毎朝俺の悲鳴から始まる!世話焼き幼馴染の溺愛治療

えなが つぐみ

文字の大きさ
47 / 50

18-1 俺が優成を大好きだってこと

しおりを挟む
優成から返信が来たのは、22時を過ぎた頃だった。
風呂上がりの俺は急いでLINEを確認した。
どうやら優成はトラブルの対応に追われていたらしく、俺に連絡する時間も取れなかったようだ。

優成はいつもより元気がなく、文面からでも疲れが滲んでいた。
俺は通話もしたかったけれど、今夜は我慢することにした。

それに──
『俺も世利に会って抱きしめたい』
この糖度100%の言葉をもらったおかげで、通話を我慢できたと言ってもいい。

はぁ……恋人同士の甘いやり取りエグいって。

俺はベッドに寝転びながら、緩んだ顔でスマホを見ていた。
そして、LINEを返すために指を動かした。

『いつ頃帰れそう?』

早く帰ってきて欲しくて、忙しいとわかっているのにそんなことを聞いてしまった。

その時の優成の返信は早かった。
『順調なら日曜の夜になりそう』

日曜の夜ってことは、今日が木曜日だから──
俺は卓上カレンダーに目をやった。
「三日後じゃん……」

今の俺にとっては、気が遠くなるほど先に感じられた。
ため息とともに体の力が抜けていき、そのままベッドに寝転んだ。

俺は見慣れた天井を眺めてから、ゆっくりとまぶたを閉じた。
風呂上がりの火照った体が、静かに冷めていくのを感じる。


優成は日曜日に帰ってくるんだ。
俺は、これから自分のやるべきことを頭の中に思い浮かべた。

まず優成に会う前にいくつか準備をしなくちゃいけない。
それと優成を安心させる方法も見つけないと。
あとは……ちゃんと仕事も行かなきゃだよな。

そう思うと3日なんて短いほどだ。


俺は目を開いてガバっと起き上がった。
そして、優成に返信する。

──トトト……
優成が安心してくれるような言葉を選んでいく。

『3日後に会えるの楽しみだ!』
『仕事頑張りすぎるなよ』

そして最後に、俺の持ってるスタンプの中で唯一かわいい気がしてる、足が生えてる大根のスタンプを送った。
『おやすみ』




その夜、俺は優成からの返信を待たずに眠ってしまった。
夢も見ないで爆睡して、気がついたら朝だった。

その日から、優成が帰って来るまでの期間で準備を始めた。
優成に会えないのは寂しかったけど、何かをするにはあっという間だ。

その間も俺たちはお互いに連絡を取り合っていた。
優成から返信が来るたびに、仕事中だろうとスマホに飛びついて返事をした。
スマホを睨みつける俺を心配して、塩野に軽く声をかけられたほどだ。

「先輩……そんなスマホばっかり気にして、どうしたんすか。
人質でも取られてるんすか?」


そうこうしていると、待ちに待った優成が帰ってくる日曜日になっていた。

『16時頃に帰る』
そんな連絡が来てから約半日。
俺はアパートの自分の部屋で、優成の帰りを待っていた。
壁掛時計を見ると、16時を10分くらい過ぎていた。

俺はいつもなら10分なんて気にもならないのに、今日ばかりはその時間を永遠に感じていた。
我慢できなくなった俺は優成に連絡をしようとスマホを持ち上げLINEを開いた。
その瞬間──

ピンポーン

インターホンが鳴ったと同時に俺は立ち上がり、玄関に駆け出した。

鍵を開けて思い切り扉を開けると、そこには待ち望んだ人が立っていた。

「優成!」

「世利、ただいま」
優成は茶色のパーカーに黒のパンツ姿で、一度着替えてからここに来たことがわかった。

「おかえりっ!」
俺は両手を広げて、優成に抱きつこうと足を一歩近づける。
すると案の定、優成は俺から一歩後退りした。
目の前の理性ガチガチ男を、俺は無言で睨みつけた。

「そんな顔しても駄目だ」
優成は困ったように笑った。
俺は呪いが解けていることをすぐにでも伝えたかったけれど、まずは優成を家に招き入れることにした。



──コトン

俺はリビングのテーブルに冷たい麦茶を二人分置いた。
カーペットの上に直に座る優成は、グラスを手に取り麦茶を一気に飲み干した。

「はぁ……急いで来たから喉カラッカラだった」
優成は空のグラスをテーブルに置くと、ベッドに腰掛けた俺に顔を向けた。

「世利、それでレイチェルとの話はどうだった?」
優成の真剣な表情を見つめて、俺は一度拳を握った。
これから話す内容を考えると、胸がドキドキと激しく動き出す。

俺は小さく息を吸って口を開いた。
「レイチェルとトモロウから聞いた話を全部伝えるよ」

優成は俺を見て小さく頷く。
俺は部屋の隅に置いた荷物をちらっと見てから、もう一度優成に向き直った。

「それと、ひとつ信じて欲しいことがある」

「……信じて欲しいこと?」
不思議そうな顔をして優成は俺を見つめた。
そして俺はそのまま話を続ける。

「うん、俺が優成を大好きだってことは信じて欲しいんだ」
俺の言葉に、優成は目を丸くしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

ばぶばぶ保育園 連載版

雫@不定期更新
BL
性癖全開注意で書いていたばぶばぶ保育園を連載で書くことにしました。内容としては子供から大人までが集まるばぶばぶ保育園。この園ではみんなが赤ちゃんになれる不思議な場所。赤ちゃん時代に戻ろう。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

処理中です...