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83話 ブレイドside
しおりを挟むニコニコしながら母上はそう言ってきたが、一体何のことかわからなくて
「えっと....?どういうことですか?」
と尋ねると
「だから、ブレイドも知ってて、私達も知ってる令嬢がいるじゃない。まだ婚約が決まっていない、貴方のことが好きだと散々言っていた子が」
母上はそう言うと、父上のことをチラッと見て微笑んだ。
俺のことを好きだ、と言っていた令嬢......いや、令嬢といって良いのかわからないが、確かに1人だけいる。
でも、母上はそれだけは認めたくないのではなかったのか?
い、いや、でも母上は違う人のことを言っているのかもしれないし.......でも、もし本当に婚約できるのなら......。
淡い期待を胸に、父上のことを見ると、父上も察したみたいで
「お前......まさか!」
と驚いた顔をして母上を見ていた。
すると母上は
「ねぇ、あなた?私は良いと思うわよ?だって、どうせシャルロットの子供に家を継がせるとなるとブレイドの子供はどうするんだ、って話になるじゃない」
うふふ、と優雅に笑って机の上に置いてあるお茶を飲みながらそう言った。
ここでシャルロット、という名前が出るということはそう言うことだよな?
まさかの母上からそんな話が出るとは思っていなかったから驚いたが、でも、父上が何と言うか。
そう思って、とりあえず2人の会話を黙って聞いていると
「今まで散々反対したのに、今更許可を出すと?」
と言った父上は、怒っている、とかではなく戸惑っているみたいだ。
まぁ、急にそんな話が出たら戸惑うよな。
そんな父上を母上が
「私はダメとは言っていないわ。貴方が許可しなかったんじゃない」
そう言ってクスクスと笑っている。
許可とか、反対とか言っている、ということはやっぱりその話なんだよな?
2人の話を聞けば聞くほど、淡い期待から確信に変わっていって頬が緩みそうになるのを堪えるのがやっとだ。
そんな中、父上が
「大体、ブレイドだって急にそんな話をされても困るだろう!妹として接していた相手を!」
と言ったところで、ここまで期待して違っていたら嫌だ、と思った俺は
「ち、父上?母上?さっきから何の話をしているんですか?」
と一応聞いてみた。
いや、わかっているんだ。
何の話をしているか、なんて。
でもやっぱりハッキリと言ってもらいたい。
そして確定してから喜びたい。
そう思ったから。
すると母上は、そんな俺の気持ちを知ってのことかわからないけど
「ブレイドなら私がどう考えているか察しているでしょう?」
そう言ってクスクスと笑っていた。
ま、まぁ、母上にはバレているよな。
わかっているさ。
母上には何も隠し事が出来ないってことくらい。
そう思っていると、母上は
「ほら、貴方もそれが一番いい方法だとわかっているでしょう?直接言ってあげなさいな」
父上の方を見ながらそう言うと、
「む....むぅ.......」
と父上は難しい顔をしながら悩んでいたが、意を決したかのように頷いた後に俺にこう言ってきた。
「シャルロットと婚約したらいい、と言ったらどう思う?」
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