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第2章 自由だった、あの幼稚園の時間 ③
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小節3:冒険と発見――年中の行事と消防車
年中になると、幼稚園の世界はぐっと広がった。
ただ遊ぶだけの毎日から、「冒険」と呼べるような体験が増えていった。
そのひとつが、お泊まり保育だった。
夜の幼稚園は、昼間とはまるで違う顔をしていた。
暗くなった教室、懐中電灯の光、先生の優しい声。
友達と並べた布団の中で、私はなかなか眠れなかった。
でも、それが楽しかった。
誰かの寝言に笑い、誰かの寝返りに驚き、夜の静けさに耳を澄ませた。
芋掘りでは、土の匂いが鼻をくすぐった。
親と一緒に参加する行事は、どこか誇らしかった。
母がそばにいてくれるだけで、私はいつもより元気になった。
土を掘る手が真っ黒になっても、芋を見つけた瞬間の喜びは何にも代えがたかった。
その芋を家に持ち帰って、家族で食べたときの味――
それは、今でも記憶の中に残っている。
お遊戯会では、衣装を着て舞台に立った。
練習のときは恥ずかしかったけれど、本番では思いきり笑って踊った。
誰かに見られることが、少し怖くて、でも嬉しかった。
拍手の音が、私の心をくすぐった。
運動会では、誰よりも速く走りたかった。
靴紐を何度も結び直して、スタートラインに立った。
走っているとき、風が頬をなでた。
その感覚が、私には「生きている」ことの証のように思えた。
そして、休み時間の消防車。
園に寄付されたその赤い車体は、私たちの冒険の舞台だった。
ハンドルを握って「出動!」と叫ぶと、世界が広がった。
友達と交代で乗り込み、サイレンの真似をして笑い合った。
その時間が、私にとって「自由の象徴」だった。
今でも消防車を見ると、胸が高鳴る。
あの頃の興奮が、身体のどこかに残っている。
年中の私は、よく笑っていた。
友達もたくさんいた。
誰かが転ぶと手を差し伸べ、誰かが泣くと背中をさすった。
その優しさは、遊びの中で自然に育っていった。
その元気さは、冒険の中で輝いていた。
幼稚園は、私にとって「発見の場所」だった。
新しいことに出会い、知らなかった自分に気づく。
その連続が、私の心を育ててくれた
年中になると、幼稚園の世界はぐっと広がった。
ただ遊ぶだけの毎日から、「冒険」と呼べるような体験が増えていった。
そのひとつが、お泊まり保育だった。
夜の幼稚園は、昼間とはまるで違う顔をしていた。
暗くなった教室、懐中電灯の光、先生の優しい声。
友達と並べた布団の中で、私はなかなか眠れなかった。
でも、それが楽しかった。
誰かの寝言に笑い、誰かの寝返りに驚き、夜の静けさに耳を澄ませた。
芋掘りでは、土の匂いが鼻をくすぐった。
親と一緒に参加する行事は、どこか誇らしかった。
母がそばにいてくれるだけで、私はいつもより元気になった。
土を掘る手が真っ黒になっても、芋を見つけた瞬間の喜びは何にも代えがたかった。
その芋を家に持ち帰って、家族で食べたときの味――
それは、今でも記憶の中に残っている。
お遊戯会では、衣装を着て舞台に立った。
練習のときは恥ずかしかったけれど、本番では思いきり笑って踊った。
誰かに見られることが、少し怖くて、でも嬉しかった。
拍手の音が、私の心をくすぐった。
運動会では、誰よりも速く走りたかった。
靴紐を何度も結び直して、スタートラインに立った。
走っているとき、風が頬をなでた。
その感覚が、私には「生きている」ことの証のように思えた。
そして、休み時間の消防車。
園に寄付されたその赤い車体は、私たちの冒険の舞台だった。
ハンドルを握って「出動!」と叫ぶと、世界が広がった。
友達と交代で乗り込み、サイレンの真似をして笑い合った。
その時間が、私にとって「自由の象徴」だった。
今でも消防車を見ると、胸が高鳴る。
あの頃の興奮が、身体のどこかに残っている。
年中の私は、よく笑っていた。
友達もたくさんいた。
誰かが転ぶと手を差し伸べ、誰かが泣くと背中をさすった。
その優しさは、遊びの中で自然に育っていった。
その元気さは、冒険の中で輝いていた。
幼稚園は、私にとって「発見の場所」だった。
新しいことに出会い、知らなかった自分に気づく。
その連続が、私の心を育ててくれた
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