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32話
しおりを挟む建国パーティーまで残り2日となった。
今日はお母様と一緒にお茶を飲みながらゆっくりしている。
時間が経つのって早いよねぇ。
お母様のお腹も随分大きくなって...予定日は再来月だっけ?
産まれるまで性別がわからないのがもどかしいけど、どっちでもめちゃくちゃ可愛がる自信がある。
いやー......アルム様ともお話出来たし、後はスカーレットのことだけだね。
最近、スカーレットは私に話しかけてこなくなったから、どんな状況なのか殿下の報告でしかわからないけど、多分調子にはのってる。
昨日、スカーレットにパーティーで大事な発表があるって言ったみたいだから、ドレスも気合い入れるんじゃないかなぁ...?
急に私が黙ってしまったから
「あら?ナナリー、考え事?」
とお母様が少し心配させてしまった。
まぁ、確かに考え事はしていたんだけどさ。
あ、お母様にも殿下とスカーレットの話は一応している。
建国パーティーでスカーレットが断罪されることも。
お母様は、わかった、とだけ言って頷いていたけど、内心は悲しんでいる、と私は思っている。
だって、自分がお腹を痛めて産んだ子だもん。
悲しくなるよね。
そう思っていると
「お嬢様、ハルト殿下からお届けものです」
そう言ったメイドいわく、私の部屋に置いてあるらしい。
何だろう?
あれ?殿下からの贈り物って、これが初めてじゃない?
「何が届いたんでしょう?」
「気になるなら一旦見に行きましょうか」
そう言ってお母様は立ち上がった。
本当は待っててもらおうと思ったんだけど、
「私も気になるから」
とにこやかに言われちゃうと断れないわ...。
☆★☆
お母様と一緒に自室に入ると、思った以上に大きなプレゼント仕様の箱が置いてあった。
子供1人入れそうな大きさなんだけど......。
そう思いながら戸惑っていると
「まぁまぁ、開けてみなさいな」
とお母様がにこやかに言った。
その言い方は中身が何か、察しているのか?
まぁ、開けるんだけどさ。
箱を開けた1言目は
「わぁ......っ!」
だった。
令嬢らしくないね。
でも驚いたのよ。
横からお母様もひょこっと中身を見ると
「まぁ...!」
と声をあげた。
箱の中身はドレスだった。
それも、ハルト殿下のイメージカラーと言われている赤色。
Aラインドレスの裾にはバラの花が縫い付けられていて、オフショルダーのデザインになっている。
よーく見ると所々にダイヤが付いているように見えるんだけど......これ1着でいくらするんだ?
ドレスと同じ色の手袋と、靴。
それから、殿下の目の色(黄色)をしたアクセサリーも一緒に入っていた。
建国パーティーで、これを着てくるように、ということかな?
胸の前でドレスを当てると思った以上に私に似合うデザインになっていることに気付いた。
お母様も
「凄く似合うわ。ナナリーの為に作ったドレスみたいね」
と言ってくれたから、私の目がおかしいわけではなさそう。
なるほど......これが戦闘服、ということね。
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