毎朝俺の悲鳴から始まる!世話焼き幼馴染の溺愛治療

えなが つぐみ

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17-2 呪いが解けた証拠は──

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俺は改札を抜けて、駅の出口に向かった。
周りには、俺と同じようにスーツを着ている人たちが、家に帰るために急ぎ足で歩いていた。
俺も人の波に乗って歩こうと足を動かすけど、その一歩が酷く重い気がした。

朝、優成と一緒にこの道を歩いたときは、あんなに体が軽かったのに……。

優成からの連絡がないだけで、こんなにも不安になってしまう。
胸の奥がそわそわとして、ずっと落ち着かない。

俺は今までどれほど優成に頼りきっていたんだろう。

呪いで性転換したときだって、優成に相談しただけで気持ちが軽くなっていた。
俺は優成が隣にいるだけで、どんな深刻なことが起きても安心して考えることができる。

俺にとっての優成は心の支えなんだ。


目の前の信号が赤になり、俺は横断歩道手前で足を止めた。
対面に背の高いサラリーマンを見つけて、気づけばまた優成のことを思い浮かべていた。


──優成にとっての俺はどうなんだろう。
支えになれてたら嬉しいけど……。

でも優成は、恋人になることを諦めて俺との友情に固執していた人だ。
俺と一緒にいて“安心だけ”だったとは思えない。

俺が上半身裸になるだけで、誰にも見せたくないからって服を着せに来てたくらいだ。
俺のことを見てた時間が、安心だけなんてことはない。

むしろ優成は不安でいっぱいだったから、10年間も想いを伝えなかったんじゃないか?
その“不安”こそが、俺と優成の友情の違いなんじゃないか?

「っ……」
息を呑んだ。
そのことに気がついた瞬間、目の前が一気にクリアに見えてきた。

いつの間にか信号が青に変わっていたらしく、人混みが俺を追い越していく。
俺も慌てて周りの波に乗る。



──世利さんなら違った答えを見つけられるかもしれないよ

占いの館を出てから、レイチェルの言う“違った答え”をずっと探している。

俺はさっきまでその手掛かりすら思いつかなかったのに、今は答えを掴んでいるような気持ちになっていた。

もし、10年間の思いを別の形に変えるなら、俺と同じ気持ちを持たせればいい。

つまり──俺が優成を安心させるんだ。

その方法はまだ思いつかない。
それでも、優成の不安を一つずつ消していくことが、過去への気持ちの変化にも繋がる気がした。


もうすぐアパートが見えるところまで帰ってきていた。
もしかしたら、優成が帰ってきているかもしれない。
俺はそんな淡い期待を抱いて、さっきより少し軽くなった足を意識して動かした。

アパートに着くと、すぐにエレベーターに乗り3階のボタンを押した。
そして、扉が開くと同時に優成の家に向かった。

──ピンポン
静かな廊下にインターホンの音が響いた。


「…………」
俺はその場でしばらく待ってみたけど、中からの応答はなかった。

優成に伝えたいことがたくさんあるのに。
こんなに優成に会いたいと思ったことは初めてだ。

そういえば、レイチェルに会いに行った結果も報告しなきゃいけない。

『呪いは解けている』

レイチェルは軽く答えただけだったけど、優成は証拠もなしに納得してくれるかな。

…………。
いや、絶対に納得しない。
あの理性ガチガチ男のことだ。
何か証拠がないと、また『俺は髪の毛一本触れない』なんてことを言い出すに決まってる。

俺は優成の家の玄関に背中を預けて、呪いが解けた証拠を考えた。

優成の呪いの代償は重い。
でも、それと同じくらい、触れられない現実が俺には深刻な問題だった。

本当のことを言うと……。
とにかく俺は、優成に触れたいんだ。
俺は眉間にしわを寄せ、必死に考えた。


そもそも、レイチェルの呪いは不完全だった。
俺の性別をちゃんと確認しなかったせいで、性的接触で性別がコロコロ変わるような仕様になっていた。

最初の頃、俺は毎朝変わる性別に驚いて、トイレで絶叫していた。
今となって考えると、それが呪いのせいで、しかもレイチェルの想像した性器なのが信じられない。

……
…………

「……そうだ、そうだった。
呪いの性器はレイチェルの想像だから、パイパンまんこか、EDちんこなんだ」

答えに気づいた俺は、つい声に出してしまっていた。
一見、とんでもなく卑猥な不審者発言だけど、今の俺にとっては間違いなく探していた答えだった。

はっとした俺は、勢い良くアパートの廊下を駆け出した。
階段を一段飛ばしで駆け上がり、一つ上の階の自分の部屋を目指した。


呪いが解けた証拠は──ずっとここにあったんだ。

玄関の鍵を開けて勢い良く部屋に入った。
靴を脱いでその場で荷物を放り投げ、俺は一気に下半身の服を脱ぎ捨てた。
……そう、パンツまで。

「俺の体が呪いが解けた証拠になる」

部屋の電気を点け、急いでカーテンを閉める。
そして仁王立ちになり、俺は意を決してちんこを握った。

「待ってろよ、優成!」

俺の口から戦隊ヒーロー顔負けの台詞が飛び出した。

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