伝説となる少年の成り上がり

時雨古鷹

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第一章

決闘

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「始め!!」

 審判のその合図と同時に俺は縮地を使い相手との距離を詰めた。それと同時に木剣を一振り。しかしその一撃は読まれていたようで防御される。

「今のは焦ったね。しかし…本当に五歳児かい?」

 俺はその問いかけには答えなかった。その代わりに魔法で答えた。木剣に炎を宿した。そしてありったけの力を込めた。相手の騎士が吹き飛ばされる。俺はその隙を突きもう一度縮地を使った。

「ま…参った」

 俺が木剣を首元すれすれで止めると相手が降参した。騎士の言葉を聞いた審判が勝利宣言をした。

「ライト公爵護衛騎士の降参の言葉により勝者、エルヴィン・ルイス・ステュディ!!「おい!!俺と戦え!今のはなしだ」」

 納得していない人がいたのか。ライト公爵の息子が怒鳴った。しかしこれに反論するのは俺ではなく陛下だ。

「これ、ライト公爵!!!息子をとめんか」

「陛下、いや…貴様もその男爵風情の味方をするのか?それなら2人まとめてつぶしてやる」

 ライト公爵親子は剣、それもライト公爵に代々伝わる剣だ。逸話によると破壊は不可能で自己修復機能も備えているという話も残っている。その剣を見た陛下は叫んだ。

「ライト公爵、国家反逆罪及び国家転覆罪で死刑となる。念のため王国騎士団を呼んで来い!!あの剣が逸話通りだととらえるのに時間がかかる」

 それを聞いた陛下の護衛騎士が騎士団寮に走っていった。

「いまだ!!覚悟しろ」

 陛下を守る護衛騎士がいなくなったのを見計らってライト公爵は木剣を投げた。木剣といえども剣に変わりはない。殺傷能力はないが当たれば腕や足が切り落とされる場合がある。

「父様危ない!!」

 王女殿下の声が響く。しかし陛下は恐怖に支配されたようで動けなかった。俺はとっさに土魔法で陛下の前に壁を出現させ陛下の危機を救った。それと同時に軽く殺気を放った。その殺気にライト公爵本人は震えて失禁していたが息子のほうはピンピンしていた。鑑定してみると耐性を持っていた。

「父上は失禁してしまったが…俺にはそんなのは効かねぇなぁ。世界を託された者のおかげでね!!さて…エルヴィンといったか、まずはお前から殺させてもらうぜ」

 そう言うと相手は失禁した自分の父の手に握られていた剣を抜き突進してきた。俺は剣を破壊しようと木剣に魔力を流し込んだ。そして横に飛び剣の腹を思いっきり切った。しかし相手は剣が切られても動揺もせず刀身がない剣を振ってきた。

「忘れたのかぁ!!この剣は自己修復ができるんだよ。魔力を流し込めばな!!」

 俺はその言葉を聞いて我に返った。急いでよけようとするがそれもかなわず俺は自己修復した剣に貫かれた。

「エルヴィン!!」

 父上と陛下が叫ぶ。他の貴族たちも俺を心配し叫んだ。相手はにやりと笑いいった

「これが世界を託された者の力だ。これさえあれば世界を征服できる…」

 そう言って剣を抜いた。俺の腹からは血があふれ出している。しかし俺は高らかに笑った。

「な、何が可笑しい!!というかなぜ死なない」

「いや、そんなに自分の力を過信するのか。しかし残念だったね。確かに貫かれたのは俺がその剣の能力を忘れていたからだ。はっきりと言おう。君は弱い」

 そこまで言った時陛下が叫んだ。

「ライト公爵親子を殺してくれ!!」

 それと同時に練習場に声が鳴り響く。

【僕は創世神アキセル。エルヴィン・ルイス・ステュディに神々の代行者という称号を授けよう。世界を託された者と偽る愚か者に天罰を】

 その瞬間俺の髪や目の色が虹色に輝き俺自身も光った。

「神様からの言葉も聞いたことだし、本気出しますか【パーフェクトヒール】」

 俺が魔法を唱えると体が元に戻った。俺は頭に浮かんできた神様からの天罰魔法を日本語で唱えた。

「我は神の代行者、そして世界を託された者である。神が与える称号を持っていないにも関わらず持っていると偽った人間に天罰を【神の稲妻】」

 そう唱えると天から虹色の稲妻がライト公爵親子めがけて降り注いだ。そして神の稲妻を受けた二人は首だけを残し絶命した。
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