39 / 41
38話
しおりを挟む「なんで......っ!?私はヒロインだもん......ヒロインを好きにならない人が悪いの......!」
はぁ....こんな状況になってもまだそんなことを.....。
「貴方はヒロインじゃないわ。犯罪者よ」
いい加減に現実を見なさい、いう意味を込めて言ったのに、スカーレットには逆効果だったみたいで
「なんでよ!なんであんたが皆に愛されてんのよ!私の方が可愛いでしょ!私の方がヒロインでしょ!」
目を血走らせながらそんなことを叫んでいる。
全く....別に私が皆に愛されてるなんてことはないだろうけど、何も努力をしてこなかった人に言われたくないよね。
私はそれなりに認められるように....いや、ただアルム様に会いたかっただけなんだけどさ。
でも、頑張ってきたのは確かだからね。
思わずため息をつきながら
「じゃあ貴方は皆に愛されるために何をしたの?勉強は?マナーは?見た目以外に自慢出来る何かがあるの?」
とスカーレットを追い詰めるようなことを言ってしまった。
案の定、
「うるさい!うるさいうるさいうるさい!」
髪の毛を振り乱して叫んでいる。
あー....こりゃ、ダメだな。
もう何を言っても無駄だ、と判断して下がろうとすると
「ナナリー嬢、もう良い」
私が下がる前に殿下が庇うように前に出てくれた。
殿下の隣には、いつの間にか陛下もいたから
「愚妹が申し訳ございません......」
と頭を下げると
「いや、ナナリー嬢には感謝している。ナナリー嬢が居なければハルトはスカーレット嬢に操られたままだったんだからな」
気にするな、と肩を軽く叩いて微笑んでくれた。
「勿体ないお言葉です」
前に出た陛下は、スカーレットをギロリ、と睨みつけ
「さて、スカーレット嬢。そなたの処罰を言い渡す」
そう言うと、スカーレットの肩がビクッと震えた。
やっと自分がやったことの重大さをわかったのかな?
でも、スカーレットがやったことが重罪なのは変わらない。
陛下がどういう判断をしたのか、私にもわからないから緊張しちゃうな。
ドキドキしながら陛下の言葉を待つ。
「はぁ......こんなことをしなければ修道院送りで済んだんだけどな。そなたのやったことは重罪だ」
.....やっぱり修道院じゃあ済まされないよね。
それはスカーレットの自業自得だから仕方がない。
心の中で頷いていると
「王族に対して魅了を使い、王妃の座に収まろうとした。浅はかな考えだ。そなたを斬首刑とする」
「.........は?」
.......え?
私の心の声とスカーレットの声が奇麗に重なった。
斬首刑.....つまり死刑ってことだよね?
.....いや、妥当か。
王太子に魅了を使った理由はしょうもないけど、やったことがまずかったよね。
スカーレットは呆然としてしまっている。
まぁ、死刑判決されたからそうなるよね。
でも
「連れて行け」
と陛下が言ったことで我に返ったみたい。
兵士たちに引きずられながら
「い、嫌よ!私は死にたくないわ!お父様!お姉様!助けてよ!」
と私とお父様に助けを求めだした。
こくこんなことをして助けてもらおうと思うよね。
私にやったこと、忘れたわけじゃないから。
「今までの自分の行いを恨むのね。貴方がヒロインだって勘違いして努力を怠った結果よ」
私がそう言うと、スカーレットは泣き叫びながら会場から消え去った。
終わった.....。
これで終わったんだ。
思わず力が抜けてその場にへ垂れ込むところを殿下が気付いて支えてくれた。
「ナナリー嬢、お疲れ様」
と言った殿下の顔はなんだかスッキリしていたように見えた。
122
あなたにおすすめの小説
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~
糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」
「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」
第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。
皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する!
規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜
みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。
悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。
私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私はただのモブ。
この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。
……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……?
※2025年5月に副題を追加しました。
婚約破棄された悪役令嬢、手切れ金でもらった不毛の領地を【神の恵み(現代農業知識)】で満たしたら、塩対応だった氷の騎士様が離してくれません
夏見ナイ
恋愛
公爵令嬢アリシアは、王太子から婚約破棄された瞬間、歓喜に打ち震えた。これで退屈な悪役令嬢の役目から解放される!
前世が日本の農学徒だった彼女は、慰謝料として誰もが嫌がる不毛の辺境領地を要求し、念願の農業スローライフをスタートさせる。
土壌改良、品種改良、魔法と知識を融合させた革新的な農法で、荒れ地は次々と黄金の穀倉地帯へ。
当初アリシアを厄介者扱いしていた「氷の騎士」カイ辺境伯も、彼女の作る絶品料理に胃袋を掴まれ、不器用ながらも彼女に惹かれていく。
一方、彼女を追放した王都は深刻な食糧危機に陥り……。
これは、捨てられた令嬢が農業チートで幸せを掴む、甘くて美味しい逆転ざまぁ&領地経営ラブストーリー!
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる