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納品のついでに
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家の下見を終えてから、本来なら早く家に帰ってルナとイチャイチャしたい遥はもうひと仕事のためにアーカシア王国のとある小さな店に訪れていた。
その小さい外見の店は一見していかにも小さな雑貨屋のようにも見えるが・・・しかし、その実、貴族や王族御用達のブランド店と言えるほどのランクの店なのだが・・・そんな店に遥は納品のために訪れていた。
「ドワンいるか?」
人気のない店内でそう声をかけるとーーーしばらくしてから厳つい顔をしたこの店の店主であるドワンが姿を表した。
「いらっしゃい遥様。こんな時間に珍しいですな」
「まあね。たまたま近くに来たからついでに今月の商品を持ってきたんだけど・・・今大丈夫か?」
「新作ですかい?それならもちろんですよ」
一見して表情に変化のないドワンなのだが・・・その実、そこそこ長い付き合いの遥にはなんとなく新作という言葉に明らかに表情を変えたのがなんとなく読み取れた。
ドワンは遥を裏に招くとお茶用意してきてから椅子に腰かけた。
「それで・・・今月の新作はどんなものなんです?」
「ああ・・・とりあえず今月はアクセサリーを中心に何点かと、ドレスと靴が少し・・・あとは、いつも通りお菓子を作ってきたんだけど、確認してくれるかな?」
そう言って遥は持ってきたものを机の上に並べてドワンの前で広げてみせた。
ドワンはそれらの商品をじっくりと眺めてから・・・感嘆のため息をついた。
「いつもながら見事な出来ですが・・・今月はやけにアクセサリーが多いですな」
「まあね。嫁のために作っていたらいつの間にか増えてね」
「嫁?」
その単語に不思議そうに首を傾げてから・・・ドワンはどこか驚いたように声を出した。
「嫁って・・・遥様いつの間に結婚したんですかい?」
「ん?ああ、先日結婚してね。式はまだなんだけど・・・」
「そうですかい・・・いやー・・・結婚ですかい・・・」
驚いたようにそう繰り返すドワン・・・そんなドワンに遥は首を傾げて言った。
「そこまで驚くようなことか?」
「そりゃあ・・・遥様が結婚なんて、なかなか驚くべきことですよ。お相手はどこの国の姫様なんですかい?それとも高位の貴族のご令嬢ですかい?」
「ん?まあ、今は平民・・・かな?」
その言葉にドワンは眉を潜めた。
「訳ありですかい?」
「まあね。ドワンはシルベスター王国でのここ最近の出来事は知ってる?」
「ここ最近・・・となると、確か国王が変わりましたね」
「その元婚約者なんだよ」
「・・・そういえば今の国王は確か婚約者を断罪してから平民の女と結婚したとか言ってましたね。そんな面倒そうな人を嫁にしたんですかい?」
流石は商人・・・他国の情勢に関してもよく知ってるようだと感心しながら遥は言った。
「まあね。端的に言えば冤罪で国を追われた彼女をたまたま拾って面倒をみてたら惚れてしまってね」
「はぁ・・・じゃあ、遥様からプロポーズを?」
「もちろん」
その返事にドワンはかなり驚いていたが・・・しかし、遥の言葉の中で引っかかる場所があったのでそこを口にしていた。
「冤罪ですかい?」
「ああ。おそらく平民の女と今の馬鹿な国王が邪魔な婚約者を消したくてそうしたんだろうけど・・・本当に頭にくるよ」
遥としてはこの話をドワンにしたのはドワンなら信用できるから・・・というのもあるが、狙いは別にあった。それは・・・
「なるほど・・・つまり、遥様はシルベスターとの縁を切ったと考えていいんですね?」
「話が早くて助かるよ」
そう・・・ドワンはある意味では商人の中でもかなり大手で、各国に根を這っているのだが・・・その収入源のほとんどは遥から納品されるアクセサリーやらドレスなど多岐にわたるブランド物によるもので成り立っているのだ。特に遥の作るアクセサリーやドレスなどはこの世界ではあまりないようなデザインと素材を使っているので人気が高くーーーつまるところ、遥の作ったオーダーメイドのものがドワンの商会の売り上げに直結しているのだ。
そして、そんなドワンにこの話をすれば当然のように・・・
「では、私もシルベスターとの商売は今後控えましょう」
「ああ。頼むよ」
「遥様が縁を切った国なら商売する価値はありませんからな。シルベスターはそこまで金蔓ではありませんし・・・それに、客は腐るほどいますので、問題ありません」
ドワンからすれば商売の元になっている遥が縁を切った国と商売をするつもりはないので、そういう結論になる。そして、ドワンは商人の中でも飛び抜けているので、そんなドワンがシルベスターとの商売をしなくなれば、他の商人も一部を除いてシルベスターからは手をひくだろうというのが遥の狙いだ。
その後は他愛ない世間話をしてから簡単に納品のチェックをして遥は店を後にしたが・・・後にこの話がきっかけでシルベスターが追い詰められていくことになるのだが、そんなことは知ったことではないという風に遥は家に帰ってルナとイチャイチャすることしか考えてなかった。
その小さい外見の店は一見していかにも小さな雑貨屋のようにも見えるが・・・しかし、その実、貴族や王族御用達のブランド店と言えるほどのランクの店なのだが・・・そんな店に遥は納品のために訪れていた。
「ドワンいるか?」
人気のない店内でそう声をかけるとーーーしばらくしてから厳つい顔をしたこの店の店主であるドワンが姿を表した。
「いらっしゃい遥様。こんな時間に珍しいですな」
「まあね。たまたま近くに来たからついでに今月の商品を持ってきたんだけど・・・今大丈夫か?」
「新作ですかい?それならもちろんですよ」
一見して表情に変化のないドワンなのだが・・・その実、そこそこ長い付き合いの遥にはなんとなく新作という言葉に明らかに表情を変えたのがなんとなく読み取れた。
ドワンは遥を裏に招くとお茶用意してきてから椅子に腰かけた。
「それで・・・今月の新作はどんなものなんです?」
「ああ・・・とりあえず今月はアクセサリーを中心に何点かと、ドレスと靴が少し・・・あとは、いつも通りお菓子を作ってきたんだけど、確認してくれるかな?」
そう言って遥は持ってきたものを机の上に並べてドワンの前で広げてみせた。
ドワンはそれらの商品をじっくりと眺めてから・・・感嘆のため息をついた。
「いつもながら見事な出来ですが・・・今月はやけにアクセサリーが多いですな」
「まあね。嫁のために作っていたらいつの間にか増えてね」
「嫁?」
その単語に不思議そうに首を傾げてから・・・ドワンはどこか驚いたように声を出した。
「嫁って・・・遥様いつの間に結婚したんですかい?」
「ん?ああ、先日結婚してね。式はまだなんだけど・・・」
「そうですかい・・・いやー・・・結婚ですかい・・・」
驚いたようにそう繰り返すドワン・・・そんなドワンに遥は首を傾げて言った。
「そこまで驚くようなことか?」
「そりゃあ・・・遥様が結婚なんて、なかなか驚くべきことですよ。お相手はどこの国の姫様なんですかい?それとも高位の貴族のご令嬢ですかい?」
「ん?まあ、今は平民・・・かな?」
その言葉にドワンは眉を潜めた。
「訳ありですかい?」
「まあね。ドワンはシルベスター王国でのここ最近の出来事は知ってる?」
「ここ最近・・・となると、確か国王が変わりましたね」
「その元婚約者なんだよ」
「・・・そういえば今の国王は確か婚約者を断罪してから平民の女と結婚したとか言ってましたね。そんな面倒そうな人を嫁にしたんですかい?」
流石は商人・・・他国の情勢に関してもよく知ってるようだと感心しながら遥は言った。
「まあね。端的に言えば冤罪で国を追われた彼女をたまたま拾って面倒をみてたら惚れてしまってね」
「はぁ・・・じゃあ、遥様からプロポーズを?」
「もちろん」
その返事にドワンはかなり驚いていたが・・・しかし、遥の言葉の中で引っかかる場所があったのでそこを口にしていた。
「冤罪ですかい?」
「ああ。おそらく平民の女と今の馬鹿な国王が邪魔な婚約者を消したくてそうしたんだろうけど・・・本当に頭にくるよ」
遥としてはこの話をドワンにしたのはドワンなら信用できるから・・・というのもあるが、狙いは別にあった。それは・・・
「なるほど・・・つまり、遥様はシルベスターとの縁を切ったと考えていいんですね?」
「話が早くて助かるよ」
そう・・・ドワンはある意味では商人の中でもかなり大手で、各国に根を這っているのだが・・・その収入源のほとんどは遥から納品されるアクセサリーやらドレスなど多岐にわたるブランド物によるもので成り立っているのだ。特に遥の作るアクセサリーやドレスなどはこの世界ではあまりないようなデザインと素材を使っているので人気が高くーーーつまるところ、遥の作ったオーダーメイドのものがドワンの商会の売り上げに直結しているのだ。
そして、そんなドワンにこの話をすれば当然のように・・・
「では、私もシルベスターとの商売は今後控えましょう」
「ああ。頼むよ」
「遥様が縁を切った国なら商売する価値はありませんからな。シルベスターはそこまで金蔓ではありませんし・・・それに、客は腐るほどいますので、問題ありません」
ドワンからすれば商売の元になっている遥が縁を切った国と商売をするつもりはないので、そういう結論になる。そして、ドワンは商人の中でも飛び抜けているので、そんなドワンがシルベスターとの商売をしなくなれば、他の商人も一部を除いてシルベスターからは手をひくだろうというのが遥の狙いだ。
その後は他愛ない世間話をしてから簡単に納品のチェックをして遥は店を後にしたが・・・後にこの話がきっかけでシルベスターが追い詰められていくことになるのだが、そんなことは知ったことではないという風に遥は家に帰ってルナとイチャイチャすることしか考えてなかった。
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