悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが？

37話

私が話を一旦区切ってスカーレットを見ると

｢う、嘘よ！お姉様は私と殿下が親密な関係だから嫉妬してるんだわ！｣

ここまで言われてまだそんなことが言えるのか。

それに嫉妬？

ありえないって。

だから、わざと喧嘩を売るように

｢今殿下が言ったじゃない。あなたのことは1度も好いたことがない、と｣

小馬鹿にしたように鼻で笑って言った。

少しは現実を見なさいよって。

スカーレットはまさかそう返されると思っていなかったのか目を見開いて驚いている。

まぁ、今はスカーレットに構っている暇はないんだよね。

まだ続きがあるから大人しく聞いててちょうだい。

ふぅ...と深呼吸をしてから

｢話を続けますね。その事件が起こる少し前、スカーレットは我が家の金庫からお金を盗んだことがわかりました。それと同時に見たことがない高いブレスレットを買っていたことも｣

そう言うと、周りから

｢家の金庫からお金を盗むなんて......｣

｢なんて非道な人なの...！｣

というスカーレットを非難する声が上がり始めた。

｢そのブレスレットは、今スカーレットが付けている......その緑のブレスレットです｣

私がそう言うと、皆バッ、とスカーレットの腕を見てコソコソ話している。

あんなブレスレットを買う為だけにお金を盗むなんて......みたいな感じかな？

するとスカーレットは顔を真っ青にしたまま

｢ち、違うわ！これは貰ったのよ！｣

と言って、必死にブレスレットを隠している。

はぁ......なんでこういうヒロインざまぁ、のときってさ、往生際の悪い人しかいないんだろうね？

もうここまでバレてるんだから大人しく謝った方がいいのに。

なんて思いながら

｢殿下が魅了にかかっている事がわかり、すぐに解除するため聖魔導士を王宮に呼んで解いてもらいました。もう二度と殿下が魅了にかかることはありません｣

私がそう言うと、スカーレットは目を丸くさせて

｢.........は？魅了が解けていた、ですって？｣

キョトンとしている。

まぁ、

｢えぇ｣

私がスカーレットの言葉に頷くと、隣にいた殿下が前に出てきて

｢後は俺が説明しよう。残りの1週間は、スカーレット嬢がナナリー嬢に危害を加えないよう、俺が演技をしていた｣

そう説明した。

会場中が静まり返っていたから、

｢嘘よ.........｣

と呟いたスカーレットの声がよく聞こえてきた。

｢おかげで、ナナリー嬢はスカーレット嬢にそのブレスレットを売った女を捕まえることに集中することが出来た｣

｢嘘よ！嘘よ！｣

まだ状況がわかっていないスカーレットに

｢スカーレット、全て本当のことよ。貴方のやった事はお父様も、お母様も、陛下も王妃様も知っているわ｣

そう言うと、スカーレットは膝から崩れ落ちてしまった。