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9-1 占い師☆見習い魔法使いレイチェル
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ピピピ……ピピピ……
翌朝、いつものように目覚まし時計のアラームで起きた俺は、眠い目を擦りながらベッドから立ち上がった。
カーテンを開けると、空には薄く雲が広がり、朝の日差しを遮っている。
「……あんまり眠れなかったな」
昨夜、あれから優成への気持ちを考えていたら、いつの間にか夜中になっていた。
俺は早寝早起きが何よりも得意なのに、まさか恋愛の悩みで寝不足になる日が来るとは……。
「これが、恋愛ってやつなんだな……」
俺は部屋で一人、決め台詞を呟く。
窓ガラスに映る自分のキメ顔を見てしまい、冷静になった俺はそのままトイレに向かった。
いつものようにトイレに入り、ズボンとパンツに手をかける。
女性もののパンツのせいで、いくらか窮屈に感じる。
──ポロンッ
パンツをおろした瞬間、見慣れたマイスイートちんこが控えめに飛び出した。
「今日は男、なのか」
俺はトイレを済ませてリビングに戻ってきた。
ソファに座り、ゆっくりと息を吐き股間に視線を移した。
今日は男だった。
昨日、一昨日は女だった。
なんで不定期なんだ?
もしかして、変化には条件があるのか?
いったい何が条件になってるんだ?
──ピンポーン
玄関のチャイムの音で、俺の思考が遮られた。
ソファから立ち上がり、玄関に向かう。
きっと今朝も優成が心配して見に来てくれたんだろう。
そう思って鍵を開けた。
──ガチャ
「優成、おは…………お、おはようございます」
そこに立っていたのは、優成とは似ても似つかない若い女性だった。
彼女は金色の長い髪を風に揺らし、長いまつ毛に縁取られた大きな目で俺を見つめていた。
「おはよう。世利さん」
薄い唇から可愛らしい声が聞こえた。
「あのぉ……すみません、どちら様ですか?」
俺は頭を掻きながら愛想笑いを浮かべた。
彼女は俺の名前を知っているようだ。
どこかで会った人だっけ?
いや、でもこんな若くてかわいい女の子と知り合ってたら忘れるわけがない。
「はじめまして。
あたしは、三ツ木梓《みつき あずさ》」
どうやら、俺たちは初対面らしい。
失礼にならずに済んで俺は少しホッとした。
しかし三ツ木さんは、次に衝撃の言葉を発した。
「あと、レイチェルって名前で占いをしてたの」
「っええ?!
……レ、レイチェルぅ?!!」
その名前を聞いた瞬間、驚きで声が裏返った。
忘れもしないその名前は、2日前に優成から聞いたばかりだ。
「き、君があの、“占い師☆見習い魔法使いレイチェル”なの?」
情報過多のその名前を確認しながら、三ツ木さんを指差した。
「うん、あたしがその“レイチェル”」
そう言って、三ツ木さん……もとい、レイチェルはにっこりと笑った。
俺はレイチェルを頭からつま先まで不躾に観察した。
彼女は見たところ今どきの普通の女の子のようだ。
少し馴れ馴れしくはあるけど、嫌な印象はなかった。
身なりも清潔で、メイクもしている。
想像していた“レイチェル”と、全く違う彼女に俺は拍子抜けした。
きっと、先にトモロウに出会ったせいで占い師のイメージが偏ってしまったんだ。
「とりあえず、入って」
俺は扉を大きく開き、レイチェルを家に招き入れようとした。
しかし、彼女はすぐに首を振った。
「ううん、今はここで。
平日の朝だし、世利さんも忙しいでしょ?」
「それは、そうだけど。
でも俺は君と話がしたいよ」
「大丈夫、わかってるよ。
だから、夜にまた来るから。今はそれだけ伝えに来たの」
そう言って彼女は俺に紙を渡してきた。
そこには、LINEのIDが書かれていた。
「これは、君の?」
「それ、トモロウの連絡先」
「トモロウの?!」
「うん、あたし今スマホないの」
今どきスマホを持ってないのは珍しいな。
そういえば、詐欺罪で捕まってたとか言ってたっけ…?
「わかった。夜に待ってればいいんだね。
優成も呼ぶよ?」
「世利さんがいいなら。
でも、それは今夜決めたほうがいい」
レイチェルはそう言って俺に微笑み、生ぬるい風に吹かれた金色の髪がふわりと揺れた。
「まぁ、優成も忙しいやつだしな」
「うん、そうだね。それじゃ、また夜に」
それだけ言い残し、廊下の先にあるエレベーターに乗ってレイチェルは姿を消した。
しばらくエレベーターの扉を眺めていた俺は、隣の家の物音で我にかえり、扉を閉めて部屋に戻った。
「あの子が、レイチェル」
彼女には聞きたいことが山ほどある。
俺のところに来たということは、この体の変化に関係していることは間違いなさそうだ。
優成にも早く知らせないと。
そこで、俺はふと疑問が湧いてきた。
「あれ、レイチェルはなんで俺の家に来たんだ?」
しかも、今夜の話し合いに優成は誘ってないような話しぶりだった。
とにかく、優成に相談してからだな。
俺は今夜の話し合いに向けて優成と相談するために、急いで朝の支度をした。
出社の準備が終わり、出かけがてら優成の家に向かった。
しかし、今日に限って優成は早めに家を出ていたようで直接話し合うことはできなかった。
俺は、LINEを開き優成にメッセージを送ろうとした。
「レイチェルが来たこと言ったほうがいいよな」
文字を打ち始めた瞬間、ふいにレイチェルの言葉が頭をよぎる。
──でも、それは今夜決めたほうがいい
俺は打っていた文字を1文字ずつ消していった。
どうせ今夜話すことなんだから、そんな急いで伝える必要もないのか?
優成にレイチェルが来たことは夜に言おう。
何故かレイチェルに会ったことを今すぐ言わなくていい気がして、LINEの文章を書き直した。
『今夜、俺の家に来て』
「これでいいだろ」
俺はスマホをポケットにしまい、アパートの廊下から空を見上げた。
灰色に広がる薄い雲は、段々と重くなっている気がする。
いつもお気楽な俺だけど、なんだか今日は胸がざわつく。
優成に会えなかっただけで、こんなに不安になるなんて。
自分の情けなさを鼻で笑いながら、俺はゆっくりとエレベーターに向かった。
翌朝、いつものように目覚まし時計のアラームで起きた俺は、眠い目を擦りながらベッドから立ち上がった。
カーテンを開けると、空には薄く雲が広がり、朝の日差しを遮っている。
「……あんまり眠れなかったな」
昨夜、あれから優成への気持ちを考えていたら、いつの間にか夜中になっていた。
俺は早寝早起きが何よりも得意なのに、まさか恋愛の悩みで寝不足になる日が来るとは……。
「これが、恋愛ってやつなんだな……」
俺は部屋で一人、決め台詞を呟く。
窓ガラスに映る自分のキメ顔を見てしまい、冷静になった俺はそのままトイレに向かった。
いつものようにトイレに入り、ズボンとパンツに手をかける。
女性もののパンツのせいで、いくらか窮屈に感じる。
──ポロンッ
パンツをおろした瞬間、見慣れたマイスイートちんこが控えめに飛び出した。
「今日は男、なのか」
俺はトイレを済ませてリビングに戻ってきた。
ソファに座り、ゆっくりと息を吐き股間に視線を移した。
今日は男だった。
昨日、一昨日は女だった。
なんで不定期なんだ?
もしかして、変化には条件があるのか?
いったい何が条件になってるんだ?
──ピンポーン
玄関のチャイムの音で、俺の思考が遮られた。
ソファから立ち上がり、玄関に向かう。
きっと今朝も優成が心配して見に来てくれたんだろう。
そう思って鍵を開けた。
──ガチャ
「優成、おは…………お、おはようございます」
そこに立っていたのは、優成とは似ても似つかない若い女性だった。
彼女は金色の長い髪を風に揺らし、長いまつ毛に縁取られた大きな目で俺を見つめていた。
「おはよう。世利さん」
薄い唇から可愛らしい声が聞こえた。
「あのぉ……すみません、どちら様ですか?」
俺は頭を掻きながら愛想笑いを浮かべた。
彼女は俺の名前を知っているようだ。
どこかで会った人だっけ?
いや、でもこんな若くてかわいい女の子と知り合ってたら忘れるわけがない。
「はじめまして。
あたしは、三ツ木梓《みつき あずさ》」
どうやら、俺たちは初対面らしい。
失礼にならずに済んで俺は少しホッとした。
しかし三ツ木さんは、次に衝撃の言葉を発した。
「あと、レイチェルって名前で占いをしてたの」
「っええ?!
……レ、レイチェルぅ?!!」
その名前を聞いた瞬間、驚きで声が裏返った。
忘れもしないその名前は、2日前に優成から聞いたばかりだ。
「き、君があの、“占い師☆見習い魔法使いレイチェル”なの?」
情報過多のその名前を確認しながら、三ツ木さんを指差した。
「うん、あたしがその“レイチェル”」
そう言って、三ツ木さん……もとい、レイチェルはにっこりと笑った。
俺はレイチェルを頭からつま先まで不躾に観察した。
彼女は見たところ今どきの普通の女の子のようだ。
少し馴れ馴れしくはあるけど、嫌な印象はなかった。
身なりも清潔で、メイクもしている。
想像していた“レイチェル”と、全く違う彼女に俺は拍子抜けした。
きっと、先にトモロウに出会ったせいで占い師のイメージが偏ってしまったんだ。
「とりあえず、入って」
俺は扉を大きく開き、レイチェルを家に招き入れようとした。
しかし、彼女はすぐに首を振った。
「ううん、今はここで。
平日の朝だし、世利さんも忙しいでしょ?」
「それは、そうだけど。
でも俺は君と話がしたいよ」
「大丈夫、わかってるよ。
だから、夜にまた来るから。今はそれだけ伝えに来たの」
そう言って彼女は俺に紙を渡してきた。
そこには、LINEのIDが書かれていた。
「これは、君の?」
「それ、トモロウの連絡先」
「トモロウの?!」
「うん、あたし今スマホないの」
今どきスマホを持ってないのは珍しいな。
そういえば、詐欺罪で捕まってたとか言ってたっけ…?
「わかった。夜に待ってればいいんだね。
優成も呼ぶよ?」
「世利さんがいいなら。
でも、それは今夜決めたほうがいい」
レイチェルはそう言って俺に微笑み、生ぬるい風に吹かれた金色の髪がふわりと揺れた。
「まぁ、優成も忙しいやつだしな」
「うん、そうだね。それじゃ、また夜に」
それだけ言い残し、廊下の先にあるエレベーターに乗ってレイチェルは姿を消した。
しばらくエレベーターの扉を眺めていた俺は、隣の家の物音で我にかえり、扉を閉めて部屋に戻った。
「あの子が、レイチェル」
彼女には聞きたいことが山ほどある。
俺のところに来たということは、この体の変化に関係していることは間違いなさそうだ。
優成にも早く知らせないと。
そこで、俺はふと疑問が湧いてきた。
「あれ、レイチェルはなんで俺の家に来たんだ?」
しかも、今夜の話し合いに優成は誘ってないような話しぶりだった。
とにかく、優成に相談してからだな。
俺は今夜の話し合いに向けて優成と相談するために、急いで朝の支度をした。
出社の準備が終わり、出かけがてら優成の家に向かった。
しかし、今日に限って優成は早めに家を出ていたようで直接話し合うことはできなかった。
俺は、LINEを開き優成にメッセージを送ろうとした。
「レイチェルが来たこと言ったほうがいいよな」
文字を打ち始めた瞬間、ふいにレイチェルの言葉が頭をよぎる。
──でも、それは今夜決めたほうがいい
俺は打っていた文字を1文字ずつ消していった。
どうせ今夜話すことなんだから、そんな急いで伝える必要もないのか?
優成にレイチェルが来たことは夜に言おう。
何故かレイチェルに会ったことを今すぐ言わなくていい気がして、LINEの文章を書き直した。
『今夜、俺の家に来て』
「これでいいだろ」
俺はスマホをポケットにしまい、アパートの廊下から空を見上げた。
灰色に広がる薄い雲は、段々と重くなっている気がする。
いつもお気楽な俺だけど、なんだか今日は胸がざわつく。
優成に会えなかっただけで、こんなに不安になるなんて。
自分の情けなさを鼻で笑いながら、俺はゆっくりとエレベーターに向かった。
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