ばねばなりません。その為には先ず苦手を克服するべきです」
つまり、このエネミーであるコルセットと戦えと!?
無言で微笑まれる圧力。いや眼力。
ひぃぃぃぃっ
「と、言う事はメイドさん達も使って居ると…」
「いえ、私達はただのメイドなので」
「それはそれ、これはコレですわお嬢様。慣れれば平気です」
いやぁああああっ!
その日何故か慣れると言う名目で”全て”のコルセットを装着され、圧死したのは言うまでもない。いや本当には死んでいないけど、メイドさん達に身包み剥がされて次々とコルセット装着の試練をされ、色んな意味で精神が死んだ。
疲労で死んだ。
ぽつりと漏らされた一言で死んだ。
「くっ、負けた」
いやメイドさん、確かお名前はパーシャさん。その人がご自分の胸と私の胸を見比べて、
「お願いですお嬢様、秘訣を、大きくする秘訣を私に!」
「止めなさいパーシャ」
「でも、でもっ!ヴェロニカ~!」
うん、御免今此処でパーシャさんのを見てはいけないね。
「恐らく遺伝でしょう。貴方のお母さまはこう言ってはあれですが、ね」
「ううううう…」
伏して涙するパーシャさん。もう一人のメイドさんであるヴェロニカさんが慰めて居ますが、もしかしてこのコルセット地獄は私の胸に対するやっかみ?
だとしたら勘弁して欲しいです。
そしてヴェロニカさん、パーシャさん程では無いですが充分普通な大きさなので気にする事は無いと思うのだけど。
「お嬢様、見ないで下さい」
あ、はい。
えっと、何かスイマセン。
もう当分の間コルセットは見たくないけど、パーシャさんのこの状態からして早急に別の手段に切り替えないとならない気がする。
迅速に対処しないと日々圧死されるんだろうな…。
明日早々にゲットしに行かねば!
* * *
朝。
寝ぼけ眼のままで夢現ふかふかお布団から起き上がり、天井と周囲を見渡す。
「知らない天井だ」
一度言ってみたかったんだよね、この台詞。
先日のケイン様の所で入院(?)した時に言ってみれば良かったのだけど、痛みと怪我のせいで熱があったのか、ボンヤリする頭では台詞を発する処かそんな事も忘れ果てて居た。
最も直ぐ傍に人が居たせいでもあるけども。
所でコレ、いや、夢だっけ?と周囲を見渡す。
広い部屋だ~大きなお屋敷だ~わーい。
じゃ、ない。
ココが昨日から私の新しい御家。
天上がたっかーいわー…うん、現実逃避は其処等に置いておこう。
上体を起こして周囲を見る。
朝日が既に登っており、学園の寮で何時も起きる時刻位だろうか。時計はこの屋敷には無かった為に移動して時刻を確認する事も出来ない。
学園だと見る事が出来たのに、少しだけ不自由に思う。
ベットから降りて思案する。
うう~ん貯めたお給料で時計って買えるかなぁ?
お店で売っているのを見た事が無いので値段がわからない。シドニー姉さん夫婦の雑貨屋でも高級品だからと取り扱って居なかった。だとしたら、金額は恐らくその店内の高級品で扱っていた品よりも高いは同等の筈。
店で扱っていた、他の高級品の金額を思い浮かべる。
高級化粧品 十万ゴル
確か口紅とか化粧水とかだったと思うんだけど、匂いはヘチマ水みたいだったんだよね。何処が高級?と思って居た。お得意様の発注品。中身は何が入って居たのだろう?お得意様はセットでお得と言っていたから、多分良い品だったのかも知れない。
高級蜂蜜 1万ゴル
これは希少種の蜂から接種した蜂蜜らしい。
他所の店だともっと金額が高いらしいのだけど、定期的に学園に卸しているからと値段を下げてくれている。主に学園等のお得意さん向けのお値段で、他の人にはもう少し高かった筈。
高級タオル 一万五千ゴル
これもセット価格。バスタオルのセットで、綺麗な模様があった。肌触りが良かったんだよね。後でジーニアス兄さんのお祝いとデュシー姉さんと赤ちゃんの為に頼もうかな。シドニー姉さん少し安くしてくれないかなぁ。
後は石鹸とか菓子折りとかあった気がするけど、値段は覚えて居ない。サッサと学園に勤めに行ったからだとは思うけど。
うーん時計十万ゴルぐらいで買えないかなぁ。でも高級品でお貴族様が購入するっていうし、二倍、いや十倍ぐらいしちゃうのかも知れない。だとしたら購入は無理そうだな。
よし、高かったら諦めよう。
無理はしない、うんうん。
等と考えて居た時が私にはありました。
何故こんな言い方かと言うと、目の前のメイドさんその1じゃなかった、パーシャさんが私がベットから起き上がって服を着るかな~としていたら、部屋のノックをして入って来た。
「お早う御座いますレッティーナお嬢様」
と挨拶したと思ったらその手には置き時計。
うん?
置き時計???
「今朝家具が置いてあった部屋の片付けをしておりましたら、奥から幾つかの時計が見付かりました。細工が得意な使用人のゲドに頼みまして、早急に修理致しました。毎日ネジを巻けば使用出来ます。お使いになりますか?」
はい、はい、はぃい!
使います、欲しかったんです、是非私にー!
あ、でも兄さんの分はあるの?それに一つなら私の部屋よりも居間とか玄関とかのが良いかも知れない。
「大丈夫ですよお嬢様、幾つか見付かりましたので。最初に修理したのはジーニアス様にお渡しいたしましたので、此方はお嬢様にと言付かって来ました」
ニッコリと微笑まれる。
うん、昨夜は舞い上がっていて確りと見て無かったけど(一部は見た気がするが、それはそれ)、パーシャさんは小柄で可愛らしい女性だ。身長150位かな?年齢も若い気がするんだけど、もしかして私とほぼ同じだろうか?
「年齢ですか?16ですよ」
おお、年上でした。
何でも父親が元男爵家の次男だったらしく、多少は貴族の生活などを学んでおり、その為にメイドの仕事に付ける事が出来たのだそうだ。
着替えを恥ずかしいけども手伝って貰いながら軽く身の上話をしてくれて少し親密度がアップした気がする。
でも、
「くっ、大きい…」
それ、声に出して言わないで下さい。
咄嗟に胸を押さえて隠してしまったのは仕方が無いと思います。
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