111 / 113
6章 今日も隣国はゴタゴタしておりますが、隣国だと乙女ゲームの舞台を鑑賞させて頂けないので萎えています。
番外 隣家の小さな御令嬢
しおりを挟む前ガルニエ伯爵のご当主様。私が生まれる前に亡くなり、長いこと人が居なかった空き家状態の伯爵家に人が入りました。
前ガルニエ伯爵様は、我が屋敷に居る執事が言うことには貴族としては少し風変わりな方だったと言う。
生前から自身の血筋の者は開拓のために遠い地に向かってしまった、今も元気にしているだろうか?と口にしつつ、会うことは諦めていた。
それは年齢のためか、それとも何か理由があったのでしょうか。
隣接した我が家の執事に暇になると御茶においでと誘い、最後に会った遠縁の人々の思い出話を優しげな眼差しを浮かべながら語らい、伯爵家の使用人達と共に同じ席について御茶をしていたと言う。
伯爵家のご当主が使用人達と同じ席について御茶だなんて、本来ならば宜しくは無いのだろうけど。
私はほんの少しだけ羨ましく思っていた。
※
初めまして、私ガルニエ伯爵邸の横に昔から館を構えているとある子爵家の御令嬢ですわ。
年齢はガルニエ伯爵邸に住んでいらっしゃるお嬢様、オルブロン様と同い年で8歳となります。
そのオルブロン様、ええと…確かつい最近自身のお兄様でいらっしゃる、伯爵家ご当主のジーニアス様へ養女とな、なり…おなり?なり申した?うん?あらら?
…。
すいません私、社交界等の事柄をお勉強中でして、貴族のお嬢様としての言い方が慣れませんの。
それでも高位貴族では無く下位貴族である子爵家ですのでまだマシと言えるでしょう。
と、王都に来てから私に付いた家庭教師が言っておりました。
何でも家庭教師の言うことには、王都の高位貴族の御令嬢は3~4歳辺りから家庭教師が付いておられる方が多いのだとか。それを聞いた瞬間、思わず「うはぁ」と項垂れてしまいましたら、家庭教師に目の前で盛大に溜息を吐かれてしまいました。
どうせ田舎者の子爵家ですよ、チクショウ。
あら、私ってばつい本音が。
王都ではガルニエ伯爵邸の横ですが、家の大きさも規模も違いますし爵位も違います。
おまけに、私つい最近まで領地でとてものびのびと過ごしておりました。
私のことは良いのです。
それよりも大事なことがあります。
ちょっと聞いて!お隣の伯爵家ご当主様が今王都で話題のジーニアス・アルセーヌ・ガルニエ様だなんて!!
…はっ!
私としたことがはしたない。
そうして、私確かに最初のうちははしゃいで居たのですよ?
ええ、最初のうちは、ですが。
そりゃあ今もはしゃいで居ますけどね?
何せ顔面偏差値が高すぎる人が隣の家って浮足立つでしょう?例え全く関心など向けられない子供の私でも。ついでに言うと、我が家の使用人達…メイドどころか何故か男性陣もソワソワしておりますが。それはきっと王都でおこった事柄から英雄となったジーニアス様に憧れていらっしゃるからでしょう、ええ、きっとそうね!
ふふ、私知っているのです。
何が、ですか?
それはねー…隣の伯爵家にはなんとぉ!
この国の王位継承権を持つ、第二王子様が来るのです!
いやいやいやいや、何故!?とか思ってしまいましたよ。理由はよく知らないのですが、恐らくジーニアス様の妹君が関係していらっしゃるのかしら?
私、初めて隣の伯爵家に第二王子であられるユウナレスカ様が来られた時、思わずガン見してしまいましたよ。ええ。勿論門の影からこっそりです。
子供ってこういう時便利なのですよ?身長が低いから物陰に入り込むと意外と気が付かれないのです。ふっふっふ…。ですからコッソリと覗かせて頂きました。最高ですわ、うふふふ。
そうしてですね、ガルニエ伯爵様の妹様。
なんと、なんとぉお!
騎士団長の嫡男。
魔法大臣の嫡男。
その両名がいらしている!!
え、どういうこと?
ガルニエ伯爵家の妹君って確かオルブロン様の上のお姉様で、えーと…レッティーナ様だよね?13歳と聞いたから、学園はまだ通っていない年齢の筈。
とか何とか思っていたら、あれぇ???
ガルニエ伯爵家の庭にちっちゃな女の子?幼児?え、ジーニアス様お子様いたの???
ショックを受けていたら、我が家の執事が呆れながら、「あのお嬢様はジーニアス様の妹君様である、デュシー様のお嬢様ですよ」と。
ふぉぉ、それって、それって…!
お茶会でちょっと前に話題に登っていた、複雑な事情の人ですよね?
これ以上は言いませんって顔をして執事がスッと例をして問答無用で私の前から去って行っちゃいましたけど、これってまぁ子供である私には言いたくないことと言うことよね。
お、おし、いや、よおーし、私見なかった事に致します。いえ、聞かなかったことで良いのかしら。うん、あのちっちゃい子が可愛いで了解致します。察しはつくけど。付きたくはないけど。スルーって大事よね、うんうん。
側に居た私付きのメイドが微妙な顔付きで此方を見ていますがスルー致しましょう。
とか思って数日経過していたら。
何故、何故隣のガルニエ伯爵家に我が国の第一王子様が訪問していらっしゃるのですかー!?
あの顔面偏差値高得点野郎は第一王子ですよね!?
第一王子に野郎って言っては駄目と執事に叱られてしまいました。
つ、つい、その興奮してしまいまして、ほほほ…。
そんな冷たい眼差しを向けないでよ、我が家の執事よ。私変な性癖は無いから。
8歳の令嬢が性癖等と発言するものではありませんと再度怒られました。いやーだってーうちのメイド達が隣の伯爵家に鼻血出す変わった性癖のメイドが居るってよく言うからー。
よく叱っておきますって言われちゃったよ。御免、我が家のメイド。でも君達ちょっと無駄話多すぎだから。良い機会だから叱られなさい。
さて、本日もこっそりと隣の伯爵家を覗きますか。
いやー最近ジーニアス様が不在で、ちょっとイケてるかなー?ジーニアス様みたいなキラキラ加減が無くて落ち着くよね。と言う感じのジーニアス様の兄上である、ディラン様を覗くのが楽しい。偶にデュシー様のお子様のティナちゃんを庭で肩車してあげていて、何だかお父様みたい。うん、良い。
うちのお父様が霞むよ。
フツメンだからな…。
こうして考えると顔面偏差値高得点な人も観察しているだけなら良いけど、ほのぼの系男子のほうが落ち着くなぁ。婚約するならこういう男性が良いかも。
ま、子爵令嬢だから中々いいお話とか無いけどねー。
うちそんなにお金無いしー。
田舎娘だしー。
がさつだしー。
く。
見ていろ!今にイイ男捕まえて…!
とか思っていたらさ。
お隣のガルニエ伯爵家の末娘のオルブロン様。
毎日のようにスッゴイ綺麗な年上の、素晴らしく大人の色気を纏ったイイ男と手を繋いで夕刻帰宅して来るのだけど!お見送りですって、てか、王弟の末息子であるフォーカス様じゃないですかー!
どういうこと?
ねぇ、どういうこと?
思わず側に居た執事に聞いてみたら、「頑張りましょうね、お嬢様」って。
8歳。
まさか、小さなおこちゃまである年齢でこの世の無常を悟ってしまいましたわ…。
お父様誰かいい人見繕って下さい、切実に。
※
作者が諸々年月経ち過ぎて忘れているので無理矢理オサライ←
47
あなたにおすすめの小説
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
本当に現実を生きていないのは?
朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。
だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。
だって、ここは現実だ。
※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。
甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」
「はぁぁぁぁ!!??」
親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。
そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね……
って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!!
お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!!
え?結納金貰っちゃった?
それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。
※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。
存在感と取り柄のない私のことを必要ないと思っている人は、母だけではないはずです。でも、兄たちに大事にされているのに気づきませんでした
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれた5人兄弟の真ん中に生まれたルクレツィア・オルランディ。彼女は、存在感と取り柄がないことが悩みの女の子だった。
そんなルクレツィアを必要ないと思っているのは母だけで、父と他の兄弟姉妹は全くそんなことを思っていないのを勘違いして、すれ違い続けることになるとは、誰も思いもしなかった。
奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます
タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。
領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。
奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる