フィガロと晶のおとぎ話シリーズ

夜千流

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星空の逃避行

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灼熱の砂漠の中に存在する豪奢な王宮…
その王宮から市井を見下ろす少女がいた
この国の王女である晶だ
高貴な身分故、自由に王宮の外へ出られない晶は外の世界に憧れていた

晶はある日、体調を崩して寝込んでしまった
そこへ、新たに晶の専属医になったフィガロが診察にやって来た
若き名医のフィガロは、初めて会った王女の晶に強く惹かれてしまった
晶も、気さくで優しいフィガロに対して好意を抱いた
2人は周囲の人々に内緒で関係を深めていく

「フィガロ、私を王宮の外へ連れ出して下さい」

「うーん…。きみの願いは何でも叶えてあげたいけど…勝手に連れ出したら、俺はきみの御父上に首を刎ねられちゃう」

「そんな…っ」

「今の関係だって、誰かに知られたら俺は腕を切り落とされちゃうかも?」

「…っ!」

「俺が王子様だったら、きみとの関係も認めてもらえたかもしれないね…」

「フィガロ…私、御父様からはやく結婚相手を決めなさいと言われてしまったんです…」

「…そう。きみは、どうしたい?」

「私は…フィガロがいいです…!」

「…分かった。少し準備が必要だから、ちょっとだけ待っててね」

そう言ったフィガロは晶の頬を撫でて、晶の額にキスをした

3日後の深夜…

「晶、迎えに来たよ」

晶の寝室に現れたフィガロが声を潜めて晶を起こした

「フィガロ…?どうやって、私の部屋に…?」

「そこのバルコニーからこっそり入ったんだ」

フィガロは晶の部屋のバルコニーを指差した

「待って下さい、ここは5階ですよ…!?」

「ふふっ、俺に掛かれば大した問題じゃないよ」

フィガロは晶の手を取ってバルコニーへと導く
すると突然、フィガロは手摺りの向こうへと飛び降りた

「フィガロ!!」

晶は悲鳴を上げた

「しぃー…静かにしないと、皆にバレちゃうよ?」

晶の心配を他所に、フィガロは唇に人差し指を当て、再び晶の前に現れた

「フィガロ、どうして…!?」

「驚いた?これ、知り合いの魔法使いから奪っ…借りた魔法の絨毯だよ」

フィガロは、自身の足下を示した

「浮いてる…!?」

「ほら、晶もおいで。俺がきみを連れ去ってあげる」

「連れ去る、って…」

「俺はきみを攫いに来た、って事♡」

「フィガロ…」

晶は迷った
フィガロの手を取る事は、今の身分を捨てる事…
即ち、家族との絶縁を意味していた
しかし、晶は決意した

「…はい。あなたと、共に生きます…!」

晶はフィガロの手を取って魔法の絨毯に乗った
星空の下、2人は愛の逃避行に出た

数ヶ月後…
2人は遠い異国に来ていた
フィガロは医者として、晶は踊り子として日銭を稼ぎながら夫婦関係を築いている

「晶、俺と来たこと…後悔してない?」

「いいえ…私が、あなたを選んだんですよ」

「俺を選んでくれて、ありがとう」

「ふふっ、こちらこそ…攫ってくれて、ありがとうございます」
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