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一話 六月十日 火曜日
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実夜は自分が夢の中にいるということを自覚した。不思議な感覚だった。ひどく気持ちが良い。
例えるなら、暗く深い海の底を漂っているかのような感覚。できることなら、永遠にこうしていたい。そんな欲望に駆られる。
実夜を海の底から引き揚げようとするのは、親しみのある声だった。その声は頭の中をガンガン響き、実夜を現実へと引き戻そうとする。
うるさい、やめて。
あと五分でいいから。
あと、ごふん。
「何があと五分だ! 起きろ実夜! お前どこで寝てると思ってんだ! ここ道路のド真ん中だぞ!?」
美香の叫びに、目をうっすらと開けた実夜。
そして第一声。
「ふにゃ……美香ちゃん? あ、おはよぉ……ふぁわぁ」
「早く立ち上がれ! そして歩け! とりあえず道路から出るぞ!」
美香は実夜の肩を抱え、道路脇の草っ原にサルベージし、そこでもなお眠ろうとする実夜に往復ビンタ。これにはさすがの未夜も目を覚ましたようだ。
「……うん? ここどこ?」
「あたしが聞きてーわ。お前そこの道路のド真ん中でぐっすり寝てたんだからな?」
「道路のド真ん中!? なんでそんな所で寝てるのさ」
「だからあたしが聞きたいっての……」
美香は「はー疲れた」と言って腰を降ろした。
制服のスカートが少し汚れたが、彼女は気にするような性格ではない。
「なんかごめんねー。ありがとー」
実夜は反省の色を見せない笑顔で言った。
「急にいなくなっちゃうし、電話しても全然出てくねーと思ったら、まさか道路で寝てるとは思いもよらなかったよ。車に轢かれたかと思ってマジでビビったわ」
「えへへっ」
「『えへへ』じゃないっての……」
「いやでも不思議なこともあるもんだよね。気がついたら道路で寝てたなんて、怪奇現象だよ。『世にも奇妙な物語』だよ」
「どうせ昨晩夜更かししてたんじゃねーの?」
「えぐざくとりー! 今日の朝三時半までスマブラやってました」
「早く寝ろよ!」
美香は「よっこらせ」と立ち上がり、スカートに付いた草や泥を払って、それから歩き始めた。
実夜と美香は共に高校一年生。クラスメートだ。同じバスを利用するという縁から仲良くなり、学校の帰りにバス停まで一緒に歩いて行くのが毎日の習慣となっている。
今日も多少のトラブルはあったものの、その習慣は継続されるようだ。
「今日はこっちから帰らない?」
実夜は少し帰路を辿ったところで、本来進む道とは外れた脇道を指さして言った。
「こっちってたしか廃墟街の方じゃなかったか?」
「そうだよー」
廃墟街。
十年前までは活気のある街だったが、今ではもう誰も住んでおらず、その不気味さからめったに人が寄り付かなくなってしまった場所。と、実夜は母から教えられている。当然、実夜も美香も足を踏み入れたことは一度もない。
「廃墟街なんて女子高生二人で通るような場所じゃないだろ……何がいるかわからんし」
「うん、そうなんだけどね。でもさ廃墟街を通って行った方が近道なんだよ」
「いくら近道って言っても流石に危険すぎるって」
「でも早く行かないと、バスが」
「あ、そうか……」
実夜が道路で寝てしまったことで、いつもの時間よりも大幅に遅れて帰ることになった二人。確かにこのまま普通に歩いて行ってはいつものバスには乗れない。そうなれば家に着くのが約八十分時間遅れることになる。
「前からちょっと行ってみたいなって思ってたんだよねー、あはは。肝試し的な?」
「実夜はいっつも軽いよなー。もうちょっと慎重になった方がいいぜ? まあ、あたしは実夜のそういうとこ嫌いじゃないけどさ」
「私も美香ちゃんの意外としっかりしてるところ、すっごい好きだよー」
「そーかい」
「はいじゃーおっけーおっけー行きますか! レッツ肝試し!」
実夜は意気揚々と廃墟街へと踏み込んで行った。
* * *
廃墟街に突入し二分後、実夜は激しく後悔することとなった。
「なにここ……めっちゃ怖いんですけど!?」
実夜は廃墟街を舐めていた。
風化してボロボロになった建物達。そのどれもがかつて人が生活していた頃の面影を微妙に残していて、見ていると胸が痛くなる。
生き物だけでなく、街もいつかは死んでしまうものなんだと実夜は知った。
一方美香の方は、
「あ、猫がいた。可愛いな」
と余裕のようである。
「ねえ、やっぱり戻らない? やっぱ廃墟街なんて来ちゃダメだったんだって」
「実夜が行こうって言いだしたんだろー。もっと肝を試そうぜ」
「もう肝試しはいいよっ! 十分試したよ! 試した結果無理ってことが分かったんだよ! ってうわああ!?」
実夜の叫びに驚いたカラスがカーカー鳴きながら一斉に飛び立ち、それにまた実夜がビビって叫ぶ。なんともうるさい奴だった。
そんな感じで廃墟街を進んで行く二人だった。
数分歩いたところで、美香は突然立ち止まった。
「ここは商店街か?」
シャッターが閉じられた店たちが両側をズラリと並び、一本道を造っている。天井のカラフルなガラスを通った夕焼けが辺りを照らし、世界を色とりどりに変えていた。
「ほら見てみろよ、実夜。すげー綺麗だぜ」
美香の背中に隠れ、青ざめた表情で足元を見つめ続ける実夜に向かって美香は言った。
「綺麗……?」
実夜は恐る恐る顔を上げた。
そして「わぁ!」と感嘆の声を漏らした。
「ほんとだ、すごい……なんか、めっちゃ不思議な感じ!」
実夜はすっかり恐怖を忘れ、幻想的な景色を眺める。
今まで『人気のなさ』というのは、廃墟の恐怖感を増大させるものでしか無かったが、ここでは商店街の現実離れした雰囲気に、一層の非日常感を与えるのに一役買っていた。
「すげーな。学校の近くにこんな場所、あったんだ」
二十メートルくらい進んだところで、二人は足を止めることになった。
「なにあれー」
「封筒……か?」
道の真ん中に、廃墟街には似合わない綺麗な茶封筒が二つ、無造作に置かれていた。二人は小走りでそれに近づき、それぞれ一つづつ拾った。
そして、目を疑う。
「え、どうして私の名前が?」
封筒の表には、大きく『露木 実夜 様』と印刷されていた。実夜の本名である。
封筒の中には折り畳まれた手紙が入っていた。
「あたしも同じだ……あたしの名前が書かれてる」
『雨音 美香 様』と印刷された封筒を持った美香が言った。
「私たち宛に誰かがここに置いてったってことだよね。普通に手渡せばいいのに」
「なんかのイタズラなんじゃねーの? ほら、羽橋のやつとか、こういう意味不明なイタズラ好きだろ?」
「あー、あの『ラブレター事件』の羽橋くんね」
『ラブレター事件』とは、羽橋が、高田(♂)と雛塚(♀)になりすまし、双方にラブレターを送り付けたという、一連のイタズラのことだ。
この後本当に足立と波風は付き合うことになり、二人を馬鹿にするだった羽橋は逆に感謝されてしまったらしい。
「こりゃ中身が気になるな」
「ラブレターが入ってるかも?」
「さて、じゃ開けてみようぜ」
なんてやり取りをしつつ、二人はそれぞれ封を破り、中から取り出した手紙をそれぞれ読み始めたのだった。
以下その内容
《露樹 実夜様。
初めまして。突然のお手紙申し訳ございません。
・概要
さて、早速本題に入らせていただきます。
我々GZCは、新型の銃を開発することを目標に活動しております。
そして二年前、GZCは晴れて目標の通り四種類の新型の銃を開発することに成功しました。どれも開発者達のアイデアが詰まった、前衛的な性能となっています。
しかし、このプロジェクトまだ完全に成功したわけではありません。
開発しただけではただの自己満足。使用者が満足してこその銃です。
そこで我々は、モニター調査を行うことにしました。
その内容は、四人それぞれに我々が開発した四種類の銃を渡し、モニターとして戦って頂きます。その戦闘の様子によって、我々の銃が我々の製品足り得るかを判断するというものです。
これまで四回に渡り、この調査を行ってきました。結果はどれも良好です。
ここで、露樹様にお願いしたいことがございます。
露樹様に、最終モニター調査の、モニターの一人になっていただきたいのです。
我々が開発した四種類の銃には、共通して目指していることがあります。それは、初心者でも十分に扱えるものであるということです。手馴れた熟練者から、初めて触る初心者まで、幅広い層に向けた銃。それが私たちの目指す物なのです。
したがって、最終モニター調査は初心者が銃で戦った場合、どのような結果が得られるのかを試すことが目標となっており、査定の結果、露樹様は今回の調査のモニターにふさわしいと判断されました。
・最終モニター調査
露樹様にはモニターの一人として、他の三人のモニターと戦っていただきます。
勝利したモニターには賞金として十億円が支払われます。
勝利条件は最後の一人になるまで生き残ることです。
銃の使用及び戦闘が許されるのは午後十時三十分から午後十一時までの三十分間です。
銃は既に説明書と共にご自宅に届いてあります。
・モニター
最終モニター調査のモニターは以下の四名となっています。
・露樹 実夜 様
・雨音 美香 様
・吉祥 凛 様
・黒野 クレア 様
以上となります。
勝手なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
GZCプロジェクト一同》
「なんだこれ……実夜、これどう思う?」
「すごいなーって思うよ。私ならこんなに長い文章読むのだって頭痛くなっちゃうのに」
実夜はこめかみを押さえながら言った。どうやら本当に頭が痛いらしい。実夜はもっと本を読んだ方がいいと美香は切に思った。
「いやすごいとかじゃなくてだな……つーかお前、これが羽橋が書いたやつだって思うわけか?」
「うん。そうだよ? 美香ちゃんは違うの?」
実夜は「うーん」と唸り悩みながら、
「違うとも言いきれないんだが……そうだとも思えない」
と、どっちともつかないような答えを述べた。
美香は、引っかかるところがあるとそれを考えずにはいられない性格らしく、その引っ掛かりが気持ち悪くて仕方がないようだ。
「あはは、銃で戦うとかさ、生き残りをかけて勝負とかさ、そんなことあるわけないじゃんかー」
「それについては同感なんだが……でもこれイタズラっていうのとは違うというか……少なくとも羽橋の書いた物じゃない気がするんだよなー。うーん、わからん! もういいやめんどくせえ!」
美香の積み重ねた思考のジェンガは音を立てて崩れ落ちた。
頭にモヤモヤを残してご機嫌ナナメな美香に構わず、難しいことなど何も考えていない実夜は言った。
「帰ろっか。バス行っちゃうよ」
例えるなら、暗く深い海の底を漂っているかのような感覚。できることなら、永遠にこうしていたい。そんな欲望に駆られる。
実夜を海の底から引き揚げようとするのは、親しみのある声だった。その声は頭の中をガンガン響き、実夜を現実へと引き戻そうとする。
うるさい、やめて。
あと五分でいいから。
あと、ごふん。
「何があと五分だ! 起きろ実夜! お前どこで寝てると思ってんだ! ここ道路のド真ん中だぞ!?」
美香の叫びに、目をうっすらと開けた実夜。
そして第一声。
「ふにゃ……美香ちゃん? あ、おはよぉ……ふぁわぁ」
「早く立ち上がれ! そして歩け! とりあえず道路から出るぞ!」
美香は実夜の肩を抱え、道路脇の草っ原にサルベージし、そこでもなお眠ろうとする実夜に往復ビンタ。これにはさすがの未夜も目を覚ましたようだ。
「……うん? ここどこ?」
「あたしが聞きてーわ。お前そこの道路のド真ん中でぐっすり寝てたんだからな?」
「道路のド真ん中!? なんでそんな所で寝てるのさ」
「だからあたしが聞きたいっての……」
美香は「はー疲れた」と言って腰を降ろした。
制服のスカートが少し汚れたが、彼女は気にするような性格ではない。
「なんかごめんねー。ありがとー」
実夜は反省の色を見せない笑顔で言った。
「急にいなくなっちゃうし、電話しても全然出てくねーと思ったら、まさか道路で寝てるとは思いもよらなかったよ。車に轢かれたかと思ってマジでビビったわ」
「えへへっ」
「『えへへ』じゃないっての……」
「いやでも不思議なこともあるもんだよね。気がついたら道路で寝てたなんて、怪奇現象だよ。『世にも奇妙な物語』だよ」
「どうせ昨晩夜更かししてたんじゃねーの?」
「えぐざくとりー! 今日の朝三時半までスマブラやってました」
「早く寝ろよ!」
美香は「よっこらせ」と立ち上がり、スカートに付いた草や泥を払って、それから歩き始めた。
実夜と美香は共に高校一年生。クラスメートだ。同じバスを利用するという縁から仲良くなり、学校の帰りにバス停まで一緒に歩いて行くのが毎日の習慣となっている。
今日も多少のトラブルはあったものの、その習慣は継続されるようだ。
「今日はこっちから帰らない?」
実夜は少し帰路を辿ったところで、本来進む道とは外れた脇道を指さして言った。
「こっちってたしか廃墟街の方じゃなかったか?」
「そうだよー」
廃墟街。
十年前までは活気のある街だったが、今ではもう誰も住んでおらず、その不気味さからめったに人が寄り付かなくなってしまった場所。と、実夜は母から教えられている。当然、実夜も美香も足を踏み入れたことは一度もない。
「廃墟街なんて女子高生二人で通るような場所じゃないだろ……何がいるかわからんし」
「うん、そうなんだけどね。でもさ廃墟街を通って行った方が近道なんだよ」
「いくら近道って言っても流石に危険すぎるって」
「でも早く行かないと、バスが」
「あ、そうか……」
実夜が道路で寝てしまったことで、いつもの時間よりも大幅に遅れて帰ることになった二人。確かにこのまま普通に歩いて行ってはいつものバスには乗れない。そうなれば家に着くのが約八十分時間遅れることになる。
「前からちょっと行ってみたいなって思ってたんだよねー、あはは。肝試し的な?」
「実夜はいっつも軽いよなー。もうちょっと慎重になった方がいいぜ? まあ、あたしは実夜のそういうとこ嫌いじゃないけどさ」
「私も美香ちゃんの意外としっかりしてるところ、すっごい好きだよー」
「そーかい」
「はいじゃーおっけーおっけー行きますか! レッツ肝試し!」
実夜は意気揚々と廃墟街へと踏み込んで行った。
* * *
廃墟街に突入し二分後、実夜は激しく後悔することとなった。
「なにここ……めっちゃ怖いんですけど!?」
実夜は廃墟街を舐めていた。
風化してボロボロになった建物達。そのどれもがかつて人が生活していた頃の面影を微妙に残していて、見ていると胸が痛くなる。
生き物だけでなく、街もいつかは死んでしまうものなんだと実夜は知った。
一方美香の方は、
「あ、猫がいた。可愛いな」
と余裕のようである。
「ねえ、やっぱり戻らない? やっぱ廃墟街なんて来ちゃダメだったんだって」
「実夜が行こうって言いだしたんだろー。もっと肝を試そうぜ」
「もう肝試しはいいよっ! 十分試したよ! 試した結果無理ってことが分かったんだよ! ってうわああ!?」
実夜の叫びに驚いたカラスがカーカー鳴きながら一斉に飛び立ち、それにまた実夜がビビって叫ぶ。なんともうるさい奴だった。
そんな感じで廃墟街を進んで行く二人だった。
数分歩いたところで、美香は突然立ち止まった。
「ここは商店街か?」
シャッターが閉じられた店たちが両側をズラリと並び、一本道を造っている。天井のカラフルなガラスを通った夕焼けが辺りを照らし、世界を色とりどりに変えていた。
「ほら見てみろよ、実夜。すげー綺麗だぜ」
美香の背中に隠れ、青ざめた表情で足元を見つめ続ける実夜に向かって美香は言った。
「綺麗……?」
実夜は恐る恐る顔を上げた。
そして「わぁ!」と感嘆の声を漏らした。
「ほんとだ、すごい……なんか、めっちゃ不思議な感じ!」
実夜はすっかり恐怖を忘れ、幻想的な景色を眺める。
今まで『人気のなさ』というのは、廃墟の恐怖感を増大させるものでしか無かったが、ここでは商店街の現実離れした雰囲気に、一層の非日常感を与えるのに一役買っていた。
「すげーな。学校の近くにこんな場所、あったんだ」
二十メートルくらい進んだところで、二人は足を止めることになった。
「なにあれー」
「封筒……か?」
道の真ん中に、廃墟街には似合わない綺麗な茶封筒が二つ、無造作に置かれていた。二人は小走りでそれに近づき、それぞれ一つづつ拾った。
そして、目を疑う。
「え、どうして私の名前が?」
封筒の表には、大きく『露木 実夜 様』と印刷されていた。実夜の本名である。
封筒の中には折り畳まれた手紙が入っていた。
「あたしも同じだ……あたしの名前が書かれてる」
『雨音 美香 様』と印刷された封筒を持った美香が言った。
「私たち宛に誰かがここに置いてったってことだよね。普通に手渡せばいいのに」
「なんかのイタズラなんじゃねーの? ほら、羽橋のやつとか、こういう意味不明なイタズラ好きだろ?」
「あー、あの『ラブレター事件』の羽橋くんね」
『ラブレター事件』とは、羽橋が、高田(♂)と雛塚(♀)になりすまし、双方にラブレターを送り付けたという、一連のイタズラのことだ。
この後本当に足立と波風は付き合うことになり、二人を馬鹿にするだった羽橋は逆に感謝されてしまったらしい。
「こりゃ中身が気になるな」
「ラブレターが入ってるかも?」
「さて、じゃ開けてみようぜ」
なんてやり取りをしつつ、二人はそれぞれ封を破り、中から取り出した手紙をそれぞれ読み始めたのだった。
以下その内容
《露樹 実夜様。
初めまして。突然のお手紙申し訳ございません。
・概要
さて、早速本題に入らせていただきます。
我々GZCは、新型の銃を開発することを目標に活動しております。
そして二年前、GZCは晴れて目標の通り四種類の新型の銃を開発することに成功しました。どれも開発者達のアイデアが詰まった、前衛的な性能となっています。
しかし、このプロジェクトまだ完全に成功したわけではありません。
開発しただけではただの自己満足。使用者が満足してこその銃です。
そこで我々は、モニター調査を行うことにしました。
その内容は、四人それぞれに我々が開発した四種類の銃を渡し、モニターとして戦って頂きます。その戦闘の様子によって、我々の銃が我々の製品足り得るかを判断するというものです。
これまで四回に渡り、この調査を行ってきました。結果はどれも良好です。
ここで、露樹様にお願いしたいことがございます。
露樹様に、最終モニター調査の、モニターの一人になっていただきたいのです。
我々が開発した四種類の銃には、共通して目指していることがあります。それは、初心者でも十分に扱えるものであるということです。手馴れた熟練者から、初めて触る初心者まで、幅広い層に向けた銃。それが私たちの目指す物なのです。
したがって、最終モニター調査は初心者が銃で戦った場合、どのような結果が得られるのかを試すことが目標となっており、査定の結果、露樹様は今回の調査のモニターにふさわしいと判断されました。
・最終モニター調査
露樹様にはモニターの一人として、他の三人のモニターと戦っていただきます。
勝利したモニターには賞金として十億円が支払われます。
勝利条件は最後の一人になるまで生き残ることです。
銃の使用及び戦闘が許されるのは午後十時三十分から午後十一時までの三十分間です。
銃は既に説明書と共にご自宅に届いてあります。
・モニター
最終モニター調査のモニターは以下の四名となっています。
・露樹 実夜 様
・雨音 美香 様
・吉祥 凛 様
・黒野 クレア 様
以上となります。
勝手なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
GZCプロジェクト一同》
「なんだこれ……実夜、これどう思う?」
「すごいなーって思うよ。私ならこんなに長い文章読むのだって頭痛くなっちゃうのに」
実夜はこめかみを押さえながら言った。どうやら本当に頭が痛いらしい。実夜はもっと本を読んだ方がいいと美香は切に思った。
「いやすごいとかじゃなくてだな……つーかお前、これが羽橋が書いたやつだって思うわけか?」
「うん。そうだよ? 美香ちゃんは違うの?」
実夜は「うーん」と唸り悩みながら、
「違うとも言いきれないんだが……そうだとも思えない」
と、どっちともつかないような答えを述べた。
美香は、引っかかるところがあるとそれを考えずにはいられない性格らしく、その引っ掛かりが気持ち悪くて仕方がないようだ。
「あはは、銃で戦うとかさ、生き残りをかけて勝負とかさ、そんなことあるわけないじゃんかー」
「それについては同感なんだが……でもこれイタズラっていうのとは違うというか……少なくとも羽橋の書いた物じゃない気がするんだよなー。うーん、わからん! もういいやめんどくせえ!」
美香の積み重ねた思考のジェンガは音を立てて崩れ落ちた。
頭にモヤモヤを残してご機嫌ナナメな美香に構わず、難しいことなど何も考えていない実夜は言った。
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