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深夜0時の鐘が鳴る
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晶は、4人兄妹の末っ子だった
自由奔放な両親のスノウとホワイト
勝手気儘な兄のミスラ・オーエン・ブラッドリーに振り回され、兄達にこき使われて暮らしていた
「晶、今日の晩飯は何ですか?俺は消し炭がいいです」
「僕は、ほっぺたが落ちるくらい甘いデザートが食べたい」
「俺様は肉だ、肉!はやく持って来いよ」
「消し炭!」
「甘いもの!」
「肉!」
「すぐに用意します…!」
大体、こんな日常だ
両親のスノウとホワイトは放任主義なので、気まぐれに晶を甘やかしては兄達の面倒を押し付ける
そんな日常に、晶は疲れ果てていた
ある日、お城から招待状が届いた
どうやら王子様の結婚相手を探しており、若い娘や魔法使いの伴侶を見つける為の舞踏会を開くそうだ
「むむっ!ホワイトちゃん、これはチャンスじゃ!」
「我らの手には負えぬ息子達を、女子として嫁がせるのじゃな!」
この国の人口の半分は魔法使いである
魔法使いは何にでも変身出来るので、性別を変える事も可能だ
スノウとホワイトは、片方が女性に変身して兄妹を出産した
どちらが産んだのかは不明だが…
兄達が舞踏会に参加すると聞いて、晶も舞踏会に出たいと両親にせがんだ
「えー、駄目駄目!晶ちゃんは、お嫁には出さぬのじゃ!」
「我らの元で、ずっーと可愛い娘のままでいてほしいのじゃ!」
なんとも自分勝手な両親である
晶は、自分の部屋で一頻り泣いた
すると突然、部屋の中に魔法使いが現れた
ムルと名乗ったその魔法使いは、晶に美しいドレスと硝子の靴、南瓜で作った馬車をプレゼントした
「人生は楽しまなくちゃ勿体ない!」
そう言ったムルに感謝して、晶は馬車で舞踏会へ向かった
舞踏会の会場には、退屈そうに自身の結婚相手を探す王子のフィガロがいた
「美人が揃ってるけど、どの娘も惹かれないなあ…」
なにやら、会場のご馳走を貪り食う3人娘がいるが、見目以外は論外だろう
3人娘は、王子様に一切興味が無い様子だ
「おや?」
すると…遅れてやって来た1人の娘に、王子は釘付けになった
その娘の素直そうで初々しい仕草に、王子は一目で恋をした
「やあ、お嬢さん。俺と一曲、踊ってくれない?」
「わ、私…ですか?」
「うん。さあ、お手をどうぞ。お姫様」
晶は、王子様の手を取って踊った
華やかな舞踏会において、互いしか見えないほど夢中になって甘い時間を過ごした
「ん?あれって、晶…?」
女性に変身していたオーエンが、晶の存在に気付いた
「へぇ…随分楽しそうだね…」
オーエンは、なにやら悪い笑みを浮かべている
そんなオーエンの様子など知る由もない晶は、王子様にバルコニーへ誘われ、生まれて初めてのキスをした
幸せな時間に夢見心地の晶は、ムルに言われていた制限時間についての約束を忘れていた
「深夜0時に、この魔法は解けちゃうから、それまでにはお家に帰るんだよ!」
お城の大時計が深夜0時の鐘を鳴らす
ようやく、ムルに言われた約束を思い出した晶は、慌ててお城から飛び出した
晶の意外な脚の速さに、フィガロは晶を取り逃がしてしまう
しかし、晶が落とした硝子の靴に気が付いて、これを手掛かりに晶を探し出そうと決意する
スノウとホワイトが晶の不在を心配して、屋敷の周辺を探し回っていた
「晶ちゃーん!どこに行ってしもうたんじゃー!」
「晶ちゃーん!ほれ、サクリフィキュウムも待っておるぞー!」
スノウとホワイトは、なにやら落ち込んだ様子の晶を見つけた
「もう!晶ちゃんってば、どこ行ってたの!?」
「親に心配掛けるでない!」
「ごめんなさい…」
晶は王子様との短い逢瀬を忘れられず、その日は眠れずに夜を明かした
それからしばらくして、お城から使者がやって来た
晶が落としてしまった硝子の靴にぴったり合う娘を探しているのだそう
「なんですか?これ…」
「王子の探し人を見つけるんだとよ」
「ふぅん…硝子の靴、ね…」
「我ら魔法使いじゃから、変身すればぴったり合うはずじゃ!」
「じゃが、履いてみなければサイズがわからんのう…」
「あ…あの、それは私の…!」
「ふふっ…」
名乗り出ようとした晶に対して、オーエンは長い脚を引っ掛けて転ばせた
転んだ拍子に、晶は硝子の靴を割ってしまった…
「あーあ…ざーんねーん」
オーエンは、晶を虐めるのが大好きなのだ
転んだ晶を見て、意地悪く笑っている
大事な硝子の靴を割られた使いの者は大激怒
晶を無礼者として、お城に連行した
王子様の御前に突き出された晶は、処罰を恐れて震えていた
しかし…晶の顔を見た王子様は、一目であの時の女性だと気が付いた
「やあ、あの時のお嬢さん。俺は、きみを探していたんだ」
「ひ、人違いです…!」
王子様を前にして今の庶民的な服装を恥じた晶は、必死で人違いだと訴えた
だが、王子の目は誤魔化せない
「隠す事はないよ。俺がきみの事を忘れるはずがない」
平伏した晶の手を取ったフィガロは、そのまま流れるように踊り出す
「ほら、あの時と同じ。きみは、あの時のお姫様だ」
「はうぅ…」
好きな人にすっぴんを見られた恥ずかしさを感じながらも、晶は少しずつフィガロとのダンスに夢中になった
「わーん!晶ちゃんがお嫁に行ってしまったのじゃー!」
「可愛げのない息子達は売れ残ってしまったのじゃー!」
「晶…もう、この家には居ないんですね。それなら、俺も出て行きます」
「晶が居ないんじゃ、此処に居ても仕方ねぇしな」
「っていうか、僕達魔法使いだし、とっくに成人してるんだから1人でも生きられるし」
ふてぶてしい息子達は、あっさり親元を去った
「子供達も居なくなってしもうたし、また新しい子供を作るかのう♡」
「もう、スノウちゃんってば♡」
「次の子供は、どのような名前にしようかのう?」
「オズ…なんてのは、どうじゃ?」
「おお!流石、ホワイトちゃん!強い魔法使いが産まれそうじゃのう!」
翌年、この国にアーサーという名の王子様が誕生した
国王になったフィガロと王妃の晶は、息子のアーサーをとても深く愛し、育てましたとさ
自由奔放な両親のスノウとホワイト
勝手気儘な兄のミスラ・オーエン・ブラッドリーに振り回され、兄達にこき使われて暮らしていた
「晶、今日の晩飯は何ですか?俺は消し炭がいいです」
「僕は、ほっぺたが落ちるくらい甘いデザートが食べたい」
「俺様は肉だ、肉!はやく持って来いよ」
「消し炭!」
「甘いもの!」
「肉!」
「すぐに用意します…!」
大体、こんな日常だ
両親のスノウとホワイトは放任主義なので、気まぐれに晶を甘やかしては兄達の面倒を押し付ける
そんな日常に、晶は疲れ果てていた
ある日、お城から招待状が届いた
どうやら王子様の結婚相手を探しており、若い娘や魔法使いの伴侶を見つける為の舞踏会を開くそうだ
「むむっ!ホワイトちゃん、これはチャンスじゃ!」
「我らの手には負えぬ息子達を、女子として嫁がせるのじゃな!」
この国の人口の半分は魔法使いである
魔法使いは何にでも変身出来るので、性別を変える事も可能だ
スノウとホワイトは、片方が女性に変身して兄妹を出産した
どちらが産んだのかは不明だが…
兄達が舞踏会に参加すると聞いて、晶も舞踏会に出たいと両親にせがんだ
「えー、駄目駄目!晶ちゃんは、お嫁には出さぬのじゃ!」
「我らの元で、ずっーと可愛い娘のままでいてほしいのじゃ!」
なんとも自分勝手な両親である
晶は、自分の部屋で一頻り泣いた
すると突然、部屋の中に魔法使いが現れた
ムルと名乗ったその魔法使いは、晶に美しいドレスと硝子の靴、南瓜で作った馬車をプレゼントした
「人生は楽しまなくちゃ勿体ない!」
そう言ったムルに感謝して、晶は馬車で舞踏会へ向かった
舞踏会の会場には、退屈そうに自身の結婚相手を探す王子のフィガロがいた
「美人が揃ってるけど、どの娘も惹かれないなあ…」
なにやら、会場のご馳走を貪り食う3人娘がいるが、見目以外は論外だろう
3人娘は、王子様に一切興味が無い様子だ
「おや?」
すると…遅れてやって来た1人の娘に、王子は釘付けになった
その娘の素直そうで初々しい仕草に、王子は一目で恋をした
「やあ、お嬢さん。俺と一曲、踊ってくれない?」
「わ、私…ですか?」
「うん。さあ、お手をどうぞ。お姫様」
晶は、王子様の手を取って踊った
華やかな舞踏会において、互いしか見えないほど夢中になって甘い時間を過ごした
「ん?あれって、晶…?」
女性に変身していたオーエンが、晶の存在に気付いた
「へぇ…随分楽しそうだね…」
オーエンは、なにやら悪い笑みを浮かべている
そんなオーエンの様子など知る由もない晶は、王子様にバルコニーへ誘われ、生まれて初めてのキスをした
幸せな時間に夢見心地の晶は、ムルに言われていた制限時間についての約束を忘れていた
「深夜0時に、この魔法は解けちゃうから、それまでにはお家に帰るんだよ!」
お城の大時計が深夜0時の鐘を鳴らす
ようやく、ムルに言われた約束を思い出した晶は、慌ててお城から飛び出した
晶の意外な脚の速さに、フィガロは晶を取り逃がしてしまう
しかし、晶が落とした硝子の靴に気が付いて、これを手掛かりに晶を探し出そうと決意する
スノウとホワイトが晶の不在を心配して、屋敷の周辺を探し回っていた
「晶ちゃーん!どこに行ってしもうたんじゃー!」
「晶ちゃーん!ほれ、サクリフィキュウムも待っておるぞー!」
スノウとホワイトは、なにやら落ち込んだ様子の晶を見つけた
「もう!晶ちゃんってば、どこ行ってたの!?」
「親に心配掛けるでない!」
「ごめんなさい…」
晶は王子様との短い逢瀬を忘れられず、その日は眠れずに夜を明かした
それからしばらくして、お城から使者がやって来た
晶が落としてしまった硝子の靴にぴったり合う娘を探しているのだそう
「なんですか?これ…」
「王子の探し人を見つけるんだとよ」
「ふぅん…硝子の靴、ね…」
「我ら魔法使いじゃから、変身すればぴったり合うはずじゃ!」
「じゃが、履いてみなければサイズがわからんのう…」
「あ…あの、それは私の…!」
「ふふっ…」
名乗り出ようとした晶に対して、オーエンは長い脚を引っ掛けて転ばせた
転んだ拍子に、晶は硝子の靴を割ってしまった…
「あーあ…ざーんねーん」
オーエンは、晶を虐めるのが大好きなのだ
転んだ晶を見て、意地悪く笑っている
大事な硝子の靴を割られた使いの者は大激怒
晶を無礼者として、お城に連行した
王子様の御前に突き出された晶は、処罰を恐れて震えていた
しかし…晶の顔を見た王子様は、一目であの時の女性だと気が付いた
「やあ、あの時のお嬢さん。俺は、きみを探していたんだ」
「ひ、人違いです…!」
王子様を前にして今の庶民的な服装を恥じた晶は、必死で人違いだと訴えた
だが、王子の目は誤魔化せない
「隠す事はないよ。俺がきみの事を忘れるはずがない」
平伏した晶の手を取ったフィガロは、そのまま流れるように踊り出す
「ほら、あの時と同じ。きみは、あの時のお姫様だ」
「はうぅ…」
好きな人にすっぴんを見られた恥ずかしさを感じながらも、晶は少しずつフィガロとのダンスに夢中になった
「わーん!晶ちゃんがお嫁に行ってしまったのじゃー!」
「可愛げのない息子達は売れ残ってしまったのじゃー!」
「晶…もう、この家には居ないんですね。それなら、俺も出て行きます」
「晶が居ないんじゃ、此処に居ても仕方ねぇしな」
「っていうか、僕達魔法使いだし、とっくに成人してるんだから1人でも生きられるし」
ふてぶてしい息子達は、あっさり親元を去った
「子供達も居なくなってしもうたし、また新しい子供を作るかのう♡」
「もう、スノウちゃんってば♡」
「次の子供は、どのような名前にしようかのう?」
「オズ…なんてのは、どうじゃ?」
「おお!流石、ホワイトちゃん!強い魔法使いが産まれそうじゃのう!」
翌年、この国にアーサーという名の王子様が誕生した
国王になったフィガロと王妃の晶は、息子のアーサーをとても深く愛し、育てましたとさ
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