異形の魔術師

東海林

文字の大きさ
上 下
18 / 24
王立魔術院編

第18話

しおりを挟む
「ねるほどね、それであんなお祭り騒ぎをした訳だ」
「えーっと、何のことでしょうか?」
「文化祭での魔法レース、あれは君が裏で動いていたよね?」

 あーコレ、だいたい知ってますって目だわ

「企画自体は生徒会です、自分は頼まれて運営を手伝っただけです」
「確かにそう聞いてるけど、あそこまで盛大にした実行犯は君だって聞いてるけど」
「ほー、なるほど」
「下の妹が学園の一年で、レース見てすっごく興奮したたんだよね、僕も見たかった」
「私は来賓で直接見ましたけど、アレは中々の物でしたよ。来年から学園祭の目玉行事になったようですね」

 あー、辞めてくれ小っ恥ずかしくて死にたくなる

「もう判りましたよ、正直にお話しますよ」

 事の始まりは簡単、スーネリア様に魔法のコントロール上達を教えたのが始まり
 手のひらに乗るぐらいの魔力で玉を作ってもらい、それを飛ばしてコントロールを磨く
 もちろんスピードだけじゃ無く緩急をつけて行う
 テーブルの脚の凹凸に合わせて回りながら上下移動や、椅子の脚を8の字に回ったりと自分がやっていた方法を課題として出していた
 普通なら数ヶ月単位の練習のはずが、天才型のスーネリア様は瞬く間にマスターして、要求がどんどん上がってきてしまった
 そこで思いついたのが、記憶の中にあったアクロバット飛行やドロ-ンのレースにヒントを得て、障害物を用意してコースを作る事だった
 最初は魔法演習場の片隅にその都度物を置いて練習していた
 魔法演習場は誰も使える練習場で、自主練習に励む生徒は以外と多かった
 そんな片隅でやっていたので、興味本位でやってみたいという人が1人また1人と参加
 結果以外とスピードを維持しながら操作するの意外と難しくて、完走もままならない人が大半だった
 流石自主練習をしてるような上昇志向の人達、俄然やる気になったのでコントロールのレクチャーをしたりしていたら、盛り上がってサークル活動になったと同時に、スーネリア様の家の力で専用の練習場が出来てしまった
 常設の練習場が出来ると、通過ポイントをちゃんと通過したか判るようにして欲しいと要望が出たり、スピードだけじゃ無く精度重視のコースが欲しい等々要望が出たので、錬金術や魔方陣の本を読み漁って、魔力が通過すると色が変わるリングや棒を作ってコースを作った
 精度重視の方は、某バライティ番組の〇ラ〇ラ棒を参考に、壁に当たると音が鳴るようにしたコースを作った
 時間を計れるようにして欲しいと言う要望には流石に無理だったので、学内の商家の学生に頼んだり、高位貴族のツテで用意してもらった

 スーネリア様も生徒会メンバーだった事もあって、生徒会の目にとまって文化祭の成果発表の出し物に決まり、その実行委員を仰せつかってしまった
 どうせやるならと、他のメンバーとあれこれ話して悪のりして、学園でも口から先に生まれてきた男と評判だったフータチ男爵家のイーチを引き込んで、実況をさせ、投影魔法で迫力有る映像を大スクリーンに投影、選手は教師に頼み込んで授業で選考会を開いて、各クラス1名づつ代表を出して本番を行った
 スピード部門も精密部門も1人づつ予選を行って、上位三名で決勝戦を行った
 いや、あれはホントに盛り上がった、スピード部門は車のレースと同じようにやってもらい、抜きつ抜かれつのレースが手に汗握る熱い展開
 精密部門は決勝専用コースを3個用意して同時にスタート、こちらは会場がしんっと静まりかえり、実況を忘れるほど全員が固唾をのんで見守る展開、ゴールした瞬間の大歓声は忘れられない
 まぁコレが盛りに盛り上がって、魔法士団でも開催するとかしないとか噂が流れてきてた
 一応作り方とかアイデア、機材の仕様なんかは纏めてサークルと生徒会と学園に提出してあるのですぐに用意できるだろう

「とまぁ、そんな感じで盛大にやったわけですよ」
「まてまて、あの魔法レースの装置お前さんが作ったのか?」
「えぇ、スーネリア様からお願いされたのでカルトマス侯爵家のお抱え商会を通じて材料を用意してもらって作りました。良い小遣い稼ぎになりましたよ」

 決して暴利は貪ってないですよ
 むしろ貰いすぎだったので還元できないか苦労した覚えが…

「にしても魔方陣刻むのに時間がかかっただろうに」
「刻むって、刻んでませんよ」
「え?」
「え?」

 唖然としてるドルトスさん
 あ、コレもしかしてやっちゃったパターンか
しおりを挟む

処理中です...