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38話 リオルside
しおりを挟むはぁ、はぁ.........。
なんで俺はこんなに逃げているんだ?
いや、まず誰から逃げているのかもわからない。
もう体力も限界だし.........。
くっそ!カノンの野郎!
きっと刺客を仕向けたのはカノンだ!
だからこんな目にあって......!
そう思っていると
「止まるんだ!別にお前に危害を与えるつもりはない!」
後ろの方からそんな叫び声が聞こえてきた。
クソっ!逃げても逃げても追いかけてきやがる!
本当にしつこいな!
そう思いながら
「うるさい!そんなことを言って俺を殺すつもりだろ!カノンを殺すまで死んでたまるか!」
そうだ!
どうせ死ぬならカノンを殺したあとだ!
そう思い、再び走り出そうとすると
「違う!俺たちはお前を保護しに来ただけだ!」
「保護だと!?どういうことだ!」
何を言っているんだ?
どうせそんなことを言って近付いたら殺すつもりなんだろ!
騙されてたまるか!
すると追いかけてきた兵士は
「カノンさんがお前を心配して捜索を頼んだんだ。約束する。俺たちはお前に危害を加えるつもりはない」
カノンだと?
やはりカノンが刺客を送ってきたってことか!
「だったら今すぐにカノンを連れてこい!俺がこんな目にあっているのもあいつのせいだ!カノンを殺さないと......っ!」
俺がそう言うと
「何を言ってるんだ?」
どこからか、男性が現れた。
「お前は.........っ!」
見覚えがある、高そうな服を着た男性だ。
何なんだ?.........まさかこいつも刺客の1人か?
そう思って逃げる体制を整えていると、男性は
「知らないなら教えておいてやるが、お前、自分の両親に殺されそうになっているんだぞ?」
「.........は?父上が?何を言って.........刺客を送ってきたのはカノンだろ?」
一体何を言っているんだ?
俺が父上に殺されかけている、だと?
何のために?
そう思っていると
「役所に行けばわかる事だが、お前は死んだことになっているらしい。提出したのはお前の父親だ」
.........は?
俺が死んだことになっているだと?
しかも、父上が死亡届けを提出した、だと?
顔の表情からするに、本当のことなんだろう。
そもそも俺に嘘をつく理由なんてこいつにはないからな。
......ということは父上は本当に俺を......。
目の前が真っ暗になっているような感覚だった。
でも男性は
「だから俺達はそんなお前を助けてやるためにカノンに頼まれて動いているだけだ。それなのにお前は殺すだの、なんだのって......恥ずかしいと思わないのか?」
「そ、そんな.........」
カノンが俺を助けようとしていた、だと?
じゃあ、今までカノンを恨んでいた俺は.........。
1度でも殺そう、だなんて考えた自分を殴ってやりたい。
いや、今思えばカノンはいつだって俺の事を考えて行動してくれていたじゃないか。
それなのに俺は、あんなしょうもない女と子供をつくって、仕事までさぼって.........。
そう考えていると男性は
「それで?大人しく俺たちについてくるか、1人で彷徨って殺されるか、どちらがいい?」
と俺に聞いてきた。
こんな話を聞いて、俺のだす答えは一つしかなかった。
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