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20話 オーガ達です
しおりを挟むワイバーンが生息しているのは辺境にある山の中だった。
その為、必然的に登山することになるのだが私が皆に身体強化の魔法をかけていたのもあって、思ったよりもすんなり目的地へと進んでいた。
「それにしても、シエラさんの魔法は凄いですね。治癒に結界、身体強化、どれをとっても桁外れの効果ですよ!」
ワールは感心しながらそう言うと、メイリスは満足そうに頷いている。
「確かに、この国に来てから魔法の威力は高くなりましたが攻撃魔法はメイリスの方が凄いんですよ?」
と私が言うとワールはメイリスに尊敬の眼差しを向けた。
そういえば、この依頼を受ける少し前に、メイリスは精霊の姿をハッキリと見ることが出来るようになった。
メイリス曰く、精霊は皆が想像する、小さく手のひらサイズで、背中に羽が生えていて、シンプルなワンピースを着てる...とかなんとか。
精霊が見えるようになってからはメイリスのスピードも攻撃力も格段にアップしていた。
「あっ!そろそろワイバーンの生息地に到着しますよ!!」
とワールが言ったと同時に、少し奥の方から大きな音が聞こえた。
「この音...もしかして、ワイバーンかしら?」
「ここには他の魔物達もいます。ワイバーンとは限らないかと...」
私とメイリスがそう話していると
ドドドドドっ
と何かが近づいてくる音が聞こえてきた。
「あれは...っ」
「オーガだっ!ハイオーガもいる!」
「くっそ!ワイバーンと戦う前にオーガ達はキツイな...っ!」
そんなことを言いながらも戦闘態勢に入ろうとしているワール達を私は止めた。
「シエラさん!?なんで止めるんですか!魔物達はこっちに来てるんですよ!?」
ワールの意見に、他の人達も同じようだが私は違うことを考えていた。
斜め後ろにいるメイリスに向けて
「私にはオーガ達は何かに怯えて逃げている様に見えるんだけど、どう思う?」
と聞いた。
メイリスは右隣を見ながら何かを呟いた後、
「確かに...精霊曰く、私達に対しての戦闘意欲が全く無いみたいですね」
と言った。
私は、さっき大きな音がしたところにワイバーンがいるんじゃないか、と思っていることをワールに伝えると
「余計な戦闘を防いでくれてありがとうございます!」
と感謝されてしまった。
そんなに大したことはしてないんですが...。
お礼を言われるのは悪い気がしません。
そんなことを思いながら、オーガ達から身を守る為に結界を張り直し、先を急いだ。
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