桃太のおだんご(隠語)は大人気

ぱぴっぷ

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これは予想通りだった!!

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 プレゼントを渡して約一週間、色々と騒がしかったが、ようやく落ち着いて来た。


 ◇


「ありがとうございます! わぁ…… 桃太さんの作るみたらし団子みたいで可愛いですね! 早速みんなでお揃いで付けて写真撮りましょう!」

「うっ、うぅっ…… ありがとう桃太ぁ…… あたし達のために、こんな可愛いプレゼントを選んでくれて…… うわぁーん! 愛してるぞ、桃太ぁぁ!!」

 あっれぇ…… 美鳥と輝衣の反応が、想像していたのと逆だったな。

 とにかく喜んでくれたので選んで良かったけど…… おい、千和!! 

「桃くんありがとね、お礼はたっぷりするから…… んむっ」

 コ、コラっ!! どさくさに紛れて何を…… これは予想通りだった!! 


 それはもう想像以上に喜んで、三人からたっぷりお礼も頂き、くたくたになってしまった。

 小さな飾りの付いた余りごちゃごちゃとしてないブレスレットなので、ずっと付けていても邪魔にならないし、プレゼントした日以降みんな肌身離さず使ってくれているから、プレゼントした俺としては嬉しいのだが

「あら、可愛いブレスレット付けているわね」

「へへっ、そうですか? へへへっ」

「千和ちゃんも同じのを付けているのね」

「えへへっ、そうなんですよ、ねっ、桃くん?」

「桃太ちゃんまで同じのを…… これは、そういう事なのかしら? これはスクープよ! それじゃあまた来るわねー!」

「「ありがとうございましたー!」」 

 …………

 最近近所を歩いていると、ニヤニヤとこっちを見られたり『おめでとう』と声をかけられる。

 何が『おめでとう』なのかは分からないが、三人が近所のおばちゃん達にブレスレットを見せびらかしている場面は何度か目撃した事があるので、関係ありそうな気がする。

 特に美鳥に関しては、近所の人には美鳥がHATOKOであることはバレているし口止めもしているので大丈夫だが、あまり変な噂になるような事は控えた方がいいと思うんだけど。

 当の本人は余程嬉しかったのか、近所の常連さんが来るたびに見せびらかしているけどな。

 輝衣も両親に報告したと言ってたけど、何を報告したんだ?

 しまいには千和のおばさんから……

「あらあら! 桃くん、いつも千和がお世話になってるけど、やっと貰ってくれる決心がついたのね! 千和は大人しい子だけど気のきく優しい子だからきっと桃くんに尽くしてくれると思うわよ、あっ、もし子供がデキたら私達もサポートしてあげるから安心してね? でもしばらくは二人で色々楽しみたいのかしらね? あっ、二人じゃなくて美鳥ちゃんと輝衣ちゃんもいるから四人でお楽しみって事よね! でも桃くんって若いわねぇ、うちのパパも歳を取ったけどあっちはまだまだ現役で、週末になったらワンワン言わされているのよ? あらやだ、こんな話を桃くんに言ったら千和に怒られちゃうわね! じゃあ桃くん頑張ってね、千和はきっと私に似て、昼は忠犬、夜は狂犬だろうけど、桃くんならきっと大丈夫! 千和に精の付くものたくさん作ってもらいなさいね! あっ、もうこんな時間! スーパーのタイムセールに遅れちゃう! じゃあまたね! バイバイ桃くん!」

 相変わらずのマシンガントークで、相づちを打つ間もなく喋り倒していったりと、色々と大変だったなぁ。


 ◇


「桃太? おーい、聞いてるかー?」

「あ、あぁっ、すまん、なんだっけ?」

「だーかーらー! フルーツ団子はどれくらいずつ作るんだ?」

「そうだったな、えーっと……」

 団子屋はおかげさまで繁盛しているが、やはり新商品がないと飽きられてしまうと思い、輝衣の実家から大量に送られてくる果物を使った団子を期間限定の数量も限定で販売しようと決めた。

 今日はその初日なのだが、どれくらい作ればいいか予想出来ず、つい別の事を考えてしまっていた。

 それに、また美鳥が雑誌の取材で、つい『お団子』の事を話してしまったらしいので、余計に予想出来なくなっている。

「フルーツ白玉あんみつは三十、フルーツ団子もみかん、りんご、イチゴをそれぞれ三十本にしておくか、あとはいつも通りに、みんな頼んだぞ」

 今日はみんな居るので少し多めにしておいて、今日の売上でこれからどれくらい提供するか決めよう、営業してみないと分からないからな。

「任せて下さい!」

「新商品、売れるといいね」

「よし、頑張るぞー!」

 みんな、ありがとう。
 でも、左腕を曲げて握った拳を胸の前に持ってくるポーズを三人ともしているけど、それは何なの? ……ああ、お揃いのブレスレットを見せたいのね、某筋肉芸人の真似かと思ったよ。


 それから役割分担をして開店準備をする。
 俺がこねた生地を千和が丸め茹でる。
 茹で上がったら美鳥が串に刺して、俺が焼いていく。
 
 その間に輝衣は果物をカットしたり、千和がみたらしやあんこの準備、完成した物を美鳥が次々とショーケースに並べていく。

「やん!」

「ひゃっ!」

「んんっ!」

 よし、今日も順調だ! 後は間に合ってない所をみんなでカバーしつつ……

「桃太さん、モモはまだですよぉ……」

「スイカは、まだ早いよぉ」

「も、桃は優しく扱えよ?」

 ……どうした、みんな? 手が止まってるぞ。

「はぁ…… いつもの事ですけど」

「中途半端に調理されると……」

「こっちも出来上がっちゃうぞ?」

 一体何の話だ? うわっ! 危ないからくっついて果物を押し付けてくるな! 

「作ったんですから後でちゃんと食べて下さいね」

「ダメだよ桃くん、食べ物を粗末にしちゃ」

「その代わり、あたし達もちゃんと食べるから」

 な、何を?

「「「お・だ・ん・ご」」」

 ……いつものパターンだな。


 やる気が出てきた三人を制止しつつも開店の時間になる。
 すると外にはもうお客さんが並んでいた。

「数量限定だって、どんな団子なんだろうね」

「HATOKOがSNSで投稿していたのを見たら、食べてみたくなっちゃった」

「……この団子を食べればメロンになれるらしいわ」

 おい美鳥! 更に宣伝していたのか!? しかもまた誤情報を流して…… お客さん、メロンにはなれないと思いますよ。

「だって…… せっかくみんなで意見を出し合って完成した新商品が売れなかったら悲しいじゃないですか」

 ああ、ごめん美鳥! そうだよな、俺達のために良かれと思ってやってくれたんだもんな、だからそんなにしょんぼりしないでくれ! 

「あーあ桃太、せっかく美鳥がみんなのために宣伝してくれたのに」

「これは桃くんが悪いね…… 後でしっかり、たーっぷり慰めてあげないとね!」

「うぅっ…… 慰めてもらいますぅ…… みんなで」

 ……はい、頑張ります。
 
 とにかく! 今日も営業開始だ!


 ◇


「ふーん『吉備団子店』ですか……」

「はい、老舗の団子店ですが最近若者にも人気があるようで」

「人気もあると…… 仕方ないですわね、直接交渉した方が早そうですわ」

「では、お嬢様」

「ええ、今すぐ向かいますわ」

「かしこまりました」
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