毎朝俺の悲鳴から始まる!世話焼き幼馴染の溺愛治療

えなが つぐみ

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7-1 パンティ眼鏡

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ピピピ……ピピピ……

「ん……朝?」
目覚まし時計のアラームで起きた俺は、自分の服が昨日のままだということに気がついた。

「俺、あのまま寝ちゃったのか」
優成に告白された昨晩、気持ちが落ち着かずベッドでドタバタしてたらいつの間にか寝ていたらしい。

俺は会社に行く前にシャワーを浴びようと思い、ベッドから抜け出した。

脱衣所で服を脱ぎ裸になって、風呂場の扉を開ける。
そして鏡に写る自分の姿を見てふと気づく。

「あれ、今日も女か」
昨日と同じ股間の形状。
最近は毎日性別が変わっていたせいか、何か違和感を感じた。

この股間が変わっても変わらなくても、以前の俺のように騒ぐことはない。
それに、優成に告白されたばかりだ。
俺から会いに行くことは、今は出来そうになかった。

シャワーで汗を流して脱衣所に戻った。
「あ、そういえば新しいパンツ買ったんだった」
俺は裸のままリビングに戻り、下着屋の紙袋を開けた。
するとそこには俺が選んだボクサーパンツの他に、あの劇物どエロパンティが1枚紛れ込んでいた。

「こ、このパンティは……」
俺はフリフリシースルーの白いパンティを人差し指と中指で摘んで持ち上げた。
形は至って普通なのに、この薄い生地とかわいいフリルが淫猥さを醸し出している。

「ど……どエロい」
ゴクリと一度唾を飲み込み、俺はおもむろにパンティを目元に当ててみた。
さながらパンティ眼鏡だ。

「すごいぞ……薄すぎて向こう側が透けて見える」
俺がパンティの感想を呟いた瞬間だった。

──ガチャ。

  
突然、玄関が開く音がして振り返るとそこには……
目が点になり、生ゴミでも見たかのような顔で優成が立っていた。

「…………」
薄い生地越しに見える優成と、パンティを顔にかけたまま固まる俺。

「お前……性癖が特殊過ぎんだろ」

「いやあぁぁぁ!」
俺は咄嗟に悲鳴を上げて、顔面を両手で隠した。

「いや、隠すなら体隠せよ」
優成の的確な指摘を受けて、俺は急いでベッドに潜り込んだ。

「優成っ!どうやって入ってきたんだ!?」
俺は布団から顔だけを出して優成に怒鳴りつけた。

「普通に開いてたぞ。昨日閉め忘れた?」

あ、そういえば昨日は寝落ちして、鍵閉め忘れてたんだ。

「それならインターホン押せよ!」

「押したわ!
しばらく待っても出てこないから、ドアノブ押してみたら開いたんだよ」

シャワーの音で聞こえなかったのか……。
俺のとぼけた顔を見て優成はため息をついた。

「お前さ、不用心にも程があるだろ。
せめて鍵閉めてから風呂に入れよ」

「……全く持ってそのとおりです」


冷静になった俺は、自分が真っ裸だと改めて思い出し、突然恥ずかしくなってきた。
昨日の告白のせいで、本人を目の前にして裸でいるのはとても気まずい。
自然と、布団の端とパンティを握る手に力が入った。

「……そういえばこのパンティ、なんで袋に入ってたんだよ」
布団から手だけを出して、どエロパンティを優成に見せた。

「昨日お前が欲しそうにしてたから、ついでに買っておいた」

「欲しそうになんてしてないだろ!」

「何度もチラ見してたじゃん。
まさか顔に被るとは思ってなかったけどな」

え……まじで?
俺、無意識に何度も見ちゃってたの?

優成の冷めた視線が、布団を貫通して俺の羞恥心をえぐる。

「くそっ……童貞に劇物は禁止なんだよ」
俺は頭まで布団を被って現実逃避した。




すると優成は、ゆっくりとベッドに近づき、俺に声をかけてきた。
「体は?大丈夫か?」

さっきまでとは違う優しい声に、俺は顔だけ布団から出して、隣でしゃがんでいる優成と視線を合わせた。

「今日は女だった」

「え?」
俺の言葉に、優成は目を見開き固まった。

「世利、男に戻ってないのか?」

「うん。俺、てっきり1日置きに変わるのかと思ってたから、少し違和感あったけど……」

優成は顎に手を当てて、視線を床に落とした。
「俺は……世利に告白したらこの現象がなくなると思ってたんだけど」

優成の口から直接“告白”という言葉を聞いて、昨晩を思い出した俺は狼狽えた。

「そ、そ、そんなことで解決しないだろ!
そもそも、この現象がレイチェルのせいだって決めつけるのは、まだ早い気がする!」

昨日は突然のことでレイチェルや占いの話をしっかり理解できてなかったけど、一晩経って俺も冷静になっていた。

俺がまくし立てた言葉を聞いて、優成は顔を上げた。

「お気楽な世利がまともな事を言ってる……」

「おい!誰がお気楽童貞だって?!」

「そこまで言ってねーだろ」
優成は吹き出すように笑った。
そして、視線を合わせてからゆっくりと俺の頬に手を添えた。
予期せぬ甘い雰囲気に俺の心臓が早鐘を打ち始めた。

「ゆ、ゆうせ……」
俺の頬を撫でる指先に体がビクッと反応する。

「今朝、お前が家に来なかったから、嫌われたのかと思ったんだ……」
少し悲しそうな、ホッとしているような声で優成が告げた。

「そんなつもりは、なかったよ。
ただ、今朝はシャワーも浴びたかったし。
逃げたわけじゃ……ないんだ」
俺は何故か言い訳のようなことを言っていた。
別に言い訳なんてしなくてもいいのに……。

「それなら良かった」

優成の優しい眼差しから目が反らせない。
こんな甘ったるい空気に慣れてない俺は、我慢が出来なくなってきた。

「お、おおお俺、会社に行かなきゃ……」

「そうだな。俺もだ」
そう言って優成はスッと立ち上がった。
しかしすぐに体をかがめ顔を近づけてきた。

「優成……?」
すぐ目の前にある吐息。
唇に触れる予感に、体が動かなくなる。

──チュッ

「また後でな」

そして優成は今度こそ俺の家から出ていった。
閉じた扉を確認した俺は、のそのそとベッドから這い出た。


……体が熱い、心臓が激しく暴走している。

「はぁ……」
触れ合った唇を指先でなぞる。

嫌じゃなかった……。
安心するような、不安になるような、得体のしれない胸の高鳴りを感じた。

それだけで恋と決めつけていいのか俺にはわからなくて、優成への返事を先送りにしていた。
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