波のように生きてきた私へ ―仮死状態で生まれた命の記録―

cocohera

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第1章「祈りの中で生まれた命」②

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小節2:母の背中と安心の記憶

保育器から出た私は、母の腕の中に戻った。  
その瞬間、世界が少しだけ柔らかくなった気がした。  
母の肌の温もり、心臓の鼓動、呼吸のリズム――それらが私を包み込んでくれた。  
私は、ようやく「誰かの中にいる」感覚を取り戻したのだと思う。

母の背中は、私にとって世界のすべてだった。  
その広さ、なだらかさ、安心感。  
背中に抱きついて眠ると、世界は静かで、やさしかった。  
何も怖くなかった。  
何も疑わなかった。  
私は、母の背中の中で、命を確かめていた。

母は、私の小さな変化にすぐ気づいた。  
少し熱が出ると、すぐに冷えピタを貼ってくれた。  
泣き声が違うと、すぐに抱き上げてくれた。  
そのすべてが、私にとって「生きていていいんだよ」というメッセージだった。

母の声は、私の世界の音楽だった。  
優しくて、少し高くて、時々歌のようだった。  
その声に包まれていると、私は安心して眠ることができた。  
眠りの中で、私は世界とつながっていた。

背中に抱かれていた記憶は、今でも私の中に残っている。  
大人になった今でも、誰かの背中を見ると、あの頃の安心感が蘇る。  
それは、私の命の原風景なのだと思う。

母の背中は、ただの身体の一部ではなかった。  
それは、私にとって「居場所」だった。  
誰にも邪魔されない、誰にも奪われない、私だけの場所。  
その場所があったから、私は生きることを選び続けられた。
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