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27話
しおりを挟む「ま、待ってくれ!俺は依頼されただけなんだ!」
アンナに拘束されたまま男性がそう叫びました。
そりゃあそうでしょう。
だって、私は貴方となんの接点もありませんもの。
わざわざ私を殺しにくるなんて、依頼された以外理由がありませんわ。
男性が叫んだのに対してお兄様は
「ほぉ?一体誰に、だ?」
と悪い笑みを浮かべました。
絶対誰なのかわかって聞いてますよね。
この場にいる生徒達全員に聞かせるためでしょう。
「それは......」
周りをキョロキョロと見渡しています。
探しているんでしょうね。
数秒間、辺りを見渡した後に
「アイツだ!あそこにいる女がエリザベスという令嬢を殺せと依頼してきたんだ!」
「な......っ!」
男性が指をさしたのは、私達の思っていた通り、リナリーさんでした。
私がちゃんと殺されたのか気になって来ちゃったんでしょうね。
まさか男性が捕まるとは思わずに......。
男性が指をさした方をお兄様がチラッと見てから
「なるほど......だったら事情を聞かなければならないな」
とセルドリック様に向かって頷くと
「リナリー嬢も連れて行け。暴れるようならば多少手荒になっても構わん」
そう言ったと同時に、どこからかセルドリック様の専属護衛が現れました。
王族なので、必ず影という名の専属護衛が付けられているんですよね。
音もなく現れたかと思うと、颯爽とリナリーさんを捕獲しました。
あぁ...やっぱり暴れますよね。
でも令嬢ごときの力では訓練された男性の腕を振り払うことは出来ませんわ。
リナリーさんは少し暴れた後に振り払うのは諦めたのか、今度は
「ちょっと!離しなさいよ!私を誰だと思っているの!?次期王妃になる女よ!」
と叫びだしました。
するとお兄様とセルドリック様が
「男爵家のお前が王妃だと...?笑わせるな!」
「まぁ、安心しろ。お前の家は近いうちに消える」
「はぁ?何言ってんのよ!」
訳が分からないと言うリナリーさんに、セルドリック様は
「まず、税金の横領だろ?それから、隣国とも繋がっているらしいな」
と言いました。
これは......私を殺そうとしなくても男爵家の取り潰しは確定ですね。
税金の横領だけだと、横領した分働いて返せ!ってなるんですけど、隣国と繋がって情報を流していたなんて......1家全員死刑でもおかしくありませんわ。
「し、知らないわよ!そんなの私には関係ないじゃない!」
「あぁ、大丈夫だ。お前には別の罪があるからな。次期王妃に対する侮辱罪、後はエリザベスを殺そうとしたから充分死刑に出来る」
お兄様がそう言うと
「死刑!?なんでよ!エリザベスを殺そうとしただけでしょ!?」
リナリーさんは、まだ事の重大さに気付いていないみたいです。
一応、王太子の婚約者である私を殺そうとするのは重罪ですよ。
まぁ、リナリーさんは今まで当たり前のように行ってきたことですからね。
どれほどのことをしたのか理解できないのも仕方ありませんわ。
「まぁ、話は後で聞こうか。牢屋に入れといて」
セルドリック様の言葉で、護衛の人とアンナにそれぞれ引きずられて行きました。
これで終わったんですかね?
今回は殺されずに済んだのになんでしょう?
また転生したら、と思うと不安が押し寄せてきます。
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