異形の魔術師

東海林

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王立魔術院編

第14話

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「うん、似合っているよ。では魔術院の所属になるけれど、私の研究室に入ってもらうよ。正確には新設した研究班だけどね。各分野の垣根を超えて多角的にアプローチをする取り組みの一環でね、君にはそこの班に入ってもらう」
「お役に立てるかどうか判りませんが、精一杯やらせて頂きます」
「あーそんなに緊張しなくて良いよ、研究班のテーマは『魔法生物の成り立ち』だから、どちらかと言うと実験や検証に協力してもらう方が主かな?」

 うーん、やっぱり実験動物の意味合いが強いかな?

「もちろん、君が人に戻る方法も探す事も人道に反する事はしないと約束しよう」
「判りました、できる範囲で協力をします」

 それからは、学園で広めた魔法の使い方や、属性なの話で盛り上がった
 盛り上がったと言うよりは、質問攻めに遭った方が正しいかな?
 明日から研究班で顔合わせをした後、魔法生物としての能力の検証を行っていく事になった

 気がつけばお昼時になっていて、気がつけばミシュリーさんが人数分用意お昼を用意してくれていて、そのまま昼食となった


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 所変わって魔術院の居住区にやってきた
 ここは魔術院の職員や研究者が泊まれる簡易宿泊所になっている
 何故簡易宿泊所なのかと言えば、殆どの人は自宅を持っているが、家に帰るのがめんどくさい人や、研究に没頭しすぎて不眠不休の人を強制的に休ませる為の施設だったが、これ幸いにほぼ住み着くような人も居るため、居住区なんて呼ばれてるらしい
 そして正式にこの居住区に貴族向けのタウンハウスを作る事になって、自分はその一つを貰える事になっている
 せっかくと言う事でホルムクル院長に連れられて下見に来ている
 ちなみにサリアーナ副院長は自分の研究室に呼び出されて不在

「…・…何もありませんね」
「基礎工事もこれからだからね」

 そう、連れてこられたのは建築現場では無く、建築予定地のただの空き地だった

「設計までは終わっているんだが、予算が下りなくてね。君の件があってやっと予算が付いた所なんだよ。みんな家よりも研究費が欲しくてねぇ」
「あーなんとなく判ります」

 何処の世にも研究に取り憑かれちゃった人は居るらしぃ

「院長早いですね、今日はよろしくお願いします」
「やぁコーネル君よろしく頼むよ」

 そう気さくに声をかけてきたのは、角刈りのがたいのいいおっさんと、3人の若い衆だった
 若い衆は持ってきた荷物を下ろして、手慣れた動きで天幕とテーブルを用意していく

「紹介しよう、こちらは魔術院の建築関係を一手に引き受けてくれるコーネル君だ」
「あんたが噂の準男爵様か、俺はコーネルだよろしく頼む。若い衆から親方なんて呼ばれてるよから、親方で良いぞ」

 そう言って人懐っこい笑顔で、握手を求めてきたので握り返す
 親方の手はゴツゴツしていて職人らしい手だった

「親方は驚かないんですね?」
「いんや、これでも驚いてるさ。でもな、ココに居ると驚く事ばかりだ大抵の事には慣れたさ」

 そう言って親方が院長を見るので、つられて見ると院長が明後日の方向を向いていた
 大丈夫かココ?

「親方、準備できました」
「おう、今行く。それじゃ詳しい話をあっちで詰めよう」

 天幕のテーブルにはタウンハウスの設計図なのどが用意されていた
 図面を見せてもらうと、1階に応接室、ダイニングキッチン、トイレ、風呂、使用人室、2階に書斎と寝室と貴族向けという割には、こじんまりしている
 若い衆が図面に合わせて、実際の建てる場所に線を書いて建物の大きさのイメージしやすいようにしてくれているが、見ていると中々の大きさなるようだ
 書き終わると、隣にまた同じ物を書き始めている
 一度に複数作るのかな?

「不思議そうな顔してるな?顔に書いてあるぞ」
「えっ顔に書いてあるんですか?どの辺ですか?」
「おいおい、本気で言ってるのかよ…」

 あー恥ずかし、こんな体になって日が浅いんだから、変な機能がるのかと素で驚いたよ

「親方あんまりからかってくれるな、ランディ君はその姿になって日が浅いから、まだ把握していない事が沢山有るんだよ」
「そうなのか、悪かったな」
「気にししないで下さい。でも良く判りましたね?」
「なーに、見てりゃ大体判るもんさ。お前さん以外と表情豊かだぞ」

 表情豊ってホントかよ……
 なんとなくミシュリーさんの方を見ると、柔やかに頷いてらっしゃる
 表情豊からしぃ
 と言う事はすぐに顔に出るのか気をつけないと
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